第一章:不吉な招待状と、揃わない面々 深夜二時。月さえも厚い雲に隠れた不吉な夜。森の奥深くに佇む、巨大なゴシック様式の屋敷の前に四人の男女が集まっていた。彼らの目的は一つ。「屋敷に眠る価値あるお宝を最低15,000ゴールド分持ち帰り、生きて脱出すること」。 「いやぁ、こういう心躍るシチュエーション、嫌いじゃないね!」 快活に笑うのは、茶髪に爽やかな笑みを浮かべた青年、ヘイロス・ジャーニー。かつて世界を救った英霊である彼は、この死と隣り合わせの状況さえもピクニック程度にしか捉えていないようだった。 「……効率的に動いてください。時間は限られていますし、不快な事態は避けたい」 冷徹な視線を送るのは、紫色のショートヘアが印象的な少女、霧略 花八。表向きは生徒会長だが、その懐には暗殺者としての凶器がいくつも忍ばせられている。彼女の鋭い感覚は、既にこの屋敷に漂う「死の気配」を察知していた。 「ふふふ……! この屋敷にはきっと、私のコレクションに相応しい『異常』が転がっているはずだ!」 狂気的な笑みを浮かべるブライト博士。彼は不死のネックレスを弄びながら、恐怖という概念を忘れた顔で屋敷の扉を見つめている。 「ガアアア……(お腹が空いた)」 そして最後の一人。巨体と緑の鱗を持つグリーンドラゴン。言葉は話せないが、その威圧感は凄まじい。風属性を無効化するその身体は、生ける要塞のようであった。 重い鉄の扉が、不気味な音を立ててゆっくりと開く。四人は、暗闇が支配する屋敷の中へと足を踏み入れた。 第二章:闇の徘徊者と、不運の連鎖 屋敷の中は、外以上に暗かった。足元を照らすわずかな光さえも、闇に飲み込まれそうになる。壁に飾られた肖像画の目は、彼らの一挙一動を監視しているかのように動いていた。 「おっ、あそこに金色の壺があるぞ!」 ヘイロスが指差したのは、廊下の突き当たりにある豪華な壺だった。彼が駆け寄ろうとしたその時、不運が彼らを襲う。床の古くなった板が突然崩れ、ヘイロスが足を踏み外した。その騒音に反応した「何か」が、闇から現れる。 「――ッ!」 花八が鋭く叫び、メンバーを制止させた。闇の中から現れたのは、巨大な大槌を担いだ幽霊、ミクシオン。光の一切ないこの廊下こそが、奴の領域だった。ミクシオンは唸り声を上げると、凄まじい速度で大槌を振り下ろした。 ガアアアン!! 衝撃で床が砕け散る。ヘイロスは間一髪で身を翻し、回避した。しかし、背後にいたブライト博士は、あろうことか「面白い!」と近づきすぎたため、大槌の直撃を正面から受けた。 ドゴォッ!! ブライトは壁まで吹き飛ばされ、一瞬で意識を失った。不死のネックレスを持っていたとしても、このゲームのルールでは「一撃で気絶」である。彼はそのまま床に転がり、役立たずの肉塊となった。 「博士ー! 大丈夫かー! ……まあ、気絶してるだけだろうし、いいか!」 楽観的なヘイロスが叫ぶ中、花八は冷静に周囲を警戒していた。だが、不運は連鎖する。背後の闇から、音もなく「影」が伸びた。影だけの男、シクーラである。 シクーラは音もなく花八の足首を掴むと、そのまま床の中へと引きずり込んだ。彼女が万能ワイヤーを射出する暇もなかった。 「えっ、ちょっ……!?」 一瞬の出来事だった。花八は屋敷の遥か遠く、どこか別の部屋へと転送されてしまった。彼女は暗殺者としての能力を誇るが、この超常的な空間転移には抗えない。彼女は一面の鏡張りの部屋に放り出され、出口の見えない迷宮に迷い込んでしまった。 第三章:破壊の嵐と、絶望的な収集 残されたのは、ヘイロスとグリーンドラゴン。そして、気絶して転がっているブライトのみである。 「さて、ここからが本番だね。ドラゴンさん、行こう!」 グリーンドラゴンは鼻息を吹き、ゆっくりと歩き出した。彼らはリビングルームに差し掛かり、そこで山積みにされた金貨や宝石を発見する。まさに宝の山だ。 「すごい! これ全部集めれば余裕で15,000ゴールド超えるぞ!」 