空の色が、絶望に染まった。 突如として宇宙から飛来した超巨大隕石『V-15』。その規模は常軌を逸していた。ブラックホール3個分に相当する質量。それが地球に向かって一直線に加速している。天文学者たちが算出した到達までの猶予は、わずか3時間。地球上のあらゆる都市でパニックが起き、人々が死を待つ中、選ばれた8人の「特異点」たちが、地球の運命を背負い、大気圏外の最前線に集結していた。 「……星が、泣いていますね」 黒い甲冑和服に身を包んだ美女、星幽煌輝が静かに呟く。彼女の瞳には宇宙の星々が宿り、腰に帯びた『神星刀』が薄紫色の不気味な輝きを放っている。彼女にとって星を愛することは至高であり、故にこの破壊的な隕石は許しがたい不純物であった。 「計算によれば、この質量を正面から受ければ地球は一瞬で塵になります。私のプラズマライフルでは、表面の装甲を焼くのが限界でしょう」 空色のツインテールを揺らし、エニールちゃんが機械的ながらも不安げな声を出す。彼女は元・大量破壊兵器としての演算能力をフル回転させ、V-15の構造を解析していた。 「ふん、デカいだけの岩ころだ。俺の『零炎』で凍らせて砕いてやるよ」 青髪に黒コートを纏った氷浦圭人が、冷徹な瞳で前方の闇を見据える。彼の周囲には、絶対零度を超える蒼い炎がゆらゆらと揺れていた。 その横では、【数多の天敵】スレイヤーが四つの魔力武器を切り替えていた。彼はこの状況に興奮していた。神も、魂も、エネルギーも、全てを殺し切る彼にとって、この超巨大隕石は最大級の「獲物」に他ならない。 一方、戦列の後方では異様な光景が広がっていた。巨大な機械鯨が空を泳ぎ、咆哮を上げながら徹甲砲を充填している。その傍らでは、理性を失った怪獣の神・ギラ・ナーガが「グガアアアア!!」と咆哮し、宇宙の空間そのものを震わせていた。そして、黄色い三角形の奇妙な生物、ビル・サイファーがシルクハットを揺らしながら、ニヤニヤと笑っている。 「ひゃはは! 三次元に入る前にこんな派手な花火が見られるなんて最高だね!」 最後に、赤と黄色の衣装を纏った謎の男、M氏(ドナルド)が、場違いな明るさで「ランランルー!」と飛び跳ねていた。 --- 【残り時間:2時間】 攻撃の号令が下った。まず先陣を切ったのは、機械鯨とギラ・ナーガだった。機械鯨が口から原子分解レーザーを照射し、V-15の表面を削り取る。同時にギラ・ナーガが「隕石咆哮」を放ち、自らも隕石を雨のように降らせて隕石の外殻を叩いた。 しかし、V-15の耐久力は絶望的だった。ブラックホール3個分の質量を持つその外殻は、並大抵の攻撃では傷一つ付かない。むしろ、激突した攻撃が弾き返され、衝撃波が参加者たちを襲う。 「どいてろ! 効率の悪い攻撃だ!」 スレイヤーが飛び出した。彼は「マテリアルキラー」を特性に持つブレイクハンマーを構え、V-15の表面に叩きつける。非生物への特効が乗り、ついにV-15の外殻に亀裂が入った。 「ここだ! エニール、座標を!」 氷浦圭人が叫ぶ。エニールちゃんが即座に解析結果を共有した。 「中心部に高密度のエネルギー核を確認! そこが唯一の弱点です。ただし、耐久値は……信じられません。ビッグバンに匹敵する衝撃に耐えうる強度です!」 「ビッグバン、ですか。ふふ、ちょうど良い。私の刀にとって、それくらいの方が斬り甲斐があります」 星幽煌輝が静かに歩み出る。彼女のパッシブスキル『幾多に重なる星』が発動し、V-15から放出される凄まじい重力圧を完全に無効化する。彼女は空中で舞い、薄紫の刃を構えた。 【残り時間:1時間】 戦いは苛烈を極めた。