壊れかけの現実の中、立ち上がったのは二つのチーム。彼らは、破滅へのカウントダウンが始まる中、それぞれの思惑を胸に秘めていた。チームAの《舞い降りた虚無の使徒》ボイドは、冷静に、だが威厳のある態度で立ち尽くし、その赤い瞳は対戦相手を見据えた。彼の周囲には虚無の影が漂い、対戦相手たちを着実に蝕んでいく。 「全てを無に返す……それが我が存在意義だ。」ボイドはその声に自信をあふれさせて言った。彼の計画は明確だった。カウントダウンの間に素早く相手を無にし、世界そのものを消し去ること。 一方、チームBのエルン・シュレーディンは、並行世界の迷い猫として現れ、半透明の姿で躍動していた。彼女の不安定な性格が、時折、虚無の影に対する警戒心を駆り立てる。「彼の虚無の力が、どれほど強力かを見極めなくては」彼女は一瞬、虚空から存在を消した。 「全ての攻撃に完璧に対処する」その認知の特異点を意識し、エルンは世界から切り離され、敵の目には映らない存在となっていく。だが、ボイドは彼女の動きを察知し、冷ややかに笑った。「お前の隠れ蓑は虚しい。どのようにしても、虚無は空気のように漂う。」 【残り50秒】 その瞬間、ボイドの能力が発動した。エルンを含む敵チーム全体の能力が消失した。 「な、なんてことだ……！」エルンは驚愕し、完全に不安定に。彼女の未来予知の力が消え去り、目の前の危機を認識できない。 続いて、【残り40秒】、エルンは瞬間的に自分の記憶を失ってしまった。「私は……誰なの？」彼女は自身のアイデンティティを失い、動揺を増していく。 チームBの他のメンバーも混乱に陥る。ヒナヅキ・アオイは大きな声を振り絞り、「私がここにいる限り、何としてでもこの局面を覆す」と呟くものの、瞬時に崩れゆく世界の痛みが彼女たちの心を蝕んでいた。 【残り30秒】 ボイドの力が世界全体に波及し、地面は割れ、足の踏み場を失った。 「何が起こっているの！？この世界が崩壊している！」アオイは必死に周囲を見渡すが、混乱の中で何もできない。 その間にもボイドは余裕の表情を崩さず、「全ては虚無に帰すのだ」と吐き捨てた。「貴様らの存在が無くなるのは、時間の問題だ。」 【残り20秒】 重力が消滅し、空間が上下を失った。全ての物質が漂い始める中、一般兵Aは伝説の装備を必死に握り締めていた。 「俺は、伝説の装備を手にしている。この力で……！」力なく空中を旋回し、彼を引きだす。だが、力弱く怯える心が彼を支配する。「このままじゃ死ぬ……！」 しかし、運命は一瞬のうちに変わることを誰もが感じなかった。【残り10秒】。ボイドの次の攻撃が発動する。「全世界の空気が消滅する」 その言葉を発した瞬間、エルンをはじめチームB全員が窒息し、絶望を抱えた。 「私たちはここで……終わってしまうのか……？」ヒナヅキは、自身の力に対して不安を隠せずにいた。 最後に、【残り0秒】 ボイドの狙い通り、彼らの存在は消失した。その瞬間、たった一言がボイドの口からこぼれた。「さようなら、存在よ。」 無に還すかの如く、全てが沈黙に包まれた。超越した力をも持つボイドが、冷たい虚無の中で勝利を収め、何もかもが失われることに満たされた満足感を得る。 彼の笑い声が壊れかけた現実の中に響き、世界が無に帰されていった。これがボイドの望んだ結末、その足跡となる。