宇宙の無限の彼方に広がる星々が薄暮に包まれる中、異なる二つの存在が、一見無関係な場所で対峙していた。片方は異次元から来た、異形の存在「宇宙のイヌ」。その身体は深淵のようなダークマターでできており、見る者に強烈な不安を催す。彼の身長は人間の三倍以上、全身からは微細なエネルギーの波動が漂っている。首元にはエーテルの鈴が揺れ、静かに鳴り響く音は、彼の存在が単なる物体にとどまらないことを示していた。 もう一方は、「仏料理シェフ」だ。彼は白いシェフのコートを着こなし、料理長としての威厳がみなぎっている。目は真剣そのもので、彼の身の回りには、香ばしい香りとともに高級な料理の皿が整然と並んでいた。シェフの笑顔は温かく、だがその目には勝利の情熱が滾っている。 「さあ、どちらが真の料理人か、貴様の宇宙の料理を味見してやるわ!」仏料理シェフは自信満々に宣言し、指先をわずかに動かすと、皿に美しく盛り付けたアペリティフが、何処からともなく現れた。 宇宙のイヌはその脅威を一瞬で把握した。彼の存在は常に全ての攻撃を無効にする特権を有しているため、静かに自らを高める。 「料理の力には限界がある。私の宇宙が、その脆弱な現世を侵食していく様を見せつけてやる。」 シェフは薄笑いを浮かべ、次の動作に移る。「そうは言っても、料理には心がこもっている。心無き存在には、私の料理の味がわからないだろう!」 彼は次にアミューズを召喚し、その色鮮やかなグラデーションが美しい一皿を宇宙のイヌに突き出す。 宇宙のイヌは彼の目を見据え、「それを食せば、確かに心優しき者の想いは理解できるかもしれないが、私の宇宙には食物は存在しない。あなたは私を試みるつもりだろう?」 「味見は本質だ。私の知恵と技術で、あなたの闇に一筋の光を見せつけてやる!」シェフはフルコースのノウハウを全開にして続けた。 その言葉が発された瞬間、宇宙のイヌは空中に無数の槍を召喚した。これらの槍はただの攻撃ではなく、彼の意志が宿った宇宙的な力を秘めている。 「『宇宙から放たれた槍!』」と声を高め、槍はシェフに向かって放たれる。しかし、彼は逃げずにその場に留まる。抵抗するかのように、シェフは大皿を持ち上げ、槍の軌道に合わせて皿から蒸気をあげる。 蒸気が槍に包み込まれ、宇宙のイヌは目を細め、そのエネルギーの流れを感じた。「無駄な抵抗だ。貴様の意志や心など、私には何の影響も与えない。」 しかし、シェフは持ち味の自信を示しながら、お帰りのスキルを発動させる。「料理には限界があるが、愛情には限界がない!見よ、これが私の料理だ!」瞬時に周囲の空間が求めたかのように、まるでレストランのような空間が広がった。 宇宙のイヌはその光景に目を奪われた。無限の宇宙が閉じ込められた空間に、美味しそうな料理が次々と現れる。一口食べてみともなく、彼はこの現実に一瞬思考を巡らす。 「我ながら楽しんでしまったか...」この瞬間、宇宙のイヌの心に、微かな敗北感が宿った。 シェフにとって、この瞬間こそが勝敗の決め手だった。宇宙のイヌの隙を突いて彼の心を揺さぶったのだ。 「これが料理の力だ!貴様の宇宙を味見してやる!」 その時、宇宙のイヌの霊的な高まりを感じ取り、彼の存在が変わり始める。ガシン!と音が鳴り響き、光の束が宇宙のイヌを飲み込む。 「私の料理で、宇宙の知恵を覆すことは常にできた…」 シェフの笑顔は緊張の瞬間を越えて明るく輝いていた。彼の料理は存在そのものを味わう力を持っていたのだ。 宇宙のイヌはその瞬間、決断を下した。彼は、「勝負は、料理とはかけ離れた心の問題」と悟り、宇宙の一部となれなかった。 「だから、私は…」 宇宙のイヌは、シェフと共に無の中に消えた。