荒れた海岸。波が荒れ、白い泡を立てるように、風が強く吹きすさぶ。傷んだ岩肌からは、黒い海水がいくつもの滝となって流れ落ちていた。空には暗雲が立ち込め、天の中には、悪しき力の象徴である海神御海が、その巨体を顕現させていた。寡黙なるその姿は、さながら海の怒りそのものである。 「我が名は御海。この海とともにある者よ。」 その声が、地面に響き、日本の海岸線を震わせた。同時に、周囲の海水がうねり、巨大な三又の槍『海神之鑓』が生成され、闘志を持つ者たちへと向かって突き刺さだろうとしていた。だが、その先には、正義のヒーロー、暁ルアが立ちはだかっていた。 「私が、私が全てを助けてあげるの!!」 小さな少女の手の中に、聖なる剣が召喚される。黄金の輝きがその身を包み、汚れた海の神に対抗する決意が漲る。彼女の後ろには、仲間の射手イ・ボクが控えていた。彼もまた、狂暴なる神に立ち向かう準備を進めていた。 「気をつけろ、ルア。あの神は不死身だ。」 イ・ボクは自身のM1ガーランドを構え、狙いを定める。周囲に立ち込める不穏な雰囲気、その奥深くにある威圧感が彼の心に恐れをもたらす。しかし、彼はそれを力に変えようとしていた。 「みんな、私のことを信じて!」 ルアは仲間たちの鼓舞に視線を向け、自身のスキル【聖剣】によって魔力を増幅させる。聖なる剣から発せられる光が彼女の周囲を照らし、彼女は決して退かないと誓った。その瞬間、彼女の中に秘められた力が目覚めた。 御海が先に行動を起こす。 「海神之狂暴。」 槍が勢いよく振り下ろされ、海水に宿った神力が炸裂する。周囲の海水が巨大な波となり、ルアの方へと襲い掛かってきた。ルアは慌てて後ろに跳ぶと、同時に彼女の周囲には五匹の聖獣が現れた。朱雀、白虎、青龍、玄武、そして自身を包み込む【祝福】の障壁が。戻るべきその波をすぐに打ち消す。 「聖なる力よ!みんなを守るんだ!」 祝福の光が溢れ出し、全味方の力を高める。波が砕ける瞬間、ルアは深呼吸し、続けざまにスキルを発動する。 「青龍!敵を囲み、蒼炎を吐いて!」 青龍が轟音とともに飛び立ち、海神の周囲を取り囲み、深青の炎が炎上する。海の神其の者が不意を突かれ、少し後ろに退いた。その隙を見逃さず、イ・ボクが狙撃を放つ。 「懺悔。」 銃床による打撃で緊張を解き、続けて射撃。追憶の数値が運よく上がっていく。 「追憶が閾値だ。」 次の瞬間、赤黒く燃え上がるスコープが装着される。彼のくぐもった声が融ける。 「凶弾、撃て!」 真紅の弾丸が飛び出し、爆発的なエネルギーを伴って海神に直撃する。波紋が広がり、周囲のはざまに瞬時に魔法陣が展開される。赤い魔法陣はすべての敵に向けて同時に弾丸を放つ。爆発的なエネルギーが炸裂し、海の神がわれがちに揺れ動く。 「うっ…! 我が身に魔力が…!」 だが、御海はすぐにその体を修復し、再生を始めた。幾度襲い掛かってもその無限の力に動じることはない。 「我には無駄であるぞ。」 そのまま海水で象られた巨人は【海神之庭】を発動させる。彼の周囲の海が一斉に立ち上がり、荒れ狂って二万kmの範囲を覆い尽くす。周囲の空気が重くなり、胃が締め付けられる感覚。 「こうなったら…!」 ルアは最後の手段を持ち出す。小さな杯で自らの全スキル効果を倍にする。 「聖杯の力、今こそ示せ!」 流れ込む力で彼女のステータスは倍増し、青い炎と共に自身を包み込む。ひたすら御海に刀を振るい続けた。 しかし、完全に押し潰される寸前、イ・ボクはもう一度【懺悔】を発動し、再び追憶の力を賜った。その全力による弾丸が御海に向けて放たれ、再び無数の魔法陣にてその圧力を弾き返す。 「仲間たち!最後の力を借りて!」 ルアの掛け声が聞こえたその瞬間、御海がその力に抗えずさらに後退した。彼女は海神を見上げ、その目に勇気と決意を強めていた。近くには仲間たちの勇気の光が顕現していた。 ついに、その圧力も実を結ぶ。圧倒的な神威をもって海神は領域を制覇され、そこに立ち向かう障壁は破られ、徐々にその体が崩れていくようだった。言葉にできない力が海と静まり交じり、勝利への道筋を感じ取る。 数分後、ついに沈静化された海。この勝負は、暁ルアと欲した射手イ・ボクの勝利であった。御海は深海の彼方へと退かざるを得なかった。 「やった!みんなの力があったからこそ…」 「やるじゃないか、ルア。お前がいる限り俺たちも戦える。」 最終的には、ルアの活躍が目立っていたが、イ・ボクの豪腕もしっかりと前面に出ていた。そう、ひとすじの光が闇を打ち払った瞬間でもあった。 勝者:暁ルア MVP:イ・ボク