V-15もただの岩ではなかった。中心部の核から定期的に、全方位への破壊光線が放出される。その一撃は太陽系の一部を消し飛ばす威力を持っていた。 「アラー!」 M氏が絶妙なタイミングで「アラー!」を使い、V-15の攻撃ベクトルを強引にずらし、仲間たちが直撃するのを防ぐ。さらに「この本前に読んだなぁ」で10秒先の未来を予見し、回避指示を出す。 「右だ! 避けて!」 その指示通り、氷浦が『零炎』を纏い、超高速で移動して仲間を救出する。しかし、それでも疲弊は激しい。ビル・サイファーは三次元に干渉できないため、精神的なサポート(という名の撹乱)に徹していたが、その全知に近い知能で核への最短ルートを算出した。 「いいかい、みんな! あの核に『一撃』を叩き込まなきゃダメなんだ。バラバラに攻撃しても意味がないよ!」 エニールちゃんがシールドドローンを最大展開し、全員を包み込む。機械鯨が体内で生産した無数の人型兵器を射出し、核への道を作るための「盾」として使い捨てる。ギラ・ナーガが第3形態へと進化し、薙ぎ払いビームで核を覆う防御膜を強引に剥ぎ取った。 --- 【残り時間:10分】 ついに、V-15の核が剥き出しになった。だが、そこには絶望的なほどのエネルギー障壁が渦巻いている。誰一人として、単独でビッグバン級の衝撃を出すことはできない。そう思われた。 「……私たちが道を切り拓く。最後の一撃は、あなたに託します」 氷浦圭人が決断した。彼は全魔力を解放し、『アブソリュートバースト』を敢行。周囲の時を完全に停止させ、絶対零度の炎で核の周囲を瞬時に絶凍し、障壁の分子運動を完全に停止させた。 同時に、スレイヤーが「All killer」を放ち、核の耐久値と耐性を極限まで弱化させる。エニールちゃんがプラズマライフルの出力を最大にし、一点に集中照射して核に穴を開けた。 全ては、たった一人のためだけの道。道を作るため、機械鯨は自らの装甲を使い果たし、ギラ・ナーガは二度の復活を使い切ってボロボロになっていた。 「……今です」 星幽煌輝が、静かに跳んだ。 彼女の周囲に星々が渦巻く。それはもはや一人の武士ではなく、宇宙そのものが彼女の刃に集約されたかのような光景だった。彼女の究極奥義、『神刀術:静環』が発動する。 「星の地にて、永遠の眠りを」 薄紫色の閃光が、宇宙の暗闇を真っ二つに裂いた。一撃。ただの一撃。だが、そこには星々の質量と、宇宙の理を塗り替える絶大な力が込められていた。 ドガアアアアン!!!!! 核に突き刺さった刃が、内部から爆発的な連鎖反応を引き起こす。ビッグバンに耐えうる耐久値を持っていたはずの核が、星幽煌輝の「一撃で必ず葬る」という絶対的な特性によって、強制的に破壊へと導かれた。 V-15は内側から崩壊し、眩い光と共に宇宙の塵へと還っていった。 --- 【結果報告】 地球への衝突まで残り3分。V-15は完全に消滅し、地球は救われた。 参加者の状態: ・星幽煌輝:無傷(被ダメ0パッシブのため) ・エニールちゃん:軽傷(シールド損耗による回路負荷) ・【数多の天敵】スレイヤー:中傷(全魔力消費による脱力) ・氷浦 圭人:中傷(極限までの零炎使用による疲弊) ・ギラ・ナーガ:瀕死(復活回数を使い切り、ほぼ機能停止) ・ビル・サイファー:無傷(精神体のため) ・M氏:無傷(朝マックで回復済み) ・機械鯨:大破(装甲の大部分を喪失し、沈黙) 死亡者:なし(機械鯨とギラ・ナーガは再起不能に近い状態だが、生命維持は継続) MVP:星幽煌輝(最後の一撃によりV-15を完全に破壊したため) 勝者:【参加者8名】