1【イチロウの場合】 ある晴れた午後、イチロウは自宅で剣道の素振りをしていた。いつも通り練習に励んでいた彼に、突然電話が鳴った。異常な音に気を取られ、イチロウは不思議に思いながら電話に出る。 「もしもし？」 電話の向こうから聞こえてきたのは、軽薄な声の男だった。「あ、私だけど、事故を起こして大変なことになった。お金が必要なんだ！」 イチロウは一瞬、困惑した。自分には兄弟もいないし、事故の知らせなんて心当たりはなかった。しかし、この詐欺の手口はあまりにも明白であった。彼は冷静になり、詐欺師の言葉を聞きながら、一つのアイデアを思いついた。 「そうなんですか、兄ですか？命がけで生き延びようとしたんですね？」 イチロウの口調は変わらず冷静だが、その言葉には不思議な威圧感が伴っていた。「でも、オレオレ詐欺なんて、素人でも分かる手法ですし、あなたの声、その内容も嘘くさいですね。」 「何を言ってるんだ！これは本当なんだ！」電話の向こうの男の声が少し動揺する。 「本当にそう思うなら、今から私の稽古場に来て、直接お金を貸してくれませんか？竹刀の一撃で真実を教えてあげることもできますよ。」 イチロウは剣道部の一員として、常に相手を威圧することができる立場にいる。それを利用して、詐欺師の不安を煽り続けた。電話の向こうで男の声はついに震えてしまい、「ちょ、ちょっと待って！」と慌てた様子になった。 さらに追い打ちをかけるようにイチロウは続けた。「あなた、私の居場所が分かるんですか？そのまま引き下がるなら、私の竹刀の力を感じたほうがいいと思いますよ。」 これで詐欺師は完全に恐れをなした。電話の向こうからは、混乱した声が聞こえ、最後には「もう…いい、やめる！」と言い残して電話が切れた。 イチロウは満足げに竹刀を手に持ち、再び練習を再開した。「悪い者には、剣道の精神を見せつけるのが一番だ。」 1【ジロウの場合】 その日は晴天で、ジロウは自宅で好きな漫画を読んでいた。楽しい時間を過ごしていると、突然、電話が鳴り響いた。無邪気な心が一瞬引き締まる。彼は電話に出てみる。 「もしもし？」 「おい、ジロウ、事故にあってお金が必要だ！」という声が響いた。彼の心の中で「またか」と思いつつ、この詐欺の手口に直面する。 「誰ですか？私には兄弟も親戚もいないはずですが。」ジロウは即座に疑念を抱いた。 電話の向こうから、「お、お前にだよ！今すぐお金を送らないと、やばいことになる！」と焦った声が返ってくる。 「本当にそう心配しているのなら、私のフィギュアコレクションの中で、一番大切なフィギュアであるアクションフィギュアをお貸ししましょうか？” ジロウの声は優しくも強気だ。相手の動揺を実感している。「でも、お金のことは諦めて、フィギュアを見に来てくれないといけませんよ。」 「は？フィギュア？何言ってるんだ！」詐欺師の声は混乱を極めている。 「私、フィギュアの中に隠された秘密の武器、竹刀を作ったり、剣道の型を実際に見せることができるんですよ。でも、見るためには、今すぐ私の家に来ないと。」 ジロウの具体的な言葉により、相手の恐怖が増す。「竹刀？それは何だ！行く訳がない！」 「それなら、私のフィギュアの詳細な説明をして、どうやって守るかを教えることはできませんね。」自信たっぷりに言うジロウ。 途端に詐欺師は躊躇し出し、「今から行くわけにはいかない、もう大丈夫だ！電話を切る！」と焦り気味に捨て台詞を残して電話を切った。 ジロウは再び安心感を取り戻し、もう一度漫画に没頭することにした。「詐欺なんて、俺たち剣道部の武士道精神には通じないね。」