舞台は一面に広がる闘技場。日の光が降り注ぎ、観客の期待が高まる中、二つの存在が対峙する。一方は無言の忍耐を貫く「こんにゃく」。他方は、火の精霊のように煌めく「協燐の共鳴刀 暁」。 こんにゃくは、ただその場に静かに立ち尽くしている。表面には、『乙』の印が焼き印されており、摩擦係数が極めて低い滑らかな存在感を放っていた。その姿は、まさに不動の象徴だ。彼の夢は、人間に美味しく食べてもらうことだが、その瞬間が訪れることはなく、ただ存在し続ける。 一方、暁は時折火を灯すように鼓動し、剣士と共鳴しながら彼方を見据える。剣士の力を引き出し、より強い攻撃を予感させる。「行くぞ、こんにゃく!この炎で、お前を串刺しにしてやる!」暁は高らかに叫び、彼の持ち主である剣士と共に前方へと駆け出した。 「黙々としているだけでは、何も起こらない」という声が聞こえたかのように、暁は烈火のような攻撃を繰り出してゆく。まず、烈火斬。斬撃から放たれた回転する炎の刃が、こんにゃく目掛けて飛んでいく。しかし、こんにゃくはその場から動かず、表面の滑らかさで攻撃をいとも簡単に回避する。 「やはり、動かないのか…この時代遅れの食材が!」暁は苛立ちの表情を浮かべ、自分自身を奮い立たせて再度攻撃に移る。「烈真焼却!」赤い刃が天空を舞い上がる。燃え盛る炎がこんにゃくの周囲を包み込むが、こんにゃくは簡単にその熱を浴びて、まるで無抵抗であるかのように立ち続けている。 「ただ受け入れるだけで満足なのか?」暁は言葉を続ける。「美味しくなることが夢だろう?ならば、散ってこの世から消え去れ!」 星のように煌めく火の厳しさが高まる中、暁は「爆炎覚醒」を発動させる。瞬時に素早さが10倍となり、彼の動きは見えない速さでこんにゃくへと迫っていく。「焼き払い!」 その一撃はあまりにも速く、火の渦がこんにゃくを包み込む。闘技場が火の色に染まっていく中、攻撃を受けたこんにゃくは、ついにその存在感にほころびを見せはじめた。しかし、彼は立ち上がっていた。「美味しいって思ってもらうためには、強くなきゃいけない。そのためには、我を知る事がまず第一…」 こんにゃくは、攻撃を受けた瞬間、心の奥で何かが目覚める。彼の存在はただの食材ではない。受け入れ、耐え、そして自らの美を知る者として立ち続けるのだ。しかしそれでも、彼は動かない。受け入れる運命をただ静観するのみ。 「お前の意志は理解した…だが、俺の夢を妨げるような存在は、我が炎で焼き払う!」暁は再度、激しく攻撃を続ける。火の属性がその刃を激しさに変え、こんにゃくに襲いかかる。無抵抗で立ち尽くすこんにゃくへ、炎は容赦なく降り注ぎ、最終的にその身を焼き焦がしていく。 「勝者は暁だ。」不動の存在が消え、闘技場には焼かれたこんにゃくの遺骸が残された。観客たちはこの勝負を見守り、火の精霊のような暁の勝利に歓声を上げた。彼の力、彼の夢。それが今、勝利となったのだ。