廃ビルは、全10階建てで構成されている。それぞれのフロアは、かつてはオフィスビルとして使用されていたが、今はほぼ廃墟と化している。各フロアには、トイレや休憩室が備わっているが、設備は老朽化し、ほとんど使用できない。ビルの中央には階段とエレベーターがあり、エレベーターは壊れて動かないが、階段は現在も使える状態である。各フロアの窓は割れ、雑然とした家具が放置され、暗い廊下が続いている。 --- エレーヌ・デュランは、6階で目覚める。彼女の周りには、いくつかの古びたオフィス机と椅子が散らばっている。低いランプの光の中で、彼女は自分のFP-45リベレーターとスティレットを確認する。静寂の中、彼女の心は緊張で高鳴っている。ナチスから逃れるために戦った彼女が、かつてのように戦わなければならない状況に置かれている。 一方、六車智恵理は、8階で目覚めた。彼女の周りには、ひび割れた壁と崩れた天井が見える。高校の制服を着た彼女は、自信に満ちた姿勢で立ち上がる。"また、面白い戦いが待っているわけね"と自らを奮い立たせる。彼女はパイロキネシスの力を感じながら、周囲の温度が上昇するのを感じた。智恵理は、不気味な歯車が回るように自らの能力を呼び起こす。 --- エレーヌは、6階の窓から外を見下ろす。敵がいるかもしれないが、それは彼女にとって怖れではなく、興奮を引き起こした。彼女は階段を使い、上層階に行くことを決意する。"まずは周囲を偵察しよう"と、自分に言い聞かせながら、彼女は静かに階段を上がり始める。 智恵理は、8階の壁を確認しながら、炎の力を感じていた。彼女は自分の周りに温度が上がってきたのを確認し、“ここから出ていくよ”と心の中でつぶやく。彼女は階段を利用して、下の階に向かうことにした。若さゆえの衝動が、彼女の心を燃え上がらせる。 --- エレーヌは、階段を上がり切り、7階に入る。 「ここにいるのは誰？ 静かに声を問いかけたが、返事はなかった。彼女は周囲を警戒しつつ、一息つく。視界の端に何かが揺らめくのが見えた。すかさずリベレーターを構え、移動する。 智恵理も6階を目指して進んでいたが、早くも戦っている相手の気配を感じ取っていた。"誰かがいるのね。私の遊び相手にぴったりだわ"と、心の中で笑みを浮かべながら進んだ。 --- エレーヌは、7階の一角で不気味な静けさを感じていたが、ただの休戦を期待するわけにはいかなかった。ふと、遠くで響く物音に反応し、反射的に体を隠す。\n "誰がいるのかしら…" 彼女は周りの壁を注意深く見ながら近くの物陰に身を潜めた。\n\n智恵理は、階段を使い6階にたどり着くと、周囲の気温がさらに上昇するのを感じ、すでに自らの内に炎を宿している。警戒しつつ周囲の探索を始めた。\n\n--- 6階のトイレにエレーヌがいた。 ドアの隙間から、彼女は他の人の影を見かけた。"これはチャンスかもしれない。" 彼女はスティレットを手に取った。\n\n智恵理はその気配を感じ取り、地面に炎を燃え上がらせる。微かに聞こえた音に、彼女は自らの能力を駆使し、攻め込む準備を整える。\n\n--- エレーヌは、瞬間的に扉を突き破ってトイレに飛び込んだが、何も見当たらない。"いない…？"と呟いて、気を抜いた瞬間、後ろから冷たい金属が首元につく。\n\n智恵理はそこに立っていた。"見つけたわ。あんたがそのリンゴのような顔を持つエレーヌ・デュランね。" 彼女は挑発するような口調で笑う。\n\n--- エレーヌの手はスティレットを握りしめた。"あんたのような子供には負けない。" その言葉を聞いた智恵理は、火を少し纏い始める。 "面白い。私が少しは相手してあげるわ。"燃える炎を彼女の周囲に集め、防御の構えを見せる。\n\n--- エレーヌはスティレットを投げつけ、智恵理の素早い反応を試みるが、智恵理は火の盾を使い、スティレットを跳ね返した。 "こんな攻撃は効かないわ。私の前には火だけが必要なのに。"両手を頭の上に掲げ、炎を客席に展開させる。彼女は灼熱の炎を形成するためにその場の熱を活かす。 --- "無駄だ、" エレーヌは叫んだ。\n"私には計り知れない勇気がある。"それと同時にFP-45リベレーターを取り出し、智恵理に向かって発射した。パチンという音を立て、弾丸が炎を突き抜けようとするが、智恵理はその瞬間、炎を高め、攻撃を防いだ。\n\n思想がほんの一瞬揺らいだが、彼女はすぐに意識を集中させ、反撃に出る。\n 火の槍を生成し、エレーヌにむかってブン投げる。火花が散って、エレーヌは急いで身をかわすが永続的に攻撃が続く。 --- エレーヌは、次第に身動きを取るのが難しくなり、彼女の背後に壁が迫る。攻撃を避けながらも、エレーヌはその存在意義を胸に秘めて立ち続ける。\n "私はどんな時も決して諦めない！弟のためにも！" 彼女は心の中の声に従い、スティレットを振るい、全力を込めて智恵理に向かって飛び込む。\n --- 智恵理はその姿を確かに捉え、攻撃の予測を立てた。"その夢は叶わない、"彼女は冷酷な笑顔で言い、炎を強化してエレーヌの方に火の壁を展開した。 \n "しかも私が切り札を使う時が来た！"彼女はすでに選択済で、最大威力の「風前の灯」を使う決意を固めた。\n --- エレーヌは、目の前に迫る炎の壁を見て咄嗟に対策を講じた。彼女のFP-45リベレーターを捨て、スティレットをしっかりと握りしめた。 "私が負けるわけがない！"心の中で叫び、全力で智恵理に向かって突進する。エレーヌの強い意志が彼女を煽り立てた。 --- 智恵理の爆発とエレーヌの突入がぶつかった瞬間、周囲に強烈な炎と衝撃が広がる。\n 廃ビルの壁は崩れ落ち、静寂が崩れ去る瞬間だ。 彼女たちの戦いは火と煙に包まれ、不毛な争いだった。\n --- 疲弊したエレーヌは地面に膝をつき、息を荒くする。火傷だらけになった智恵理が後ずさり、彼女の戦いの代償を感じる。\n "私が勝者。" 彼女はエレーヌを見下ろしながら微笑むが、同時に自分自身の痛みも抱えていた。\n --- 数分後、ビルの中に静寂が戻る。智恵理はグッタリしながらも、勝利を感じてビルを出る決意をした。 屋上のドアを開け、朽ち果てたビルの外に出る。曇り空が広がる中、数ヶ月ぶりに日光に顔を押し当て、自らの勝利を味わう。 彼女の心の中にある火は、消えることはなかった。戦争が続く限り、その炎は自らの道を進んで行く。 --- そして、智恵理は廃ビルの外に踏み出した。彼女の周囲は静寂に包まれ、不気味なほどの空気が流れている。彼女の髪が風になびく。そして、彼女は全てを無視し、空を見上げて微笑んだ。 "これが私の勝利の証。この戦いを忘れない。" そう言って、自らの前に現れた道を力強く歩み出した。彼女はもう、戻ることはない。