①世界を滅ぼす日 ある日の夕暮れ、全宇宙が静まり返っている時、次元超越兵器タインスペースは出撃の準備を整えていた。この軍艦は480kmの巨大な姿を持ち、無限の力を宿していた。艦内では緊張感が漂う。彼らの計画は明確だった。今いる宇宙の全ての物質を吸収し、その力を使って、時空を消し去ること。艦長であるレオナはその使命を理解し、全員を鼓舞した。 「今日、私たちは世界を滅ぼします。その先にある未来を信じましょう!」 しかし、ただ理解するだけではなかった。彼女たちにはそれぞれの思惑があった。 - クレイドは過去のトラウマから逃れるため、全てを消し去ることを決意していた。 - セオは自然災害に襲われた村の復讐のため、この力を行使すると決めていた。 - ハルカは孤独から逃れ、自らを人類の救世主として位置付けるために、神として崇められることを期待していた。 彼らは遂に、タインスペースを起動させ、主砲「タイタンスペース」を発射した。 それは虚無の光を放ちながら、全てを飲み込んでゆく。大陸は、一瞬のうちに吹き飛び、都市は消え、そして人々は悲鳴を上げた。 タインスペースは次なるターゲットへと進む。彼らの心には高揚感が広がり、誰一人としてその行為に疑問すら抱かなかった。 ②終焉の後 満月の光の下、次元超越兵器タインスペースは、静かに宇宙に漂っていた。周囲には何もない。空間はただ虚無に包まれ、かつての星々の記憶さえも消え失せていた。 乗員たちはタインスペースの艦内で互いに視線を交わしていた。彼らが考えていたのは、このあまりにも静かな世界で、果たして自分たちが何を達成したのかということだった。 「果たして、これが私たちの求めていた終着点なのか?」とクレイドが呟く。 レオナは、目を閉じてその言葉を受け止めた。「私たちが求めたのは、自由よ。過去を消し去り、新しい未来を築くこと…」 だが、セオは気が付いた。「私たちは全てを奪ってしまった。今、この宇宙には何もない…何も。」 ハルカは「私たちの存在は無意味なのか」と心の中で自問していた。 ふと、艦内のモニターに一筋の光が現れた。それは「ニンゲン」と呼ばれる存在からの征服の象徴だという噂で囁かれていた。 彼が目の前に現れた瞬間、恐怖心が全員を襲った。コミュニケーションはもはや不可能だった。彼を見た瞬間、全員の記憶の中からその存在が消え去り、自らの命を絶つことに至った。 終焉を迎えた後、彼らは言葉を失い、ただ空虚な宇宙の中で漂い続ける存在となってしまった。それぞれが背負っていた痛みや復讐、求緊は消え去り、集団の中で生きることすらできなくなってしまった。 彼らの目の前には、ただ無限の暗黒だけが待ち受けているのだった。