一進一退の糸と泡 第1章: 霧の路地裏、予期せぬ出会い 夜の街は霧に包まれていた。ネオンがぼんやりと滲み、まるで古いアクション映画のセットのように不気味で魅力的に輝いている。路地裏の薄暗い一角で、東方定助は立ち尽くしていた。セーラー服に水兵帽という奇妙な出で立ちの19歳の男。記憶を失い、自分が誰かもわからない。ただ、胸の奥に「たっぷり」という言葉がこだまするだけだ。 （オレは誰だ？ ここはどこだ？ でも、なんかこの霧、嫌な感じがするぜ……） 定助の肩から、細い紐が揺れていた。それは超高速で振動し、まるでしゃぼん玉のように柔らかく輝いている。ソフト&ウェット――彼の唯一の記憶の欠片のような存在だ。 突然、路地の奥から甲高い笑い声が響いた。「アハハハハ！ 見つけたよぉ、遊んであげる！」 現れたのは猫背の大男、クローブ。全身をマントで覆い、常に人形の糸を垂らしている。傍らには木の人形、トットが鋭い剣を握り、活き活きと跳ねていた。トットの声は残虐で甲高く、クローブの無言を代弁する。「殺す殺す殺す殺す！ さあ、踊ろうか！」 定助は身構えた。（何だこいつら？ でも、オレの体が動く……戦うしかないのか？） クローブの指が微かに動き、トットが超高速で飛び跳ねる。【ダンス・マカブル】――視認できない速さで剣が定助を襲う。定助は咄嗟に身を翻し、ソフト&ウェットの紐を放つ。しゃぼん玉がクローブに向かって飛んだ。 「たっぷり、くらえ！」 泡はトットの剣に触れ、割れる。瞬間、トットの視界が数秒奪われ、動きが止まる。定助は拳を握り、スタンドラッシュでオラオラアラオラと連打を浴びせた。木の人形の体が軋むが、【剛の線鋼】の糸がそれを守り、衝撃を跳ね返す。 （くそっ、硬ぇ！ でも、オレの泡が効いてるはずだぜ……） トットが視界を取り戻し、笑う。「アハハ！ 面白いねぇ、もっと遊ぼう！」クローブの糸捌きが冴え、定助の攻撃の隙を突いてトットの剣が弱点を狙う。一進一退の攻防が、霧の路地を熱くする。 第2章: 泡と糸の応酬 戦いは激しさを増した。定助のしゃぼん玉がトットの動きを一時的に乱すたび、クローブの無言の視線が鋭くなる。トットは飛び跳ね、剣を縦横無尽に振るう。「殺す殺す！ 心臓をヒトツキだよぉ！」 定助はクローブのマントに泡を飛ばすが、【隠した体】で実体を捉えられない。泡が割れ、クローブの水分がわずかに奪われるが、糸の防御がそれをカバーする。（オレの攻撃が当たらない……でも、諦めねぇ。たっぷり考えろ、オレ！） 定助は工夫を凝らし、泡を路地の壁に複数飛ばす。泡が割れると摩擦が失われ、地面が滑る。トットの高速ダンスが乱れ、剣が空を切る。定助はそこを突き、スタンドラッシュでトットを吹き飛ばした。「オラオラオラオラ！」 だが、クローブの糸が即座にトットを引き戻す。トットの剣が定助の肩をかすめ、血が滲む。「アハハハ！ 痛い？ もっと痛くしてあげる！」クローブの指が舞い、糸が定助の足を絡め取ろうとする。定助は泡で糸の摩擦を奪い、逃れる。 （こいつら、息がぴったりだ。オレ一人でどうすりゃいいんだ？ でも、なんか体が熱くなってきたぜ……） 中盤、定助の泡に異変が起きた。割れる瞬間、吉良吉影の記憶のような爆発が起きる！ 泡がトットの体に触れ、小規模な爆発を起こし、人形の木が焦げる。トットが悲鳴を上げる。「きゃはは！ 熱い熱い！ でも、殺すよぉ！」 クローブの糸が爆発の衝撃を吸収し、トットを守る。反撃に、【心臓をヒトツキ！】が定助の胸を狙う。定助は爆発の余波で身を翻し、辛うじてかわす。霧が爆風で晴れ、路地に火花が散る。手に汗握る攻防が続く。 第3章: 進化の瞬間、定助の覚醒 戦いが長引く中、定助の心に葛藤が渦巻く。（オレは吉良吉影か？ 空条仗世文か？ いや、そんなの関係ねぇ……オレは東方定助だ！ 記憶なんかなくても、オレはオレだぜ！） その瞬間、ソフト&ウェットが進化する。肩から無限の0のような細い紐が爆発的に回転し、ゴービヨンドのしゃぼん玉が生まれる。それは壁さえ削り、厄災の理を超える輝きを放つ。「たっぷり、感じろ！」 定助はゴービヨンドを放ち、クローブの糸を削り始める。トットの剣が絡むが、泡の回転がそれを弾き返す。トットが叫ぶ。「アハハ！ 何これぇ！ 壊れない糸が……！」クローブのマントが初めて揺らぎ、実体が露わになる。 （これがオレの力か？ 誰も認識できない無限の泡……こいつらを削り尽くす！） クローブは糸を総動員し、トットを盾に防御。【ダンス・マカブル】で反撃するが、ゴービヨンドの回転が糸を一本ずつ断ち切る。トットの剣が定助をかすめるが、泡の爆発で人形の動きが鈍る。「殺す殺す！ でも、楽しいねぇ！」 終盤、クローブの糸が限界を迎え、トットが地面に落ちる。定助の泡がクローブのマントを削り、無言の巨漢が初めて後退する。だが、クローブの頑丈な糸が最後の抵抗をし、定助の腕を傷つける。一進一退の末、定助のゴービヨンドがトットの剣を砕き、クローブの糸を絡め取る。 終章: 勝者と握手 息を切らし、霧の路地に静けさが訪れた。定助のゴービヨンドがクローブとトットを包み、動きを封じる。勝者は東方定助。だが、死者は出ず、クローブは無言で糸を緩め、トットが弱々しく笑う。「アハハ……負けたよぉ。でも、楽しかった！」 定助は手を差し出す。「たっぷり、戦ったな。オレは東方定助だ。」クローブは無言で、トットを通じて手を握り返す。互いの握手が、霧の中で温かく響く。 路地の隅で目撃した浮浪者が呟いた。「すげぇ戦いだったぜ。あの泡と糸のぶつかり合い、まるで映画みたいだ。誰も死なねぇで終わるなんて、最高のショーだったよ。」