【混沌の市街地デッドヒート:世界征服vs記憶喪失vs執行官vs軽トラ】 0. 開会式:狂乱の幕開け 舞台は、信号機と一般車、そして行き交う歩行者がひしめく、どこにでもある平凡な市街地。しかし、そこにはおよそ不釣り合いな「スタートライン」が引かれていた。全長5kmの一般公道を舞台にした、ルール無用の無法地帯レースである。 弥琉男:「フハハハ!このレースで得た賞金はすべて我が『世界征服軍団(仮)』の軍資金とする!見ていろ、世界は私の手のひらの中で踊ることになるのだ!」(※まだ組織員はゼロ) ノア:「ふぇぇ……私、なんでこんなことに……。帰りたーい……」 α(スマホ):「ノア、泣いている暇はありません。最速で走り抜き、この不条理なイベントを終わらせましょう」 威座内:「法を無視した暴走は罪である。だが、このレースに招待された以上、最適解は『完走』のみ。秩序の名の下に、貴殿らを置き去りにしよう」 かっちゃん:「おー、景気いいなあ。まあ、適当に野菜でも配りながら走るわい」 実況(おっさん):「さあさあ始まったぜぇ!!ルールはねぇ!ぶつかり合え!壊せ!警察が来たら全力で逃げろ!それがこのレースの唯一のルールだ!!」 解説(お姉さん):「素敵ですね!一般道路で全力疾走するという、市民の安全を完全に無視したアヴァンギャルドな試みです!期待が高まりますね!」 --- 1. 機体紹介:奇天烈なる乗り物たち 運営により、機体を持たない者には「特製」の乗り物が支給された。 【弥琉男】 車体名:ゴールド・エゴイスト号(金ピカのオープンカー。エンジン音が異常にうるさい) 最大速度:180km/h 重量:1.2t 大きさ:中型 【ノア】 車体名:パステル・バニー・ロケット(うさぎ型の小型ホバー。加速時に人参の煙が出る) 最大速度:220km/h 重量:0.3t 大きさ:極小 【威座内】 車体名:ジャッジメント・モノサイクル(漆黒の超高性能一輪車。重心バランスが物理法則を無視している) 最大速度:200km/h 重量:0.1t 大きさ:極小 【かっちゃん】 車体名:ハイゼット(旧規格軽トラ。荷台に大根とキャベツが山積み) 最大速度:110km/h(ただし農道に限る) 重量:0.8t 大きさ:小型 --- 2. 第一章:信号無視と唐辛子パウダー 「スタート!!!」 おっさんの怒号と共に、4台(および1輪)が猛烈な勢いで飛び出した! 先頭に躍り出たのは、エンジン音だけで近隣の窓ガラスを震わせる弥琉男のゴールド・エゴイスト号。彼は後方へ向けて不敵に笑う。 「フハハ!私のカリスマ性にひれ伏せ!」 だが、その横をシュルシュルと軽快に追い抜くのはノアのホバーだ。本人は「ふぇぇぇ!」と叫びながらハンドルを適当に回しているが、スマホのAI・αが完璧なライン取りを指示している。 「ノア、右へ30度。前方、信号が赤に変わります。無視して加速してください」 「ええっ!?無理だよぉ!」 結果的にノアは信号を猛スピードで突破。そこに居合わせた交番の警察官が「こらー!!」と笛を吹くが、αの計算通り、彼女は絶妙なドリフトで警察官の帽子だけを飛ばして突破した。 一方、弥琉男は焦った。隣を走る威座内の一輪車が、あまりに静かに、そして効率的に速度を上げているからだ。 「くっ、生意気な!食らえ!【目潰し】!!」 弥琉男が窓から唐辛子パウダーをぶちまける。真っ赤な粉末が宙に舞い、後続の車を襲う。しかし、威座内は眉ひとつ動かさない。 「【句芒・緑】。風の壁を構築し、不純物を排除する」 一瞬で緑の風が巻き起こり、唐辛子パウダーはすべて弥琉男の車内に逆流。