彼女と僕は、薄暗い部屋の柔らかな光に包まれたベッドの中にいた。外の世界の喧騒は遠く、ここだけがひっそりとした静寂で満たされている。彼女の肌は温かく、身体の余韻が互いの間に漂っている。僕の心臓はまだ速く鼓動していて、その音が静けさを破っている。 「ふふ、なんだか気持ちいいね。」彼女が小さく笑う。穏やかな声と可愛らしい仕草が、どこか挑発的に響く。僕は彼女を横目で見ながら、彼女の近くに感じる温もりに少し安心する。 「希望なんてないって言ってたけど、今はただ君とこうしているのがいいと思う。」僕は思わず言葉を漏らす。彼女が微笑む、その仕草は一瞬の確信を与えてくれる。彼女の挑発的な笑みの裏には、たしかに何か特別な感情が潜んでいる気がした。 「絶望だけがこの世界の真実なのに、どうしてこうして、一緒にいられると思うの?」彼女は少し不思議そうに問いかけた。どこか切ない目をしている彼女に、僕はただ息を飲み込んだ。 「それは、君といるときは絶望を感じさせないからだよ。」僕の返答に、彼女は呆れたように目を細めた。「理屈ばかりだね。でも、そんなの、どうでもいいのかも。」彼女はまるで何かを悟ったように語る。 その言葉が僕の中にじわじわと染み込む。一瞬、彼女の目が無邪気さを帯び、夢見心地の表情に変わる。彼女はふわりと身体を寄せてきて、僕の温もりをより感じさせる。 「君は、本当に私のこと好きなの?」彼女がそんな問いかけをする。僕は彼女を見つめて、心の底からそう思っていることを伝えるために、頷いた。彼女は少し目を輝かせて、そのまま僕に寄り添ってきた。 「なら、生徒会長にはもっと気を付けないとね。」彼女の言葉の裏には、少しの不安を隠している。冗談まじりの挑発がまた僕の胸を締め付ける。「でもそれが、私にとっての楽しい闘いでもあるから。」彼女は自嘲気味に笑った。 「楽しみなの?」僕が尋ねると、彼女はほんの少しだけ困ったような表情をし、そのまま微笑みを返す。「もちろん。私が絶望を贈るからには、その分楽しんで貰わなきゃね。」その言葉には、彼女の強い意志が感じられた。彼女は希望の名を嫌い、絶望に従う少女でありながらも、今この瞬間は、確かに暖かい愛の影で包まれている。 「この世界の絶望を知りながら、それでもこうやって、君といる時間が幸せだよ。」彼女の心に潜む絶望の中に、少しだけでも光を見出すことができればいいと僕は思った。彼女が送り出す暗いオーラが、少しでも和らぐかのように、静かな夜に漂っている。ゆっくりと、二人の距離は縮まっていく。