ある日、霊界の安寧を脅かす悪化した妖魔の動きが確認され、大神官が平穏を保つために特別な任務が必要だと判断した。彼は数名の霊たちを選抜し、任務に召集した。選ばれた中には、かつては平凡なサラリーマンだった高森空鳥、暴走族の女総長として恐れられている車野甲、そして古代の妖魔でありながら愉快な性格の持ち主、夜行凛がいた。彼らは理解しがたい運命を背負い、強大な妖魔を打ち倒すために集められたのだ。彼らの最初の任務は、霊界で増えている不穏な妖力の源を突き止め、儀式を行うことだった。彼らは、かつての街の近くにある廃工場へ向かうことになった。 高森空鳥は自分がなぜこの場にいるのか疑問を持ちながら、仲間たちの背中を追った。「あの、みんな、本当に僕でいいの?」不安げに言う彼を、車野甲は冷ややかな目で振り返って一喝した。「手前ぇ、どの面下げて言ってるんだよ!行くぜ、根性叩き直すぞ!」と、彼女はバットを肩に乗せて無邪気な様子だった。 一方、夜行凛は二人の様子を見てほほえむ。「楽しいのう、愉快よの、その平凡な男が居る限り、飽きることはないの」どこか楽しんでいるように見える彼女に、空鳥はますます困惑する。彼は自分が平凡な存在だと思っていたが、どうにかこの非常事態を乗り切るためには、彼らの助けを借りるしかなかった。 そうこうしているうちに、ついに廃工場に辿り着いた。薄暗い内部では不穏な霊が蠢いている。車野甲が先頭を切り、バットを振りかざして前進する。「おらぁ、出て来いや!私が手前ぇらのオモチャにしてやる!」 「君、叫ぶのは良いけど、敵がいることを忘れないで!」と高森がツッコミを入れると、車野甲は「へっ、あんたが平凡なだけだろ?」と、さらりと返す。「こ、こんな不穏な空気で貴様に平凡だなんて言われたくない!」 内心しょげる高森の横を流れる風に、夜行凛が静かに舞い降りてくる。「騒がしいのう、私がいい仕事をしてやる!」彼女は妖力を高め、薙刀を手にとって準備万端。 その瞬間、工場の奥から、奇怪な声が響いた。「お前ら、邪魔をする者がいる!出ていけ!」その声の主、ボスである【血の化身】と呼ばれる妖魔が闇の中から現れた。背中には数えきれないほどの血の痣があり、その瞳は炎のように輝いていた。 「お見事だ、貴様はここに来たが、私が帰すと思うか?」その言葉と共に襲いかかる血の化身の周りには小さな妖が溢れていた。 「やるな!貴様その調子で私と遊ぼうじゃないか!」と車野甲が叫ぶ。次の瞬間、彼女はバットを引き上げて襲いかかる妖たちを叩き潰した。「行け、私が相手だ!」 高森は冷汗をかきながらも、車野甲を支えるために後方から彼女の動きに注意を払い、適時支援することに決めた。「僕も何かしなきゃ!」と叫び、なにかをしようとしたが、彼には武器は無い。 彼は行動を起こすのが怖かった。 「怯えるな、手前!私を見ろ!」と車野甲が再び轟吼する。そんな彼女の姿を見て、何かの意志が高森の胸の内で燃え上がった。 「そうだよ、僕も幽霊だ!君たちに負けずにやろう!」自分を奮い立たせ、高森はとりあえず身振りを真似してみせる。意外に効果があったのか、周囲の妖もこちらをちらりと見ただけで目をそらした。 「それだ、平凡でも面白いじゃねぇか!さあ、返り討ちにするぜ!」車野甲が高森の勇気を称えた。そこに夜行が静かに立ち上がり、凪血月を手に取り、正面へと連れ出された。「お前には面白みがあるな…その面白さを愉しむぞ!」 彼女の動きは妖のように美しく、血の化身をすばやく斬りつけ、周囲の小妖も一瞬で散り散りにされた。「その調子、貴様らも本気で来い!」と夜行も次々と敵を捌く様子に車野甲はその表情をほころばせた。 こうして、三人はチームワークで血の化身との戦闘を繰り広げた。高森がツッコミを入れることで甲が更に張り合い、夜行凛が全体を俯瞰することで的確な指示を出して戦局を有利に導く。「行け、バットで叩きのめしてやる!」あっという間に、混戦の中で血の化身が怯んだ。 最終的に、血の化身を打ち倒すと、その姿は小さくなり消えていった。 「やった、任務完了だ!」高森が思わず叫ぶと、車野甲が褒めた。「よくやったな、一般人!私のバイクのレベルが上がったかもしれないぞ!」 夜行も、「愉快よの、楽しい戦いだった!」とにっこり笑い、三人は達成感を感じた。彼らはこの任務を無事終え、再び霊界へ戻ることとなった。平凡なサラリーマンの高森空鳥は、ささやかながら自分の役割を果たし、仲間たちと共に新たな絆を深めつつ、帰りの道を進んだ。これが彼らの新たな冒険の始まりとなることを、まだ誰も知らなかった。