高速道路の中央、底なしの速度を誇る車たちが行き交う中、一人の泥酔したおじさんが、傍若無人に大の字になっていた。彼の顔にはほんのり赤みが差し、口からは酒臭さが漂っている。通行人たちは困惑し、車の運転手たちも鳴らされるクラクションで彼が道を塞いでいることに気づいている。しかし、おじさんは酔いつぶれているため、まるで動く気配がない。 「ちょっと、どいてくれよ!」怒ったドライバーの一人が叫んだが、無情にもその声はおじさんに届かない。 その時、バリバリという音と共に、ウミがバイクに乗って颯爽と現れた。彼女は剣のように美しい姿勢でバイクを操り、直線的なスピードを生かしておじさんに迫る。 「すみません、おじさん。道を空けてください!」ウミは無言でさっさとバイクを停車させ、おじさんを避けるように右にスワイプすると、 視界の外で突然、コカトリスが地面に隠れていて、周囲の車の間をスルスルとすり抜けていた。彼は自分の狭いスペースを利用し、まさに狡猾な戦略家のように見えた。 「コォー!」と、尖った鳴き声が響いた。すると、コカトリスはその素早さを生かし、ウミを狙い撃つように攻撃を仕掛ける。彼は石化の一撃を放つと、自身の鋭い牙でウミを噛みついた。 「甘いですね!」ウミは冷静さを保ちながら、流星のように飛び出して石化の攻撃をかわす。彼女のサングラスが光り、瞬時にコカトリスの位置を特定。 「徹甲弾、発射!」悪戯っぽくにっこりしながら、彼女はショットガンを取り出すと、コカトリスに向けて連射を開始する。弾丸が切り裂くようにコカトリスに襲いかかり、彼はひるみながら逃げるが、攻撃の手を緩めない。一方で、和也がその隙を突こうとしていた。 「これは面白い。行くぞ、冥刻六界!」一瞬の隙を読んで和也は漆黒の蒼光剣を振るう。全てを断ち切るその姿は、まさに神々しさで満ちていた。風が吹き抜けることも忘れさせる凄まじい一撃が放たれる。 ウミとコカトリスが攻防を繰り返す中、泥酔おじさんはまだその場に大の字になったまま。 「おじさん、道を空けてください!」ウミは再度叫び、彼の視界に飛び込むが、反応はまったくなし。 「こうなったら…」 とウミは、彼女のバイクを少しずらして身を乗り出す。 すると、おじさんがふと目を覚ました。 「何事じゃ、俺はここで寝てるのに!」おじさんの一言が、両者に響く。 「おじさん、危険ですよ! 車が来ます!」その瞬間、名も無き車が猛スピードで迫っていた。 和也はその車を感知し、横を飛び越えて立ち尽くす。コカトリスは隠れたままだが、ウミが少し反応し、バイクを急加速させてその場を離れた。 その瞬間、車が泥酔おじさんをまっすぐに通り過ぎ、彼は重力の下に再び沈んでいく。 「おじさん、大丈夫ですか?」ウミは後ろで声を上げる。 すると嬉しそうに酒の臭いをさせたおじさんは、こう言った。「ああ、酔ってるだけさ。俺はなにも心配する必要がない。」 その時、ウミと和也はお互いに視線を交わし、戦闘が一時的にかえる。 「結局、戦闘が出来なかったのは有り難いことかもね」とウミが、フッと微笑んだ。 だが一方で、コカトリスはその様子を横目により攻撃に出ようと静かに周囲を見ている。