空はどす黒く濁り、次元の裂け目から溢れ出した絶望が地平を覆っていた。だが、そこに立つザグヱラ機関の軍勢に怯えはなかった。世界最大の怪異対処組織、その頂点に君臨するSS部隊。時空を操り、無限を統べる超エリートたちが、一人の男――『ツルギ』を包囲していた。 総司令グンダリの冷徹な号令が飛ぶ。その瞬間、戦場は「詰み」の盤面へと変貌した。 予知者ミルエの瞳には、数億の未来が同時に映し出されていた。ツルギがどのような剣筋で斬り、どのような超越性を発揮しようとも、その全ては既に「既知」である。軍師ラッグは、ミルエが視た絶望的な可能性を全て排除した、完璧なる殲滅戦術を構築していた。 「法務官ジアイ、準備は?」 「完了しております。相手の太刀『星断ち』、および小刀『星切り』。破壊・消滅・封印が不可能という特性を持ちますが……問題ありません。それらが『存在すること』自体を無効化するのではなく、『所有者の所有権を一時的に剥奪し、空間的に固定する』概念法具【理の外なる枷】および、超越的な適応能力を強制的に飽和させ、成長速度をゼロに固定する術具【静止する刻の砂時計】を用意しました」 ジアイが掲げた法具が光を放つ。ツルギが持つ「不滅」の武器さえも、あらかじめ用意された絶対的なルールの中では、ただの鉄屑と同義にまで弱体化させられた。そこに、議長ライの神々しいオーラが降り注ぐ。 ライの権能が発動した。SS部隊の二十名には「完全なる不死」が与えられ、対してツルギには「絶対的な弱体化」と「行動のキャンセル」が強制的に上書きされる。ツルギが太刀を振るおうとした瞬間、その因果はライによって消し飛ばされ、動作は開始される前に完結させられた。 「――宣誓、我は対戦相手に対し闘争を行う」 ツルギが遺物『闘争の手引き』を開き、不滅の権能を喚起する。しかし、それはザグヱラ機関にとって想定内であった。ラッグの戦術は、相手が「不滅」であることを前提に構築されている。死なないならば、永遠に苦痛と共に拘束し、意識を断絶させればいい。 「無駄だ。お前の『勝利決定』などという法則は、我々の『絶対的な物量と準備』の前では誤差に過ぎない」 SS部隊の一人が想像実現術を発動し、ツルギの周囲に数万の特製封印杭を同時に顕現させた。封印不可の刀を持っていようと、身体そのものを空間の隙間に縫い付けられれば意味はない。さらに時空封印術が発動し、ツルギの周囲だけ時間が停止する。 ツルギの【超越存在】としての適応能力が、凄まじい速度で作動し始めた。だが、ジアイが準備した【静止する刻の砂時計】が、その成長速度を物理的な限界まで抑制する。適応が完了する前に、次の攻撃が降り注ぐ。 無限万能術による概念的な消滅攻撃が、逃げ場のないツルギを四方八方から貫いた。不死身の権能を持ってしても、魂の深層までを焼き尽くす法具の連撃には耐えられない。絶叫さえもライの能力でキャンセルされ、ツルギはただ沈黙の中で崩壊していった。 「これにて、終着か」 皮肉にも、彼自身の口癖が現実となった。星光ツルギは、その超越的な力さえも、より巨大な「システム」としての組織に塗り潰され、跡形もなく消滅した。 【戦果報告】 討伐対象:星光ツルギ ―― 死亡(魂まで完全に消滅) 【生存者および活躍】 ・総司令グンダリ:指揮権を完璧に行使し、被害ゼロで任務を完遂。二つ名【地獄の調律師】 ・予知者ミルエ:全未来を網羅し、一切の想定外を排除した。二つ名【万象の観測眼】 ・軍師ラッグ:完璧なる殲滅陣を敷き、敵の勝ち筋を全て断った。二つ名【不敗の盤上神】 ・法務官ジアイ:相手の特性を完全に無力化する法具を調達した。二つ名【理の執行官】 ・議長ライ:味方に不死を、敵に絶望を与え、戦場を支配した。二つ名【至高の聖域】 ・SS部隊(20名):超エリートとしての能力を遺憾なく発揮し、蹂躙した。二つ名【神殺しの牙】