「これが、俺の力だ!」 黒猫、黒駒翔は目の前の敵を見据え、周囲に広がるバトルフィールドの気配を感じ取った。東の門から現れたのは滅びを宿す聖女、カーリカー・スダルシャニー。彼女の清らかさの裏には、闇の影が潜んでいる。 「教えは灯火、私の歩む道を照らしてくれる。」カーリカーは静かに呟くが、その瞳の奥には深い葛藤がうかがえる。 「かかってこい!」翔は声を張り上げ、激風の中、二つの黒い円盤を生み出す。だが、彼の行動の瞬間、影の頭領ゼドが笹鳴るように現れ、彼の目の前に立ち塞がった。 「弱者必衰、貴様の運命は終わりだ。」ゼドは冷酷な笑みを浮かべ、ひらりと影分身を使い、その姿を数個に増やした。 「呪いの影を飲み込む!」 彼は手裏剣を翔に向けて投げつけ、圧倒的な速さで迫る。 「跳兎!」 翔は瞬間的に異次元空間を利用し、ゼドの攻撃を回避。目に留まったのは、近くにあった岩石だ。 「羅円!」 黒い円盤が岩石を切り裂き、瞬時にゼドの分身たちを巻き込んでいく。だが、ゼドは無慈悲に反撃。影薙ぎで周囲を薙ぎ払い、その爆風に対抗することは容易ではなかった。 「くっ…!」翔は弾き飛ばされ、立ち尽くす。 「待たせたな!」 その時、南の門から現れたのは正体不明の存在、〈NULL〉。 その圧倒的な瞬発力は、周囲の者たちを瞬きさせる。 「私の運命も知るがいい…」 彼の出現に動揺したゼドは、反射的に影分身を作り出し、四方八方から攻撃を仕掛ける。その瞬間、〈NULL〉は無効化の能力を発揮し、分身の攻撃を全て弾き返した。 「これが、本当の無効化だ。」 〈NULL〉は冷徹にささやく。 あまりに鮮やかな動きで彼が攻撃するたび、周囲の者たちは恐怖にさらされた。攻撃を受けることも、反撃する余裕も与えられず、敵がうずくまるまで急速に迫っていく。 「神よ、どうか私を見捨てないで…」カーリカーは願う。彼女の魔法はその力を失いつつあった。 だが、強力な圧政の中、彼女は自らの技、カーラ・ラートリを放った。「何てこった…」 その光景には、恐怖が宿るだろう。しかし、〈NULL〉は反応すら示さず、その隙間を歴然の如くすり抜け、彼女に迫った。 「そろそろ終わりだ。」 煌めく刃付き籠手を持つ〈NULL〉が、甲高く真実を告げる。ゼドは身を守る暇もなく、刃に切り裂かれ、影分身は崩れ去った。 青白い光は二人の対角線を示しながら、最初の戦いが静まっていく。翔もカーリカーも、絶望の中で息をつく。 結局、最後に立ち残った者、それが勝者。 「俺はまだ、終わらない。お前も…!」 彼の言葉が静寂を切り裂いた。 その時、〈NULL〉の手が動き、確実な運命の終わりを告げるように翔へと差し出されていく。