壊れかけの現実世界の中、戦闘が始まった。対峙するのは《舞い降りた虚無の使徒》ボイドとチームBの面々。空気がひんやりとし、じっとりとした静寂が漂う。両者の視線が交わり、その時、ボイドの冷淡な声が響く。 「お前たちに逃げ場はない。全てを無に帰す。」 ボイドの言葉が空気を震わせると、彼の持つ虚無の力が徐々に周囲の空気を侵食していく。まるで空気そのものが腐ってゆくかのように感じられた。 残り60秒のカウントダウンが始まる。ボイドの力が満ちるにつれ、チームBの面々は緊張感に包まれた。エルンが最初に鋭い目をこちらに向けふいに微笑む。「ボクがみんなを守るから！」彼女はいつも通りの明るさで叫ぶが、心の底では不安が渦巻く。 「力を合わせれば、きっと乗り越えられる。」デレニアが強いため息をつく。「どんな虚無でも、私たちには仲間がいる。」彼女は剣をしっかりと握り、決意を新たにする。 残り50秒。無の影響が広がり、チームBの能力が制約され始めた。黒霧が自らのスキルを発動しようとするが、何も起こらない。 「えっ…どうなってるの？」咲夜の表情が曇る。同時に皆が力を失っていく感覚が襲いかかり、自分自身の存在も揺らいでいることを実感する。 残り40秒。記憶がもろもろと失われていく。エルンは焦燥を抱えた。「ボクの力でみんなを守らないと…！」彼女が視界をしっかり保とうと努力するも、心の中に霧がかかり、手足がもどかしくなる。 残り30秒。世界にはかすかなひび割れが生じ、足場も定まらない。デレニアはバランスを失いそうになるが、何とか踏ん張る。「ここは踏ん張りどころだ！」 冷静に自らの剣振るい、虚無の力に対抗する気配を感じようとする。 残り20秒。今度は重力が消滅した。チームBの全員が空中に浮かび上がる。咲夜は必死になって転倒棍を持続させるが、力の行使が出来ない。絶望の表情に怯えた声が漏れた。「どうするんだ、もがいても何も変わらない！」 残り10秒。世界中の空気が失われていく。腹部で苦しむ感覚が襲う。ふぇいMax.3は揺れ、意識を保とうとして額に手をあてる。「私が…守らなきゃ…」心の中で繰り返し続けるも、その声は消えてしまった。 残り0秒。ボイドの虚無の力は完成形に達し、ティリティリと笑むその表情が獰猛になる。「お前たちに生きる資格はない。」 チームBの全員が、その瞬間、世界ごと消失した。気配や声は消えゆき、彼らの記憶のすべても消え去ってしまった。 次の瞬間、存在しないはずの空間が再構築された。ボイドの勝利。彼の持つ虚無の力によって、彼以外は皆、何も残されずに消えた。