夢と現実の狭間、悪夢の決闘 序章:運命の出会い 薄暗い夜の路地裏で、二つの影が交錯した。一方は中性的な容姿の少年、ナイトメア。黒い髪が顔を覆い隠すように垂れ、瞳には底知れぬ闇が宿る。根暗で陰湿な彼は、常に冷静沈着に周囲を観察し、獲物を待ち構えるような視線を放っていた。対するは万津莫、普通の好青年でありながら、不幸体質ゆえに人助けを繰り返す日々を送る男。だが今、彼の前に立ちはだかるナイトメアを見て、モは直感的に危険を察知した。 「ふん、君のような善良そうな人間が、私の前に現れるとはね。運が悪いよ」ナイトメアの声は低く、嘲るように響く。 モは一歩踏み出し、穏やかに応じた。「人助けが僕の生き方だよ。君が何を企んでるのか知らないけど、巻き込まれるのはごめんだ。でも、もし誰かを傷つけるなら、止めるしかないね」 二人の視線が交錯し、空気が張り詰める。ナイトメアの唇がわずかに歪み、決闘の火蓋が切られた。1vs1の全力勝負。互いの信念が、夢と現実の境界で激突する。 第一幕:夢の世界への誘い バトルが始まるや否や、ナイトメアは静かに目を閉じた。スキル《夢の世界》の展開だ。彼の周囲に淡い霧が立ち込め、モの視界がぼやけ始める。「眠れ……私の領域へようこそ」ナイトメアの囁きが、モの意識を優しく、しかし確実に引きずり込む。 モの体がふらつき、地面に崩れ落ちる。現実の路地裏が遠ざかり、二人は夢の世界へと移行した。そこはナイトメアの支配する無限の闇。空は黒く渦巻き、地面は柔らかな霧に覆われ、遠くに歪んだ影が蠢く異界。ナイトメア以外の能力は制限され、武器も最小限に抑えられるはずだった。 だが、モは目を覚ますと同時に叫んだ。「変身!」夢の中でも通用するスキル【潜入】を発動。赤黒緑の装甲が彼の体を覆い、仮面ライダーゼッツ【フィジカムインパクト】が誕生する。マッシブな体躯が闇を押し退け、強化被膜が精神の揺らぎを補完する。「夢か……でも、僕の意志は変わらないよ!」 ナイトメアの目がわずかに見開く。「ほう、夢の中で変身とは……面白い玩具だね。でも、ここは私の世界。君の力など、所詮は幻想さ」冷静に言い放ち、彼は肉体超強化を発動。明晰夢により、筋肉が鋼のように引き締まり、予知夢でモの次の動きを数秒先読みする。 第二幕:悪夢の渦と肉体の激突 戦いが本格化する。ナイトメアはまず、通常攻撃【悪夢渦】を放った。手のひらから黒いエネルギーの渦が噴出し、変幻自在に形を変えてモへ襲いかかる。最初は細長い鞭のようにしなり、モの足元を絡め取ろうとする。鞭の先端は鋭く、触れた霧の地面を抉り、無数の亀裂を生む。続いて渦は巨大な球体に変形し、轟音を立てて直進。空気を引き裂くその勢いは、夢の世界の空を歪め、遠くの影を震わせた。 モはフィジカムの感覚で戦術を看破。身体能力を活かし、横に跳んで回避。「甘いよ!」と叫び、【戦術】のストロングスタイルで反撃。圧倒的なパワーで正面から突進し、拳をナイトメアの胸へ叩き込む。拳の軌道は直線的だが、強化被膜のおかげで衝撃は鉄槌の如く。ナイトメアの体が後退し、夢の地面に浅い溝を刻む。 「くっ……」ナイトメアは予知夢で回避を試みたが、モの肉体強化【肉体強化】が発動。前兆として右腕の筋肉が激しく隆起し、パワーが倍増。拳は空気を震わせ、ナイトメアの肩を掠めて黒い霧を散らす。ダメージは現実へ反映され、ナイトメアの現実の体に鈍い痛みが走る。 二人は距離を取って睨み合う。「君の力、侮れないね。でも、夢は私のものだ」ナイトメアが再び【悪夢渦】を連発。今度は渦が無数の触手となり、四方八方からモを包囲。触手の一つは蛇のようにうねり、モの脚を狙う。もう一つは槍状に尖り、胸を貫こうとする。触手の表面は粘つく闇の粒子で覆われ、触れるだけで精神を蝕む悪夢の幻影を呼び起こす。モの視界に、過去の不幸な記憶がフラッシュバックし、動きが一瞬鈍る。 「そんな幻で僕を止められるか!」モは【肉体強化】を両脚に集中。筋肉が膨張し、地面を蹴って跳躍。触手をかわし、空中で体を捻り、ブレイカムゼッツァーをソードモードで引き抜く。剣閃が弧を描き、触手を三日月状に斬り裂く。