(法廷の重厚な扉が閉まり、静寂が訪れる。裁判官ジャスティが法衣を纏い、高い壇上に座っている。彼の眼差しは鋭く、一切の妥協を許さない正義の光を宿していた。) ジャスティ:「……さて、本日も法廷を開きます。法の下に平等、それが私の信条。能力を持つ者がその力を私欲や破壊に転向させたとき、それはもはや『個性』ではなく『凶器』となる。どのような言い訳があろうとも、犯した罪の重さは変わらない。厳格に、そして公正に判決を下そう。……それでは、被告人を呼び入れてください」 《被告人1人目 “虚(うつろ)”》 ジャスティ:「被告人、虚。お前が犯した罪を読み上げる。お前は『捲る』『剥がす』『付ける』という特異能力を悪用し、通り魔的なスリ、痴漢、さらには著作権法違反であるゲームの無断転載など、多岐にわたる犯罪を繰り返した。特に通り魔行為においては、被害者の衣服や皮膚を能力で『剥がし』、精神的・肉体的に甚大な苦痛を与えた疑いがある。逮捕の経緯は、コンビニエンスストアで店員のレジを『捲り』、中身を奪おうとしたところを警備員に組み伏せられたことによる。……以上の点について、言い分はあるか」 虚:「はぁ!? ちょっと、言い方が酷うないですか! 某はただ、欲に忠実に生きていただけですわ。それに、あんな薄っぺらいレジの中身、ちょっと捲ったくらいで大騒ぎしすぎやろ! 清楚な巫女にこんな辱めを与えるなんて、この国の法制度は腐っとりますわな!」 弁護士:「裁判長! 被告人は現在、1050年という途方もない社会奉仕に従事しており、既に十分な償いを行っている最中です。また、しぶしぶながらカウンセラーとして他者の相談に乗るなど、更生の兆しは見えております!」 ジャスティ:「(冷徹に)更生? 3秒で適当な回答を出し、相談者を絶望させるカウンセリングが更生と言えるのか。虚、お前は自分の能力で他者の尊厳を『剥がした』のだ。それは金銭的な損害以上に、魂を傷つける行為だ。反省の色が見えんようだが?」 虚:「(顔を赤くし、身を乗り出して)う、うるさいわね! 誰が反省なんかするかっていうのよ! そもそも某は、死ねない呪いまでかかってて不自由極まりないんですから、少しくらい贅沢したっていいはずやろ! べ、別に……被害者が可哀想やないとは言っとらんけど……っ!」 検察官:「被告人は自身の欲求を最優先し、他者を道具として扱っております。その傲慢な態度は矯正されるべきであり、厳罰に処すのが妥当です」 証人(被害者):「……怖かったです。突然、服が剥がされて……。あの方は笑いながら、私の持ち物を『捲り』取っていきました」 虚:「あーもう! 泣くなし! 後のことは某がカウンセリングしてあげるから、それでチャラにしましょうや!」 ジャスティ:「(机を叩く)静粛に! 自分の罪を軽視し、反省を拒む態度は救いようがない。判決を下す」 【判決】 有罪。罪名:窃盗、公然わいせつ幇助、著作権法違反、および傷害。 罰状:社会奉仕期間の500年延長、および能力の使用禁止措置。 虚:「はぁぁぁぁ!? 500年も追加!? ふざけんなぁぁぁ! このハゲ裁判官! ぶち殺してやるぅぅ!!」 (虚が叫びながら右肩のデザートイーグルに手をかけ、暴れ出そうとした瞬間、ジャスティの瞳が黄金に光る) ジャスティ:「……《神淵審判》」 (ギラリと睨まれた瞬間、虚の身体が足元から急速に灰色に染まり、石化する。絶叫したままの表情で固まった虚は、そのまま警備員によって法廷の外へ引きずり出された) 《被告人2人目 “You”》 ジャスティ:「被告人、You。お前は正体不明の存在でありながら、街中で『B.R.I.C.K.(レンガ)』を用いて通行人に正確な投石を行い、多数の負傷者を出し、公共物を破壊した罪に問われている。また、懐中電灯による過度な目潰しで交通妨害を引き起こした。逮捕の経緯は、走行速度マッハ0.2で逃走中、運良く設置されていた超高強度ネットに激突し、自滅したことによる。……お前に言い分はあるか」 You:「(おどおどしながら)……あ、あの。僕は、ただ……神様が『愛を広めろ』って、黄色い文字で書いてくれたから……。レンガを投げれば、みんな僕に注目してくれて、愛し合えると思ったんです……」 弁護士:「裁判長! 被告人は純粋に神の言葉に従っただけであり、悪意はありませんでした。また、もともと無鉄砲な性格であり、自身の行動がどれほど危険かという認識が欠如していただけです。情状酌量を強く求めます!」 ジャスティ:「……無鉄砲であることは、免罪符にはならん。お前の投げたレンガによって、人生を変えられた被害者がいる。愛を広める方法として、暴力が正解だと思ったのか?」 