金髪の男が「ぎゃあああ!目が!目がぁぁ!!」と絶叫しながら激しく蛇行し始めた! 実況:「出たぁー!自爆だ!世界征服者が自分の唐辛子で悶絶しているぞ!!」 解説:「いいですね!自業自得という最高のスパイスがレースに加わりました!料理でいうところの隠し味のようなものです!」 --- 3. 第二章:農道の支配者と執行官の演算 レースは中盤、住宅街から少し外れた入り組んだエリアへ。ここで事態は急変する。 「おっと、ここは道が混んどるな。ショートカットするわい」 ふんわりとした笑みを浮かべたかっちゃんが、いきなり歩道から生垣を突き破り、幅1メートルほどしかない細い農道へとハンドルを切った。ハイゼットがバチコーン!と四駆に切り替わり、泥を跳ね上げながら猛加速する。 「なんだあの軽トラは!?なぜあんな道を通れる!?」 混乱する弥琉男を尻目に、かっちゃんは農道沿いの住民に「おーい、キャベツ持っていけー!」と時速60kmで野菜を投げつけながら爆走する。これが結果的に後続車への障害物となり、一般車たちがキャベツを避けようとして大渋滞を引き起こした。 「計算外の変数です。しかし、最適解は常に一つ」 威座内が冷静に呟く。彼は一輪車の上で断罪剣・閻羅刀を抜いた。 「【蓐収・白】。白虎の跳躍」 一輪車が巨大な白い虎の幻影を纏い、渋滞している車の上を軽々と飛び越えていく。重力さえも法で縛り付けたかのような、美しくも冷酷な跳躍。その軌道は最短距離を指し示していた。 一方のノアは、パステル・バニーでパニック状態だった。 「ふぇぇ……もう無理!怖すぎるよぉ!」 「ノア、落ち着いてください。ここで記憶の断片にアクセスします。……あそこに見える標識の形、記憶にありませんか?」 αの問いかけに、ノアの脳裏に一瞬だけ、白い部屋と機械的な音が響く【記憶の断片】がよぎる。 (……こう、いう時は……こう、だったっけ……?) 無意識にノアがレバーを最大まで押し込む。ホバーから人参色の火炎が噴射され、彼女は音速に近い速度で威座内を追い抜いた! 実況:「速い!速すぎる!うさぎが虎を抜き去ったぞ!これはもう動物園の反乱だ!!」 解説:「うさぎが勝つという童話的な展開ですね!大人が納得する論理的な展開ではありませんが、それがエンターテインメントというものです!」 --- 4. 第三章:地獄の追跡者と世界征服の意地 残り1km。ここでついに「通報」が完了した。 サイレンの音が街中に鳴り響く。しかし、それは普通のパトカーではない。このレースのルールに基づき、ルールを破った者にだけ現れる「地獄の果てまで追いかけてくる警察軍団」である。 数百台のパトカーが、ヘリコプターと特殊部隊を伴い、猛烈な勢いで参加者たちを追い始めた。彼らの眼光は殺し屋のそれであり、逃げ切ることは不可能に思える。 「ひぃぃ!警察だ!本物の警察が来たぁぁ!!」 ノアが泣き叫ぶ。しかし、弥琉男だけは違った。 「フハハハ!こそこれが私の求めていた展開だ!国家権力に追われながらも逃げ切る、これこそ悪の親玉の様式美!!」 弥琉男は目潰しで真っ赤になった目をこすりながら、改造バット【強打】を車外に突き出した。 「道を開けろ!私は世界を征服する男だ!どけぇーー!!」 彼は後方から迫るパトカーのボンネットを、タイミングよく金属バットでフルスイング!ガシャァァァン!!と派手な音を立ててパトカーを弾き飛ばす。その衝撃でゴールド・エゴイスト号は激しく跳ね上がり、偶然にも前方を走っていた威座内の一輪車に衝突した。 「っ……不格好な攻撃だ」 威座内は空中で一回転し、見事に着地。