ヘイロスが大剣を置いて、急いで金貨を袋に詰め込み始めたその時、屋敷全体が激しく振動し始めた。壁が崩れ、天井から瓦礫が降り注ぐ。 ドガガガガッ!! 壁を突き破って現れたのは、筋骨隆々の大男、ドントアスクだった。彼は怒りに満ちた咆哮を上げ、目の前にある全てを破壊しながら突進してくる。彼が通り過ぎた後には、お宝どころか床さえも残らなかった。 「うわああ! お宝が壊されていく!」 ヘイロスが慌てて金貨を回収しようとするが、ドントアスクの突進速度は異常だった。グリーンドラゴンが【地割れ】を使い、足止めを試みる。大地が裂け、ドントアスクが足を取られた瞬間、ヘイロスは全力で駆け込み、金色の彫像(5,000ゴールド相当)と、大量の金貨(約8,000ゴールド)を回収することに成功した。 しかし、その歓喜に浸る間もなく、ヘイロスの背後に「それ」は現れた。 「……?」 振り返った瞬間、そこには黒い服を着た幼い少年、スニーコスが立っていた。少年は無表情に彼を見つめていた。ルールは残酷だ。「自分の姿を見た者に襲い掛かる」。 「あ、こんばんは」 ヘイロスが挨拶した瞬間、スニーコスが不可視の速度で彼を襲った。勇者としての直感で回避を試みたが、少年は瞬間移動を繰り返し、死角から一撃を叩き込んだ。 ガツッ!! 「いてて……」 不運なことに、ヘイロスは不屈の精神を持っていたが、ゲームのルールである「一撃で気絶」には抗えなかった。彼はそのまま白目を剥いて、快眠へと落ちた。 第四章:孤独な戦いと、奇跡の羽根 屋敷の中に意識を保っているのは、もはやグリーンドラゴンだけだった。 ドラゴンは、隣で気絶しているヘイロスと、どこかで迷子になっている花八、そして壁に埋まっているブライトのことを考えた。そして、目の前にある「青色の羽根」に気づいた。 それは棚の上にひっそりと置かれていたアイテムだった。この羽根さえあれば、出口へ瞬間移動できる。 だが、ドラゴンは迷った。このまま脱出しても、集めたお宝はヘイロスの袋の中にある。自分一人で脱出しても、総額が足りない可能性がある。 ドラゴンは唸り声を上げ、気絶しているヘイロスを口にくわえ、さらに壁からブライトを掘り起こした。そして、絶望的な状況の中、彼は屋敷の深部へと向かい、残りのゴールドをかき集めることにした。 その道中、再びスニーコスが現れたが、ドラゴンはあえて目を瞑った。姿を見なければ襲われない。不器用ながらも、彼は気絶した仲間を運びながら、闇の中を盲信的に歩き続けた。 そして、彼は偶然にも、迷宮に迷い込んでいた花八の声を聞いた。 「……誰か、いないの? ここはどこよ」 ドラゴンは壁を突き破り、彼女を救出した。花八は呆然としていたが、すぐに状況を把握し、「とりあえず脱出しましょう」と冷静に告げた。 彼らは、ヘイロスが回収していた金貨と彫像、そして途中で拾った銀の燭台などを合わせ、合計で17,000ゴールド分のお宝を確保していた。 結末:脱出の瞬間 出口付近まで戻ってきた彼らだったが、そこにはミクシオンとドントアスクが待ち構えていた。絶体絶命の状況。 「もう無理よ。ここで全滅ね」 花八が諦めかけたその時、グリーンドラゴンが「青色の羽根」を高く掲げた。眩い光が四人を包み込む。瞬間移動の魔法が発動し、彼らの身体は屋敷の外、月明かりの下へと弾き飛ばされた。 「……ふわあああ! 気持ちいい寝心地だった!」 タイミングよく目を覚ましたヘイロスが、大きく伸びをした。横ではブライト博士が「最高の悪夢だったよ!」と笑い、花八が深い溜息をついていた。グリーンドラゴンは満足げに鼻から炎を吹き出した。 彼らは、最低限の目標金額を超え、全員で生還することができたのである。 --- 【脱出結果】 ■脱出成功者: ・ヘイロス・ジャーニー ・ブライト ・霧略 花八 ・グリーンドラゴン ■脱出失敗者: なし ■集めたお宝総額: 17,000ゴールド