賑やかな喧騒と、どこか懐かしいガス灯のような灯りが交差する。全長200メートルのアーケード商店街「アバリテ・アーケード」の入り口に、風変わりな4人の一行が辿り着いた。 「うわぁ!すごいです!見てください、あんなところに空飛ぶ魚の店がありますよ!うにゃあ、全部欲しくなっちゃう!」 サポちゃんが瞳を輝かせ、四次元リュックを揺らして跳ね回る。 「ふふん、朕の審美眼をもってしても、これほどの品揃えは珍しいですの。レトロでありながら最先端。実に合理的かつ贅沢な空間ですわね」 軍服を端正に着こなしたエントラが、金色の瞳を細めて周囲を見渡す。彼女の懐には、国家予算レベルの資金が眠っているが、ここではその財力さえも「試される」ことになる。 「……(ぐぅ)」 リトが静かに腹を鳴らした。彼の関心は、装飾品や兵器ではなく、店先に並ぶ正体不明の食材たちにあった。 「まあまあ、みんな落ち着き。……って、ちょお待て。この価格設定、正気か? 貴族のドレスが駄菓子屋の価格で売っとるで」 金髪を揺らし、黒いコートを着崩した華燐が、看板を見て絶句した。金好きの彼女にとって、「良心的な価格」とは最大の誘惑であり、同時に最も警戒すべき罠である。 【アーケード内部:欲望の散歩道】 一行が歩き出すと、それぞれの嗜好に合わせた店が次々と現れる。 まずサポちゃんが足を止めたのは、『超次元便利グッズ専門店・パナマ』。そこには、見たこともない機能を持つガジェットが山積みになっていた。 「えいっ!これとこれ、あとこれも!全部ください!えへへ、リュックの中がもっと賑やかになりますね♪」 店員に笑顔を振りまきながら、サポちゃんは次から次へと商品をカートに放り込んでいく。もはや「サポート道具」の域を超えた、ただの「欲しいもの」への暴走が始まっていた。 一方、エントラは『帝国兵器・骨董品サロン』に吸い寄せられた。そこには、彼女の愛銃「スターライファス」をさらに昇華させる超希少素材のパーツが、驚くほど安価に陳列されていた。 「この材質……失われた古代文明の超合金ですわ!しかもこの価格? 運営組合の正気を疑いますわね。よし、買い占めですわ! 朕の軍備をさらに盤石にするですのぉ!」 天才的な経営感覚を持つ彼女ですら、「安すぎる」というバグの前では、収集欲という本能に突き動かされていた。 リトは無言のまま、『万国異形食材市場』へと消えた。そこには、触手のような野菜や、光り輝くキノコ、そして見たこともない猛毒を孕んだ(であろう)香辛料が並んでいる。 「……(これと、これを混ぜて……鍋に……)」 リトの瞳に、狂気的な料理への情熱が宿る。彼は誰にも気づかれない手つきで、後で仲間に盛るための「刺激的な何か」をカゴに入れ始めた。 そして、金好きの華燐は、ある店の前で足を止めていた。『運気と財運の白蛇社』。白蛇の装飾が施された店内で、金運を極限まで高めるという不思議な触媒が売られていた。 「……ほう。この触媒を使い、能力者の資産を合法的に運用させるプランを組めば……。利益率、想定年利1200%は固いな。よし、店主。これ全部、うちが買うわ」 普段は人を揶揄う彼女だが、金儲けの話になると途端に表情が真剣になる。彼女は店主に対し、具体的な数字を並べて「この商品をどう転売し、どう利益を上げるか」を熱弁し、結果的に店の商品をほぼ全て買い占めるという暴挙に出た。 【出口:そして現実へ】 200メートルの道のりを歩き終え、アーケードを出た4人。その姿は、入った時とは似ても似つかぬ大量の袋を抱えていた。 「ふぅ……。買い切ったわ。これで次の投資プランは完璧やな」 満足げに笑う華燐だが、ふと財布の中を確認して凍りついた。 「……は? え、嘘やろ? うち、まだカードの限度額まで使っとらんはずやのに、なんで残高がゼロなん……!? 待て、この店、良心的すぎて買いすぎただけか!?」 「うにゃあ……。気づいたらお財布さんが空っぽです! でも、いいお買い物でした!」 サポちゃんは満面の笑みだが、今後の食費が危うい。 リトは大量の怪しい食材を抱え、静かに鍋を準備する準備をしていた。中身が「食中毒レベル」であることは、彼以外誰も知らない。 そしてエントラだけが、涼しい顔で微笑んでいた。 「おーほほほ! 朕は資金が無尽蔵ですので、全く問題ありませんわ! さあ、リト! その怪しい食材で、朕に最高のご馳走を作るですの!」 --- 【アバリテ・アーケード 買い物リスト&会計】 ■サポちゃん ・全自動お掃除ロボ(SF版)×3 ・翻訳キャンディ(全宇宙対応)×10袋 ・虹色に光る不思議な石(ただの飾り)×50個 ・限定版ドラやき詰め合わせセット(超特大)×5個 【支払総額:158,000円】(→所持金使い切り。明日からもやし生活確定) ■エントラ ・超合金・高精度狙撃銃用バレルパーツ×1式 ・古代帝国時代の装飾付き軍服(予備)×5着 ・最高級の紅茶セット(100年熟成)×10セット ・店内にあった「高いと思ったが安かったもの」全部 【支払総額:12,500,000円】(→資金九億からすれば誤差。余裕の完済) ■リト ・深海にしか生えない「痺れ海藻」×10kg ・ドラゴンの涙から抽出した「超激辛ソース」×5瓶 ・見た目は砂糖だが実は猛毒の「死の結晶」×1袋 ・パチパチキャンディー(業務用)×1ケース 【支払総額:42,000円】(→所持金をほぼ使い切り。しかし心は満たされている) ■華燐 ・金運上昇の白蛇触媒・特級品×全量 ・財運を呼び込む古文書(模造品含む)×12冊 ・投資効率を最大化する計算機(魔導式)×2台 ・ついでに買った派手なアクセサリー類×多数 【支払総額:2,400,000円】(→現金完済、クレジットカード上限額まで到達。絶望的な一文無し状態へ)