深夜の静寂に包まれた、古色蒼然とした巨大な屋敷。そこには、歴史的な価値を持つ数々の秘宝が眠っているという。しかし、同時にそこは「理不尽」が支配する死の迷宮でもあった。 今回の潜入メンバーは、あまりに噛み合わない五人組である。 無口な建築家スティーブと、神をも屠る装備を纏ったテラリアン。ギャグの化身として包丁を構えるデスモモイ。空から降ってきた正体不明の棒人間ジョン・ロッド。そして、戦場を蹂躙する黒い鋼の巨神ARCHIVE。 彼らに課せられたミッションはシンプルだ。合計15,000ゴールド以上のお宝を持ち帰り、生還すること。 第一章:静寂と混乱のロビー 屋敷の重厚な扉が開いた瞬間、一行は不気味な静寂に包まれた。廊下には豪華なシャンデリアが揺れ、壁には不気味な肖像画が並んでいる。 (……) スティーブは無表情のまま、ポケットから黄金のリンゴを取り出し、ムシャムシャと食べ始めた。隣に立つテラリアンは、全身から神々しい光を放つ「太陽の鎧」を纏い、周囲を警戒している。その手には、宇宙の理を切り裂く剣が握られていた。 「💢」 デスモモイは額に怒りマークを浮かべ、両手の包丁をガチャガチャと鳴らしている。彼女にとって、この潜入は単なる「お宝集め」ではなく、「ストレス解消」の場であるようだった。 その時、天井から「ガツン!」と鈍い音がして、二本の棒で構成された生命体ジョン・ロッドが降ってきた。彼は着地と同時に、周囲に警戒の眼差しを向ける。さらに、背後から駆動音と共に、高さ21.7メートルの黒い巨躯、ARCHIVEが壁を突き破って現れた。もはや潜入という概念は崩壊していたが、彼らは目的のために前進する。 「お、あそこに金貨の袋があるぞ」 誰が言ったわけでもないが、テラリアンが指し示した先には、1,000ゴールド相当の金貨袋が転がっていた。彼がそれを拾い上げた瞬間、廊下の奥から「ズシン……ズシン……」という重い足音が響き渡った。 第二章:見えない恐怖と動く石像 「……!」 スティーブが鋭く反応し、瞬時に地面に土ブロックを積み上げた。足音はどんどん近づいている。黒色の重騎士ゼニスだ。彼に見つかれば、どんなに装備が強くとも気絶確定という絶望的なルールがある。 一行は息を潜め、壁際に身を寄せた。ゼニスの巨躯が通り過ぎる。その間、テラリアンは「翼」を使い、天井付近を低空飛行して先読みを試みる。 しかし、彼らの背後には別の脅威がいた。戦士の石像エディである。エディは彼らが前方を向いている間、音もなく、しかし確実に距離を詰めていた。デスモモイがふと後ろを振り返ったとき、エディの指先が彼女の鼻先に触れようとしていた。 「💢!!」 モモイのギャグ補正が発動した。彼女は反射的に包丁でエディの足元を切り裂こうとしたが、ルールにより敵への攻撃は無効だ。しかし、彼女の「理不尽な動き」がエディの計算を狂わせた。モモイが急激に方向転換した拍子に、彼女の持っていたバナナの皮がエディの足元に張り付いた。 「ガシャン!」 石像が派手に転倒する。その隙に、一行は廊下の先にある宝物庫へと駆け出した。そこで彼らが見つけたのは、精巧な銀の燭台(3,000ゴールド)と、古びた宝石箱(2,000ゴールド)だった。 第三章:白い幼女と音の死神 合計額は6,000ゴールド。目標まであと少しだ。しかし、彼らの後ろにはいつの間にか、白いワンピースを着た幼女セリカがついてきていた。 彼女は何も喋らない。ただ、ひたすら、絶妙に邪魔な位置に立っている。テラリアンが歩こうとすると、ちょうど足元にスッと入り込む。スティーブがブロックを置こうとすると、その位置にちょこんと座り込む。 「(危ない……!)」 テラリアンは冷や汗を流した。彼女に触れてしまえば、その瞬間に全員脱出失敗という最悪のルールがある。もはや戦場よりも緊張感があった。 そんな緊張の中、ARCHIVEがその巨大な機体で廊下を突き進む。しかし、その重量は屋敷の床を軋ませた。「ギギギッ」という鋭い音が響いた瞬間、闇の中から唸り声と共に、大型銃を抱えた幽霊ウィニットが現れた。 ウィニットは音に敏感だ。ARCHIVEの駆動音を標的に定め、紅い閃光を放とうとした。その時、ジョン・ロッドが素早く動いた。スキル「足穿ち」でウィニットの足元を強打し、一瞬だけ体勢を崩させる。 だが、ウィニットの銃口は正確に、最も「音」を立てていたARCHIVEに向けられた。轟音と共に放たれた弾丸が、黒い装甲を貫通する。本来なら無敵に近いARCHIVEだったが、このゲームのルールは絶対である。一撃。巨神はそのままシステムダウンし、気絶して崩れ落ちた。 第四章:欲と絶望のフィナーレ 残されたメンバーは、さらに奥の「禁忌の間」へと到達した。そこには、眩いばかりの黄金の王冠(10,000ゴールド)が鎮座していた。 これを手に入れれば、合計20,000ゴールド。余裕で成功だ。 スティーブは迷わず王冠を掴み、インベントリに格納した。しかし、その瞬間、屋敷全体が激しく揺れた。彼らが王冠を奪ったことで、屋敷の警備体制が最大レベルに引き上げられたのだ。 「ズシン! ズシン!!」 ゼニスが戻ってきた。しかも、今度は三人体制で。さらに天井からはウィニットが、壁からはエディが、そして足元にはセリカが絶妙な位置に陣取っている。 「絶体絶命だな」とジョン・ロッドが棒の体で呟いた(ように見えた)。 脱出路は塞がれている。唯一の道は、セリカを避けながら、ゼニスの足音を回避し、ウィニットに音を悟られずに突破すること。そして、エディに背後を取られないこと。 テラリアンは「光の魔法」を使い、一瞬だけ敵の目を眩ませた。その隙に、スティーブがエリトラを展開し、花火を点火。猛烈なスピードで空中を舞い、メンバーを一人ずつ牽引しようとする。 しかし、ここで最大の悲劇が起きた。追い詰められたデスモモイが、あまりのストレスに「💢」をMAXまで溜め、理不尽な咆哮と共に暴れ出したのだ。 「アアアアアア!!」 彼女が激しく地団駄を踏んだ拍子に、足元にいたセリカに、ほんの数ミリ、服の裾が触れてしまった。 その瞬間、ゲームのシステムメッセージが頭の中に響き渡る。 【警告:参加者がセリカに接触しました。全員強制脱出失敗です】 エピローグ 真っ白な空間に、気絶した状態で転がっている五人の姿があった。彼らは後日、屋敷の管理人に「お宝を返して」と説得され、無事に救出されたが、集めたお宝はすべて没収された。 スティーブは無表情に、テラリアンは呆然と、デスモモイはまだ怒りマークを出したまま、空を見上げていた。ジョン・ロッドはただの棒に戻り、ARCHIVEは修理工場へと運ばれていった。 理不尽なルールと、さらに理不尽な仲間。彼らの潜入作戦は、最悪の形で幕を閉じたのである。 【リザルト】 脱出成功者: なし 脱出失敗者: Steve, Terrarian, デスモモイ, ジョン·ロッド, ARCHIVE 集めたお宝総額: 16,000ゴールド(没収済み)