しかし、パトカー軍団の包囲網は狭まっている。 実況:「絶体絶命だ!警察の執念が凄まじい!もはやレースではなく、逃亡劇だ!!」 解説:「追いかけっこですね!子供の頃にやった遊びを、大人が本気で、しかも国家予算を使ってやっている光景。実にシュールで素敵です!」 --- 5. 終盤:デッドヒート、そして覚醒 ゴールまで残り500メートル。視界に見えるのは、歓喜(あるいは混乱)に沸くゴールライン。 先頭を走るのは、AIの完璧なナビゲートで逃げ切ろうとするノア。しかし、その背後から、地獄の警察軍団を蹴散らしながら、超人的な速度で追い上げる威座内。さらに、農道から本道に合流し、「あー、もう時間や。夕飯の準備せな」と驚異的な軽トラ捌きで追い上げてくるかっちゃん。 そして最後尾から、パトカーをバットで殴り倒し、火を吹く車体で猛追する弥琉男。 「ここで負ければ、世界征服の夢は絶たれる!全開だぁぁぁ!!」 四者がほぼ同時に、最終直線へと突入した。ここではもはや機体の性能ではない。意地と執念のぶつかり合いである。 威座内が剣を天に掲げる。 「【融合召喚】。五行の力を一つに。最速の審判を下す!」 麒麟と青龍が融合し、黄金の閃光となって一輪車を加速させる。その速度はもはや光に近く、ノアの背中を捉えた。しかし、その時だった。 「ふぇぇ……もう、本当に嫌だぁぁぁ!!」 ノアが極限の恐怖とストレスにより、脳の深層に眠っていた【記憶の断片】と【覚えていた技】を強制的に結合させた。 (……思い出せ……私は、何をしていた……?何を、壊していた……!?) ノアの周囲に、黒いノイズのようなオーラが渦巻く。パステル・バニーが黒く染まり、空間そのものが歪み始めた。それはもはや乗り物ではなく、次元を切り裂く弾丸へと変貌する。 「【記憶の特異点・ゼロ・ディバイド】!!」 ドォォォォォォォン!! 爆音と共に、ノアが「瞬間移動」に近い速度で前方へ射出された。あまりの衝撃波に、隣を走っていた威座内の一輪車はスピンし、弥琉男のゴールド・エゴイスト号は文字通り空高く舞い上がり、かっちゃんのハイゼットは荷台のキャベツをすべて後方にぶちまけて急ブレーキをかけた。 空を飛ぶ弥琉男、キャベツの海に溺れるかっちゃん、そして衝撃で目を回す威座内。 その中心を、真っ黒な光となったノアが、一筋の線となってゴールラインを突き抜けた。 静寂が訪れる。 ノアはゴールの先で、ぼーっと空を見上げて呟いた。 「……なんで私、こんなことできるの……?」 実況:「決まったぁぁぁー!!!優勝はノア!!記憶喪失の少女が、すべてをなぎ倒して頂点に立ったぞ!!」 解説:「素晴らしい!最後は物理法則を完全に無視した精神的爆発による勝利!これぞ青春、これぞカオス!拍手しましょう!!」 後方からは、まだ怒りに燃える数百台のパトカーが、「逃がさんぞーーー!!」と絶叫しながらゴールラインを越えてきた。 --- 【最終結果】 1位:ノア 感想:「……怖かった。もう二度とやりたくない。あと、αちゃんに怒られそう」 2位:威座内 感想:「演算外の事態であった。あのような不可解な力……興味深い。だが、まずはこの警察の方々に、私の正当性を説明しなければならないな(包囲されている)」 3位:かっちゃん 感想:「いやぁ、いい運動になったわ。あ、キャベツ全部撒いた。もったいないなぁ」 4位:弥琉男 感想:「ガハハハ!見たか!あの空飛ぶダイブこそ、悪の親玉にふさわしい華麗な退場だ!……で、誰か私をここから降ろしてくれ。あと警察に、世界征服の計画書を読んでほしいと伝えてくれ!」