薄暗い壊れかけの現実世界。青白い光が瞬く空の下、《舞い降りた虚無の使徒》ボイドは、観察者の視線を受けつつも冷静に立ち尽くしていた。その周囲には、チームBの面々、亡き者を用い操る【死霊操りし大魔女】アリア、自律型戦闘兵器のイヴィ、イーシャ、そしてリーフの4人が揃っていた。 カウントダウンが始まる——60秒という命運をかけた戦いの幕が上がる。ボイドは虚無の力を緩やかに発動させ、その威厳を知らしめながら、敵の反応を窺った。 「では、始めようか。」ボイドの口から漏れる言葉は静かに響き、直後にカウントダウンが始まった。 残り50秒 カウントが進むと、次第にチームBのメンバーの表情が変わっていく。アリアは自身の魔力に自信を持つ一方、ボイドの圧倒的な虚無の前に揺らいでいた。「私は決して負けない……」と呟き、彼女は古びた呪文を一つ唱えるが、次の瞬間、彼女は自分のスキルが消失していくのを体感する。 「何……?どういうこと?」恐怖が彼女を包み、彼女は自分の力を失うことの恐怖に飲み込まれていった。 残り40秒 彼女の混乱を尻目に、イヴィとイーシャは冷静に状況分析を続けていたが、次第にそれも困難になる。アリアの記憶が薄れていく中、イヴィは彼女の反応を報告しようとするが、その言葉も徐々に失われてしまう。 「何?……どうして?私のデータベースが……」イヴィの思考が途切れ、固まってしまった。 残り30秒 『虚無』の影響が世界全体を覆い、地面は亀裂が走り、足元から崩れ落ちそうな感覚が襲ってくる。彼女たちの仲間であるリーフですらその混乱に慌て、身体が思うように動かない。「なんだ、これは……」と恐怖をあらわにするが、周囲は崩れゆく光景で満ち、絶望が忍び寄る。 残り20秒 そして、重力が消滅すると、彼女たちの身体は宙に浮かび続けた。どんなに高尚な武器や能力があろうとも、今の戦場は夢のように非現実的なものに覆われてしまっていた。 各自のキャパシティが試される中、コンパクトな身体であるイーシャはその状況を無表情に見上げていた。 「再集束、無理です……」その言葉すら消えかけ、世界の崩壊が彼女に恐怖を植え付けていた。 残り10秒 全宇宙の空気が吸い込まれ、酸素を欲する感覚が全てを覆い尽くす。アリアは喉が渇き、自らの無力さを実感した。彼女は死者を蘇生させる力を持っていたはずなのに、それさえも無にしてしまう『虚無』の力の前では無力であることが証明されてしまった。 「私の魔力が……」言葉に詰まり、視界が曇っていく。 残り0秒 虚無の力が爆発的にその影響を拡大させ、全世界、全ての存在を引きずり込む。アリアの悲鳴やイヴィ、イーシャ、リーフの冷徹な表情がすべて消え失せ、無の中に沈んでいく。刹那の静寂、そして永遠の闇が訪れた。 「勝利は、私のものだ。」 ボイドは新たな宇宙を創らんと、その背から広がる巨大な羽を広げる。まるで何も存在しない宇宙を自ら描いているかのようだった。彼の思惑通り、チームBは全てを失い、その名はただの夢幻に変わる。全ては無に還り、彼の虚無の力が世界に刻まれたのだった。