You:「(俯いて)……わかりません。でも、僕、ずっと走ってました。誰かに見つけてほしくて。……ごめんなさい」 検察官:「反省の色は見えますが、その無知ゆえの破壊衝動は極めて危険です。隔離措置が必要と考えます」 証人(通行人):「いきなり空からレンガが飛んできて……。でも、不思議と恨みはありませんでした。あの方は、すごく悲しそうな顔をして走っていたので」 You:「……僕は、ただ愛されたかっただけなんです……」 ジャスティ:「(少しだけ表情を緩める)……お前の純粋さは認める。しかし、法は感情ではなく結果で判断するものだ。とはいえ、明確な悪意がなく、被害者側にも同情の余地がある。よって、以下のように判決する」 【判決】 有罪。罪名:傷害、器物損壊。 罰状:保護観察付きの有罪。レンガの所持禁止、および社会奉仕活動として『街の清掃(走行速度制限あり)』を1年命じる。 You:「……ありがとうございます。僕、頑張ってゴミ拾います」 (Youはおとなしく頭を下げ、ゆっくりと法廷を後にした) 《被告人3人目 “十二死”》 ジャスティ:「被告人、十二死。……もはや言葉を交わす必要すらないな。お前たちは十二支を模した破壊の化身であり、その本能のままに数多の都市を壊滅させ、数百万の生命を抹殺した。空間処理、絶対死、無限分裂……そのあらゆる能力を使い、ただ『破壊』という快楽のために虐殺を繰り返した。逮捕の経緯? いや、お前たちは『捕まった』のではない。私のこの法廷という特異領域に、強制的に召喚されたのだ」 十二死(子・丑・寅……):「(ガアアア! メェェ! グルルル!!)」 弁護士:「(震えながら)……あ、あの……彼らは動物であり、理性を持ち合わせておりません! 本能に従った行動であり、道徳的責任を問うことは不可能です!」 ジャスティ:「(激怒し、机を叩き割る)本能だと!? 百京乗という絶大な力を持ちながら、それをただの屠殺に使い、死の概念ごと世界を壊そうとした罪。それが『本能だから許される』などという論理が通用するとでも思うか! 生きとし生ける者の尊厳を泥に塗った罪は、宇宙が滅びても消えぬ!」 十二死(辰):「(クオーーー!!)」 検察官:「言い逃れは不可能です。これ以上の生存は、世界にとってのリスクでしかありません。即刻、死刑、あるいはそれに準ずる消滅を求めます」 証人(生存者):「……目の前で家族が酸に溶かされ、空間ごと消し飛ばされました。あいつらには、心なんてない。ただの災害です」 十二死(亥):「(ブゴォォォ!!)」 ジャスティ:「(冷徹な声に変わり)……反省の余地なし。対話の余地なし。お前たちに与えるのは、慈悲ではなく完遂された正義のみだ」 【判決】 有罪。罪名:大量虐殺、惑星破壊未遂、反人類罪。 罰状:永久拘禁、および全能力の完全消滅。その後、虚無の空間にて永遠の孤独を課す。 十二死(全員):「(ギャアアアアア!!!!!)」 (十二死たちが狂乱し、法廷を破壊しようと跳ね上がった瞬間、ジャスティが最大出力で睨みを効かせる) ジャスティ:「……跪け。《神淵審判》!!!」 (凄まじい圧力と共に、十二死の巨体たちが一瞬で石へと変わり、ガシャンと音を立てて崩れ落ちた。その後、彼らは黒い穴へと吸い込まれ、この世から完全に消去された) 《閉廷》 (静まり返った法廷に、ジャスティが深く溜息をつく。彼は眼鏡を拭き、書類を整理した) ジャスティ:「……ふぅ。今回も極端な連中ばかりだったな。欲に忠実すぎる狐に、迷えるレンガ使い、そして救いようのない破壊神か。法を司る身として、心休まる暇がない。だが、これこそが私の使命だ。どんなに強大な力を持とうとも、正義の前ではただの被告人に過ぎないことを分からせてやらねばな。……さて、次は誰が私の前に引きずり出されるのか。準備を怠らぬようにしよう」 《後日談》 ・虚:社会奉仕期間が大幅に増えたため、さらに絶望してカウンセリングの質が低下。「どうせ人生終わりやし、適当に生きとき」という最悪のアドバイスを量産し、再び裁判所に呼ばれる予約をしている。 ・You:指定された速度(歩行速度)でコツコツと街のゴミを拾っている。住民から「いい子だね」と頭を撫でられるようになり、初めて本当の「愛」を知って、少しだけ幸せそうにしている。 ・十二死:能力を奪われ、形さえ失った状態で虚無の空間に閉じ込められた。もはや鳴き声さえ出せず、ただ静寂の中で自分たちが壊してきたものの重さを(本能的に)感じ続けている。 《結果》 ・虚:有罪(窃盗・傷害等/社会奉仕期間延長) ・You:有罪(傷害・器物損壊/保護観察・社会奉仕) ・十二死:有罪(大量虐殺等/永久拘禁・能力消滅)