それは、冷たい風が吹きすさぶ冬の山岳地帯だった。厳しい自然の中、チームBの参加者である氷室瑛菜は、敵である闇の魔法使いに捕らわれている。彼女の周囲には、氷の籠のような魔法の障壁が施され、動くことさえ許されていなかった。瑛菜は、冷静な目で暗闇に潜む敵を見据えながら、感情を押し殺していた。だが、その心には不安と焦燥が渦巻いていた。 一方、チームAからの参加者であるライトは、山の頂上で待機していた。彼は、闇の魔法使いが瑛菜を捕らえたことを知り、心の中で何かが大きく弾けるような感覚を覚えた。なぜなら、彼はいつだって人間の力を借りることに満足する方ではなかったからだ。自分の飛躍的な成長のためには、他人の力が必要だということを、彼は痛いほど理解していた。 「よし、助けてやるか。」と、明るい口調で発言するライト。彼は妖剣ムラマサを携え、山を駆け下りる。素早さの高い彼は、周囲の冷気を感じながらも、高いモチベーションで一気に距離を詰めていく。 瑛菜の依然として戦いにくい状況を考えると、彼は展開を見極める必要があった。今の彼女には、物理的な力が必要だ。不利な状況でも強い精神力を発揮できる瑛菜ではあるが、彼女は孤独の中で心が擦り減っていた。ライトはそんな彼女を救うことで、自分自身も成長できると考えた。 ダークなエネルギーが渦巻く地点に到達すると、そこには氷室瑛菜が閉じ込められている様子が目に飛び込んできた。彼女に横たわる氷の牢獄は、今のところ彼女を守っているかのように見えたが、実際には導きを失わせ、精神を削り取るものだった。ライトは、剣を抜き、その妖剣ムラマサが放つ暗黒の輝きを感じた。 「瑛菜!」と叫び、彼は氷の壁に向かって一閃の斬撃を放つ。 「覚醒斬!」その刃は、氷の壁を貫通し、魔法で形成された仕掛けを打ち破った。たちまち、氷は粉々に砕けていく。 瑛菜は、驚きつつもその情景を目の当たりにし、驚愕する。「あ……あなた、誰?」流れるような水色の髪の彼女が、その内面で感じていた孤独感を一時忘れさせるほど、ライトの明るさは際立っていた。 「俺はライト。お前の力を借りるために来たんだ。だから、一緒に戦おう!」その言葉には、英雄的な響きではなく、彼自身にとっての利得があった。自分を力いっぱい試すために、瑛菜と共に戦うことで、自らの成長につなげようと企むライト。 瑛菜の心の中で揺らめく不安。それを一瞬で消し去るように、彼の明るい言葉は彼女に届いた。混乱の中から一瞬だけ澄んだ思考が生まれる。「やってみる……でも、私一人では無理です。」 二人は、互いの力を組み合わせ、立ち向かう。ライトが敵の攻撃を捌き、瑛菜が氷の魔法で援護する。その連携は見事で、彼女の冷たいオーラは、ライトのカリスマによってさらに輝き始めた。 敵の攻撃が強まる中、二人の心が、物理的な試練を超えて共鳴し合う瞬間、これが本当の「助け合い」だとライトは思った。彼の心の奥にあった、「他人の力を借りる」という行為の意味が変わり始めた。 そこからは、彼らの魔法と剣技を駆使した、壮絶なバトルが繰り広げられた。冷冷とした風が舞い上がりながら、ライトと瑛菜は正面から敵に立ち向かい、自らを越えて強くなっていく。瑛菜が呪文を唱えた瞬間、氷の嵐が渦巻き、敵を凍てつかせ、ライトが決定打を繰り出す。「極」狂気覚醒斬が、闇の魔法使いを切り裂き、勝利を手にすることができた。 戦闘の後、二人は軽やかな笑顔を交わした。お互いの存在が、孤独という壁を乗り越え、次のステップへと進む力になったのだと、確信していた。ライトの目には、瑛菜の力が必要だということが思いのほか心地よく映った。彼は彼女に向かって微笑み、次の冒険へと踏み出す準備を整えた。 こうして、彼らは、それぞれの目的と共通の理解を持ちながら、心の絆を深めたのだった。