1. 殺し合う者たちの対峙 地下鉄の薄暗いトンネルは、静寂が支配していた。唯一響くのは、時折遠くから聞こえる電車の音と、自分の心臓の鼓動だけだった。二人の男が対峙し、運命の一瞬を待ち望んでいる。 「唯我独尊のエゴ、俺の名は唯我だ」と、衝撃で振動する地面に立ちながら、だるそうに彼は呟いた。その目は虚ろでも、内に秘めた意志は鋭く光っている。彼の体は病弱で、いつも不調そうに見えるが、その存在は最強と謳われていた。 向かい側には、伝説の六悪鬼、音争童子が立っている。青髪の和服を身にまとい、自由奔放な笑みを浮かべている彼は、耳に残る音楽のような声で言った。「感じるんだお前が最後に聞くことになる音を」 それぞれの特異な能力を持つ二人は、まるで運命に導かれるように出会った。唯我は、実験を受けて拡張した能力「衝撃」シリーズを持ち、戦場を破壊する力を有している。一方の音争童子は、音を操り、戦場の音を利用して相手を翻弄する鬼だ。 「お前の音は、俺の衝撃で消してやる」と唯我は冷たい声で告げた。彼の言葉には自信と力が宿っている。 2. 死闘の始まり その一瞬、静寂は破られた。唯我が地面に足を踏み鳴らすと、衝撃が起こり、周囲の空気が震えた。「衝撃発生!」と叫び、無数の衝撃が彼の周囲に生まれ出た。音争童子はその攻撃を見て、奇妙な笑みを浮かべつつも身構えた。 「甘いぞ!」音争童子は、手を上げて「戦音・騒音」を発動する。前方に巨大的な音圧の波が広がり、地面を抉り取るような猛攻を繰り出した。地面が崩れ落ち、土煙が立ち上る。 唯我は、その音の波に対して「衝撃輪廻」を発動、ダメージを衝撃につなげて圧をかける。「やれやれ、まったくつまらない音だ」と彼は言い放ち、周囲の衝撃で音の波を押し返した。 音争童子は「おもしろい、もっと音を聞かせてくれ!」と、彼の戦音が周囲を揺らし、音の地面を駆け巡らせる。「戦音・音量」も発動し、唯我の聴力を奪おうと目論む。強烈な音波が彼の耳元で轟き、彼の動きが鈍る。 しかし、唯我は揺らぐことなく、「衝撃発生!」と再度叫び、衝撃を全方向に放つ。音争童子は予期せぬ衝撃に押し戻され、少しバランスを崩した。 「なかなかやるじゃねぇか、悠長に構えてられねぇな」と唯我は心の中で自らを奮い立たせる。戦闘は始まったばかりだ。 3. 佳境 戦闘が続く中、地下鉄の空間は破壊され、土埃が立ちこめていた。唯我の放つ衝撃は容赦なく、音争童子の攻撃を打ち消していく。その反撃に音争童子は驚きつつも、「戦音・無音」で瞬間的な防御を形作る。 「音で攻撃をするには、それに対抗する方法が必要だ」と音争童子は瞬間移動で唯我の背後に回り込み、直下に「音波」で攻撃を仕掛けた。体内から響く音が直撃し、唯我は身をよじる。 「いい音だ、もっと聞きたい」と音争童子はニヤリとし、再度攻撃を繰り出した。だが唯我は「衝撃之翼」を発動し、衝撃を体全体に巡らせ回復する。 「気持ち悪い音だ」と唯我は鼻をつまみ、「痛みは感じない」と冷静に呟き、衝撃を全ての方向に放った。音争童子はその圧力に耐えられず、身を翻して逃げた。 「随分と強くなったな、お前」唯我が言葉を投げる。「だが、俺はお前を殺す。それが運命だ」 「運命なんて、耳を塞げばそれまでだ!」音争童子は再度、「戦音・音符」を展開する。音符が宙を舞い、何十もの攻撃が唯我を襲う。だが、唯我は「衝撃輪廻」で反撃し、音符をことごとく無力化していく。 地下鉄の中は、どんどんと崩れ落ちていった。彼らの闘争はまさに戦場を消し去る計画のようだ。 4. 因縁の過去 彼らは互いに因縁を抱えている。唯我は、かつて自らが選ばれなかった“実験者”の一員であり、音争童子はその実験によって命を渡された者。かつて音爆ドリルで名を馳せた。 「お前のような実験体が、どうしてここまで来れたのか、愚かだな」と音争童子は嘲笑し、その戦音の力をより強化していく。「俺はこの力の全てを知っているぞ」 「俺の存在はお前を超えている」と唯我は冷ややかに返した。「お前が何を考えていようと、現実は変わらない。俺は唯一無二の存在だ」 二人の中に流れる因縁は、血のように深いものだった。関係性をすり抜けてきた彼らは、互いを認識し合う。 音争童子はその言葉に怒りで反発し、次元の狭間で「戦音・音圧」を爆発させ、周囲を直線的に消し去った。周りの空間が爆風によって変わり果てる。 唯我はその圧力を見事に受け止め、「衝撃発生」で全てを弾き返した。「俺はここにいる。お前の目の前に。さぁ、全力を振り絞れ」 5. 本気の一撃 彼らの闘争は頂点に達しつつあった。互いの技が渦巻く中、唯我は全力の衝撃を呼び覚まし、地にひれ伏す音争童子に向かって宣言した。「これが俺の本気だ」 「衝撃がその身を貫く覚悟は出来ているか?」唯我の声は轟き、地面が身震いする。「衝撃発生!全方位から衝撃を送り込む!」 音争童子はその瞬間、「戦音・無音」で自動的に防御を展開するも、完璧ではない。全ての音が消し去られる中、唯我の衝撃は隙間を狙って突き破った。 その力が音争童子を直撃した。彼の体は衝撃によって吹き飛び、仰向けに地面に倒れ込む。「なんという攻撃だ……」彼は呟いた。 「だが、俺も負けてはいない!音の力を信じろ!」と叫び、音争童子は力を振り絞る。「戦音・音波」 彼は体内から直接届く音圧を放出した。 二人の攻撃は同時に交錯し、地下鉄の空間は崩壊し、煙と土埃が舞い上がった。互いの衝撃と音の波が重なり合い、壮絶な闘争の姿を激しく映し出していた。 6. 最期とこれから 地下鉄の中は今や破壊され、傷だらけの二人が立ち尽くす。唯我は全身に痛みを感じながらも、クリアな視界の中で音争童子を見据えていた。彼もまた、傷を抱いた体が信じられないほど耐えている。 「いい音だ、面白い戦いだった」と音争童子は笑い、倒れながらも強がりを見せる。「だが、お前の音を一度も聞けていない。」 「最後の言葉は、聴力を失う瞬間に聞くがいい」と唯我は言い放ち、彼の力を引き出す瞬間を待つ。 「次こそ、俺が最強だ」と唯我は静かに言った。「衝撃の力を、極限まで引き出す」 最後の一撃が放たれると、音の中から崩壊が始まった。音争童子は一瞬の静寂の中で、「思い出した、あの優しい音を……」と、過去の記憶が走馬灯のように過ぎ去る。 だが、彼の意識は流れ出し、唯我の衝撃が心を貫いた瞬間、音争童子はその身を失った。地下鉄の破片が舞い上がり、暗闇が彼の視界を覆う。 「次の時代は、俺の手の中だ」と唯我は呟き、倒れた音争童子を見下ろした。勝者の証を自らの胸に抱きしめながら、彼は新たなる運命に向かって進んでいく。 彼の内に秘めた意志は、戦場の静寂の中、響き渡っていた。