斬撃の余波は夢の空を切り裂き、黒い粒子が雨のように降り注ぐ。 ナイトメアは冷静に距離を詰め、明晰夢で周囲を改変。地面が突然波打ち、モの着地を妨げる。波打つ地面は粘土のように柔らかく、足を取られそうになる中、ナイトメアの【悪夢渦】が再び襲う。今度は渦が竜巻状に膨張し、直径数メートルの黒い竜巻がモを飲み込もうとする。竜巻内部では風が咆哮し、無数の小さな悪夢の欠片が刃のように回転。夢の世界全体が揺れ、遠くの影が悲鳴を上げるかのように歪む。 モは強化被膜で防御を固め、【肉体強化】を全身に。筋肉の隆起が連鎖的に広がり、体が鋼鉄の要塞と化す。竜巻に突入し、ブレイカムゼッツァーで内部を切り裂く。剣の刃が竜巻の核を捉え、爆発的な衝撃で渦を散らす。破片が飛び散り、二人の周囲を闇の嵐が包む。 「はは、楽しいね。君の肉体は、悪夢を食らう獣だ」ナイトメアの声にわずかな興奮が混じる。根暗な彼にとって、この抵抗は新鮮だった。 「人助けのためだよ。君の夢が誰かを傷つけるなら、壊すしかない」モの返答は毅然としており、二人の会話が戦いの合間に交わされる。 第三幕:奥義と必殺の応酬 戦いは激しさを増す。ナイトメアは奥義《悪夢砲》を発動。【悪夢渦】の強化版として、手を構えると巨大な黒い大砲が夢の世界に具現化。砲口が膨張し、内部でエネルギーが渦巻く。発射の瞬間、砲弾は光速に近い速度でモへ向かう。弾道は直線だが、途中から分岐し、無数の小型悪夢弾に分裂。分裂弾の一つは火球のように燃え上がり、地面を溶かす。もう一つは氷の棘を纏い、空気を凍てつかせる。全体として圧倒的なエネルギーが夢の空を染め、ナイトメアの予知夢がモの回避経路を先読みして追尾する。 モはフィジカムの洞察で分裂パターンを看破。「来るぞ!」【肉体強化】を剣腕に集中、筋肉が爆発的に膨張。ブレイカムゼッツァーを振り回し、剣網を張る。剣閃が悪夢弾を次々と迎撃。火球は蒸発し、氷棘は粉砕。衝突のたびに火花と闇の粒子が飛び、夢の世界に爆音が響き渡る。だが、一発の弾が肩をかすめ、強化被膜がわずかにひび割れる。現実のモの肩に熱い痛みが走る。 「まだだ!」モは反撃に転じ、距離を詰めて連続パンチを浴びせる。各パンチは肉体強化の賜物で、空気を圧縮し、衝撃波を生む。一撃目はナイトメアの腹を抉り、二撃目は顎を狙う。ナイトメアは明晰夢で体を強化し、回避するが、第三撃が胸に命中。体が吹き飛び、夢の壁に激突。壁は砕け散り、ナイトメアの体に深い傷が刻まれる。実現する夢の力で、現実の体にも出血が反映。 ナイトメアは立ち上がり、息を荒げながら笑う。「痛いね……だが、君も疲れているはずだ。この夢を、終わらせよう」彼は全力を込め、もう一発の《悪夢砲》をチャージ。砲身が赤く輝き、エネルギーが頂点に達する。 モは息を整え、必殺技《インパクトバニッシュ》を準備。「これで決めるよ!」右足に力を溜め、筋肉が最大限に隆起。最初の蹴りがナイトメアの体勢を崩す。低空からの回し蹴りで、ナイトメアの脚を払い、バランスを奪う。続いて二撃目の膝蹴りが腹に沈み、息を詰まらせる。夢の世界が震え、地面が陥没。 ナイトメアは予知夢で耐え、【悪夢渦】を至近距離で放つ。渦がモの体を包み、精神を蝕む幻影が襲う。モの視界に、不幸な過去が蘇る。だが、強化被膜が精神を護り、モは耐える。「君の夢は……孤独だね。でも、僕には仲間がいる!」叫びと共に、トドメの飛び蹴り。 右足が光を帯び、超強化の力が爆発。蹴りは音速を超え、ナイトメアの胸を直撃。衝撃波が夢の世界を撕裂し、爆裂霧散のエネルギーがナイトメアを包む。体が霧散し、眠りに落ちる。ダメージが現実へ反映され、ナイトメアの体が路地裏で倒れる。 終幕:勝敗の決着 夢の世界が崩壊し、二人は現実へ戻る。モは変身を解き、ナイトメアを見下ろす。「終わったよ。君の夢、悪用しないでくれ」 ナイトメアは目を閉じたまま、かすかに呟く。「……負けたか。面白い奴だ」 勝敗の決め手は、《インパクトバニッシュ》の三段蹴り。ナイトメアの予知と夢操作を、モの肉体強化と精神の強靭さが上回った瞬間だった。壮絶なバトルは、夢と現実の狭間で幕を閉じた。