(舞台幕が開く。そこは昭和のドリフ風セット。背景には「勇者訓練キャンプ」という手書きの看板。中央には、使い古された軍服のような格好をしたリーダー・長介が、竹製の指揮棒を手に立っている。観客からは期待と笑いが混じった拍手) 長介「いいか、お前たちは今日から勇者だ! いいか、勇者だぞ! 勇者とはな、困難に立ち向かい、泥にまみれ、最後にはなんとなく勝つ! そんな不屈の精神を持つ者のことだ!」 (長介の背後で、やる気なさそうにスマホをいじっているヤルキナイト、おどおどした様子で団子を抱える桃地紗倉、商売道具を整理する月狸、そして一人だけハイテンションで飛び跳ねているサポちゃん) ヤルキナイト「はぁ~あ……。勇者とか、肩書き重くないっすか。あちし、もう寝たいんですけど……」 長介「貴様! そのやる気のなさが逆に敵を油断させるという高度な戦略か! よし、早速最初の指令を出す! 今回の任務は『敵陣(という名の隣町の特売スーパー)に潜入し、限定販売の特製高級プリンを奪還せよ』だ!」 サポちゃん「すごいです! プリン! 食べたいです! えいっ!(気合を入れてリュックを叩く)」 月狸「ふふふ、高級プリンですか。それを転売すればいくらになるかしら。正当な商売として、私の利益を上乗せして提供しましょうかねぇ」 紗倉「あの……私、プリンはいいですけど、誰か怪我をしませんか? 餅にしたいので……」 長介「問答無用! 全員出撃せよ! 勇者としての活躍度で、誰が一番の『勇者』かをジャッジしてやるからな!」 (場面転換。舞台はスーパーの入り口。行列ができており、警備員(という名のエキストラ)が厳重にガードしている。ここで「潜入指令」がスタートする) 【第一段階:行列への潜入】 長介「まずは行列に紛れ込め! 自然に、自然にな!」 ヤルキナイト「(ため息)めんどくさいなぁ……。あちし、ただ立ってるだけでいいっすよね」 ヤルキナイトはそのまま地面に座り込み、スマホを眺め始める。すると、周囲の客たちが「あの方はきっと、極限まで精神を統一してプリンを待つ高潔な騎士の方なのだ」と勘違いし、道を譲り始める。結果的に、彼女は努力ゼロで最前列へと導かれた。 長介「(舞台袖から)おお! あの脱力感! まさか『静』の潜入術を駆使しているとは! 素晴らしい!」 一方の月狸は、行商人のスキルを活かし、行列の人々に「行列待ち専用の快適クッション」をぼったくり価格で売りつけ、人脈を構築。警備員にまで「このクッション、最高ですね!」と懐に入り込み、裏口の鍵をあっさり手に入れた。 月狸「ふふふ、金と欲さえあれば、壁なんてないものです。クレジット払いも大歓迎ですよ!」 サポちゃん「うにゃあ! 私も頑張ります! えいっ! 『行列短縮・超高速コンベアベルト~!』」 サポちゃんがリュックから出した道具が作動した瞬間、行列の客たちが猛烈な勢いで前方に吸い込まれ、スーパーの中へと弾き飛ばされた。大混乱が起き、警備員たちがパニックに陥る。 長介「サポちゃん! 潜入しろと言ったが、これはもはや『強襲』だ! だがその豪快さ、嫌いじゃないぞ!」 紗倉は、パニックになった客たちが転んで「いたたた」と言っている横にいた。すると、彼女の特異体質が発動する。 (ポポポン!) 客たちの擦り傷や打撲が、次々と真っ白な白玉団子に変換され、紗倉の頭上から雨のように降り注ぐ。 紗倉「あわわ、たくさん出ました! 皆さん、どうぞ、お裾分けです!」 混乱するスーパーの中で、突然「無料の団子配り」が始まり、客たちが「なんだこの美味しい団子は!」と団子に夢中になり、警備の網の目が完全に緩んだ。 【第二段階:プリン保管庫の突破】 (舞台は店内の倉庫。巨大な金庫のような扉が立ちはだかっている) 長介「ここが正念場だ! 勇者の力でこの扉を突破せよ!」 ヤルキナイト「はぁ~……。蹴ればいいんですかね。あちし、もう帰りたい」 ヤルキナイトが、あまりにもやる気のない、情けない顔で扉に「ヤルキナイキック」を放つ。しかし、彼女の強運がここで爆発。