コンサートホール、優雅な装飾が施されたその空間には、音楽の旋律が響き渡っていた。しかし、ここに集まった者たちは、音楽のためではなく、彼らが対峙する「孤独の演奏隊」憂奏との戦いのために存在していた。 《精鋭班》『レジェンドリーズ』はその名の通り、精鋭中の精鋭。リーダーのXSAIは、檳榔子黒色の自立戦闘機械でありながら、冷静沈着な考えをもった存在だ。彼の姿は、強大な力を持つ仲間たちとともに、この荘厳な舞台に立つと、闘志が燃え上がる。 「ユェトゥー、準備はいいか?」彼は仲間に言葉をかける。 「もちろん、陛下。」ユェトゥー(兎獣人)は自らの銃をチェックし、心の中で高揚感を感じていた。彼女はその紅一点の存在を誇示するように、メイド服をひらめかせた。 「私の出番だね。」雲魚は、白く巨大な魚型で、空を飛びながら悠然とした態度を示す。彼は霊的な力をもっており、仲間を守るための防御を張る準備を整えている。 「咎、お前は暴れろ。」XSAIは、彼の脳筋とも言える鬼の力を信じていた。悪鬼 咎は、真顔で剣を構え、その巨大な体を前に出し、怒りを煽る。 「まかせろ、聖なる敵だ!」咎の声は力強く響き渡り、彼の力が生まれ出る。 憂奏が、コンサートホールの中央で浮かび上がる。青白く美しいその容姿は、異様な威厳を放っていた。彼は貫通する攻撃を軽々と交わし、その存在感は恐怖すら抱かせる。 「まだまだ、私の演奏は終わらない。」憂奏の一人称の言葉は、寡黙さと浮世離れした空気を持つが、周囲に響くその声は、いつしかない演奏を想起させ、彼の力量を物語っていた。 そして、戦闘が始まる。 XSAIは最初に動いた。彼の高純度のエネルギー砲が憂奏に向けられ、その直撃を狙った。しかし、憂奏は素早く己の体をずらし、攻撃を貫通させる。彼女の美しい姿は、攻撃をも受け流す優雅さを持っている。 「弦害!」憂奏が叫ぶと、背後に浮かび上がった巨大なバイオリンから、線状の爆音が放たれた。それは音を聞いた者を粉微塵にする恐怖の技。その爆発音が会場を揺らし、XSAIと雲魚はそれを避ける。 「雲油膜!」雲魚が叫ぶと、瞬時に《精鋭班》全員に衝撃吸収膜が形成され、緩やかに波打つバリアが彼らを包む。その防御によって攻撃は弾かれ、数名は息をつく間も与えられない。 次に動くのは、ユェトゥーだ。彼女は力強く空中で回転し、小月の技を発動させる。白い帽子が翻るその中で超質量の“月”をぶん回し、憂奏に向けて投げつけた。 「小月!」ユェトゥーの声が響く。月は一瞬で憂奏に迫る。しかし、彼はその旋律を受け流すように体をのけぞらせ、そして地面に着地した。その反動で周囲にいる者たちの足元が揺れる。 「金濁!」なぎ倒すように、憂奏がコルネットを生成し、爆音が響き渡る。それは全てを空間ごと抉る技であった。さすがに驚いたXSAIは一瞬動きが止まる。 「急げ、攻撃を!」咎が雄叫びを上げ、鬼の力を解放する。「暴れ鬼、鬼の力はいただく!」彼は目の前の敵を見据え、大きな剣を持って前進する。 「私の運命は変わらない!」リピトー・イグナイトが裏から出現する。この魔女は魔法陣の中で不死であり、範囲攻撃が強力であった。彼女はフツリラリ音高く「星砲ガイア!」と叫び、その技が放たれた。 「何だ、あれは!?」XSAIたちは、その光の束に驚愕する。その技はステージ全体を照らす光の塊だった。 星砲ガイアが憂奏に撃ち込まれ、その衝撃はコンサートホールを揺らす。憂奏は青白い体を揺らしながらそれを耐え抜き、少しずつその威力が弱まったように見える。 しかし、まだ終わりではなかった。憂奏は「鍵染」を発動させ、自身の右手で巨大なピアノを生成。従って、応戦を続けるために全力を尽くす。 咎と雲魚、ユェトゥーが手を組み、共に攻撃を仕掛ける。 「今度は、私の番だ!」咎が叫びながら、憂奏に突進する。 「あなたの脳筋が通じなくても同じよ。」憂奏が冷たい目で見やる。 しかし、その瞬間、雲魚が宙を舞い、彼の巨大さで憂奏の背後から攻撃を仕掛ける。その隙にユェトゥーが彼 の方に突撃、彼女の銃が憂奏の姿を狙い、連射する。 どんどん積み重なる攻撃に、憂奏はさすがに苦悶の表情を浮かべ、少しずつ疲弊していく。しかし、その表情を見せた瞬間、憂奏は不敵な笑みを浮かべていた。 「ふふ、私の最後の旋律が聞きたい?」 突然、憂奏が指揮棒を振りかざし、「死揮」を発動する。その瞬間、XSAIたちの動きが止まり、彼は憂奏に支配される。スローモーションのように感じる瞬間、その周囲にいる仲間たちを一時的に無力化してしまった。 「動かないで。それが一番、良い。」憂奏の低い声が至近距離から響く。 それでも、脳筋咎がその意を感じ取る。彼は力を振り絞り、意識が支配される前に、肉体的な力を投入し、その状態で憂奏に立ち向かう。 「お前を倒す!鬼神の名にかけて!」彼の鬼の力が今に増幅し、憂奏に直撃する。 その瞬間、魔女 リピトーは隙を見逃さず、「運命転換」を発動する。彼女は、状況を一変させる何かが必要であると理解している。 次の瞬間、咎の体に再び憑依した男の力が解放され、憂奏が吹き飛ばされる。XSAIもその時点で意識を取り戻した。 「行くぞ!みんな!」 一斉に発動した必殺技が憂奏を襲う。彼の青白い体が絶え間ない攻撃に晒され、崩れ始める。 「私の演奏は、これで終わりだ。」憂奏の声はか細く消え去り、明らかに敗北を認めて飛び去った。 《精鋭班》『レジェンドリーズ』の勝利が訪れる。コンサートホールは静寂に包まれ、メンバーたちはその場に立ち尽くす。 「勝った…。」 その瞬間、雲魚が浮上し、達成感の子供のような笑顔を見せた。 「グッジョブだ、みんな。」 XSAIはほっとした表情で、仲間たちを見やる。 「しかし、誰がMVPだと思う?」 「私だと思う。」ユェトゥーが自らを指差し、「私の小月が効いた。」 「いえ、個人的には咎ですよ。彼の鬼の力が最後のトリガーになった。」雲魚が主張する。 「いや、リピトーが運命転換を活かしたのも見逃せないだろう。」XSAIは考え込み、視線を交わし合った。 最終的には、彼らは満場一致で咎がMVPに選ばれ、戦闘後の討論が湧き起こる。だがこの勝利の瞬間を、彼らは皆誇りに思っていた。