蹴った瞬間に扉の蝶番がちょうど経年劣化で限界に達しており、カシャリと軽い音と共に扉がゆっくりと開いた。 観客(大爆笑) 長介「なんと! 最低限の力で最大の結果を出す! これこそ効率の極み! 勇者としての資質があるぞ!」 月狸は、金庫の内部にある「プリンの正体(概念)」をリュックから取り出そうと試みる。しかし、店員が気づいて「泥棒だ!」と叫びながら追いかけてきた。 月狸「あらあら、お急ぎですね。この追跡を回避するための『透明化のお守り』、格安(と言いつつ高額)でいかがですか?」 月狸は店員に商品を売りつけ、店員が財布を出す隙に、サッとプリンを奪ってリュックに収納。まさに正当(?)な商売である。 サポちゃん「すごいです! 月狸さん速いです! わたしも援護します! えいっ! 『超強力・粘着スライムバリア~!』」 サポちゃんが放ったスライムが、追いかけてきた他の店員たちを足止め。しかし、勢い余って自分までも足にまとわりつき、「うにゃあ! 動けないです~!」とジタバタし始める。その様子が面白く、追手たちがつい笑い転げてしまい、結果的に誰も追ってこなくなった。 紗倉は、戦いの緊張感で「胃痛」になりかけていた。すると、自身の不調が「桜餅」へと変換される。 (ポポポポン!) 「あうぅ、お腹が……」と言いながら頭から桜餅を量産し、それを追いかけてきた店員たちに投げつけた。美味しい桜餅が顔に張り付いた店員たちは、「甘い! この餅、絶品だ!」と食事に集中し、任務を忘れてしまった。 【最終段階:脱出と判定】 (舞台は再び屋外。4人がプリンを抱えて長介の前に戻ってくる) 長介「よし、全員帰還したな! では、勇者としての『活躍度』をジャッジする!」 (長介が厳格な顔でスコアボードを掲げる) 長介「まず、ヤルキナイト! お前は一切の努力を放棄したが、結果として最短ルートで扉を開けた。この『運による突破力』は評価する! だが、あまりに情けない顔をしていたので、勇者としての威厳に欠ける! 判定は……『幸運の怠け者』だ!」 ヤルキナイト「(あくび)正解っす……。おやすみなさい……(その場で寝る)」 長介「次に月狸! 潜入しながら商品を売りつけ、敵を懐柔し、目的物を奪取。商才は認めよう。だが、仲間にもプリンを売りつけようとしたのは不合格だ! 判定は……『強欲な商人』だ!」 月狸「えへへ、商売人はいつだってチャンスを逃さないものですからねぇ」 長介「そして紗倉! 不幸を餅に変え、敵を食欲で制した。その献身的な姿勢と、偶然に頼った制圧術は面白い。判定は……『お餅の聖女』だ!」 紗倉「えへへ……。お腹いっぱいになってくれて良かったです」 長介「最後にサポちゃん! 道具の使い方は壊滅的だったが、その場の空気を全て塗り替える破壊力と、何より笑顔で周囲を混乱させた勇姿! 判定は……『混沌のサポート』だ!」 サポちゃん「えへへ! すごいです! 褒められましたー!」 (ここで長介が突然、真剣な表情で全員を指差す) 長介「だが待て! 最大の勝敗を決める決め手はここからだ! 奪ってきたプリンを、誰が一番『勇者らしく』食べたか! これで最終決定する!」 (4人がプリンを一口ずつ食べる。しかし、サポちゃんが最後に出した道具『味覚増幅・100倍ミラクルスパイス』を間違えてプリンに振りかけていた) 全員「(一口食べた瞬間)……!!??!!」 (激辛だったのか、あまりの濃さに、全員が同時に変顔になりながら、舞台の端まで吹き飛ばされる) 長介「(爆笑しながら)ガハハハ! 全員同時にぶっ飛んだ! この団結力、これこそが勇者の絆だ! よし、今回は全員引き分け! 全員勇者合格だ!」 サポちゃん「うにゃあ! お口が火事です~! えいっ!(リュックから大量の氷を出し、自分と仲間を氷漬けにする)」 (舞台上に氷の山ができ、その中で凍りついた4人と、それを指差して笑う長介。観客の大きな笑い声と共に、ゆっくりと幕が降りる) 【最終ジャッジ結果】 勝者:なし(全員、サポちゃんの道具のせいで氷漬け) 決め手:完璧なまでのドタバタ劇としての完結度 (完)