不穏な空気が漂う広大な戦場。彼方には重厚な雲が立ち込め、暗い影を落としていた。装飾的な黒コートを纏った男、《「物語」の魔術師》フリードリヒが、その不敵な姿を現わした。 「ようこそ、私の舞台へ。物語は既に始まり、結末はあなた方に託された。」冷たい声を響かせながら、彼の左目には眼帯が覆われている。彼はまさに運命を操る存在であり、握った「愚者の書」がその能力を証明する武器となる。 対するのは、見た目は静かでありながら確固たる意志を持つ女、【藍海の母】ラスティ。彼女の周りには青い水の流れが溢れ、創生術によってさまざまな海の生き物たちが戦場を泳いでいた。彼女は感情を表に出さず、冷静に状況を分析していた。 さらに、フードを被った男【魔獣の心】ラビィト・ダヴィスキーも共にいた。彼は臆病な口調を使いながらも、目の前の敵に怯むことはない。彼もまた、呼び出した魔獣たちを駆使し、敵を討たんとする戦士であった。 ラスティは静かに詠唱を始める。「大海原〜ゼー・ヴィレ〜」すると周囲の水が渦を巻き、やがて戦場を水で包み込む。 「全能力を弱体化させてやる。」彼女の瞳が冷たく光る。水に包まれた敵の動きに動揺が見えた。しかしフリードリヒはその変化を笑うように嗤った。 「無駄だ、感情を込めた物語は無価値だ。」彼の言葉が響く。 一歩前に出たフリードリヒが「愚者の書」を広げる。彼の手が空を舞い、物語の起こりを綴り始める。 「起。」彼の声が舞台の幕を開ける。水が唸りをあげ、鯆が彼の攻撃を受け止める。 「承。」フリードリヒは黒コートを翻し、彼女たちの意識が少しずつ揺らぎ始める。 「転。」彼が次々に感動的な逆転劇を想像する中、ラビィトは冷静に動く。彼は瞬時に思考を巡らせ、創生術である「銃&刀兎」を召喚した。 何もかもが水に浸された戦場で、銃を持った兎たちは次々にフリードリヒに向けて弾を放つ。 「私の物語は未了だ、無駄な足掻きだ!」フリードリヒの眼は燃えていた。彼は右手を挙げ、「結。」と声をあげる。 勢いよく「愚者の書」に書き込まれたストーリーが彼の指先から飛び出し、周囲で展開される。 そして、彼の奥義「Gott ist tot」が発動する。食人魚のような骨が飛び出し、全ての敵の希望を食らい尽くそうとした。 「バキッ!」 水を包む力と無情な運命を操る力が、同時に塊となって五感を奪う。 だが、その瞬間にラスティは「千水刃〜サウザンド・スラッシュ〜」と叫び、全方向から水刃を轟かせ、フリードリヒの攻撃を切り刻んだ。 一瞬の隙間を甘んじていたラビィトが「魔獣砲!」と叫びながら、集めた全ての魔力を注ぎ込んだ。彼は命を懸けてその一撃を繰り出す。 水に包まれた戦場で、光を失う魔法が爆発する。しかしその直後、フリードリヒの持つ「愚者の書」が光り輝いた。彼の魔力に反応するように水の中から現れる骨の食人魚たちが、再び彼の意志を形にした。 「運命は変えられない。私の物語が勝つのだ。」彼の声が虚空に響き渡る。 フリードリヒは突破口を見出そうと背筋を伸ばし、無情にほほえむ。 過剰な攻撃にさらされる中、ラスティの夢イルカたちが空中を舞い続け、敵の攻撃を受け止める。 「我が名は、抗う者。」彼女はその瞬間を見逃さず、次なる詠唱を決める。「水巨砲〜アクア・カノン〜」山をも貫く水の攻撃がフリードリヒに向かって降り注ぐ。 フリードリヒは攻撃を受けきれず、驚愕の表情を浮かべる。「いけない、物語が消えてしまう!」 彼の眼帯が弾け飛び、感情の一道が漏れ出る。水の竜巻の中で、再び夢イルカと夜シャチがフリードリヒを包み込む。 「私は諦めない!運命を操る!」フリードリヒは「愚者の書」を最後の力を振り絞り、無理やり手元に引き寄せる。 しかし、鮮やかな水の力と魔獣たちの圧倒的な攻撃に晒され、次第に彼の意識も曖昧になっていく。 ラビィトもラストをかけて再度創生術を行おうとする。「月兎と狼!」無敵の二匹が戦場に現れる! 青と白の魔獣たちが、フリードリヒに向かって進撃する。 最後の瞬間にフリードリヒは手を振り上げ、彼の目に宿る絶望。 「私の物語が負けるはずがない!それでも、大逆転劇は……」 しかし、戦場が静止した瞬間、ラスティたちの結束と、魔獣たちの力が合わさった一撃が極限まで接近していた。そして、その破壊力がフリードリヒの覚悟をを打ち破り、彼は倒れ、希望を失った。 水と魔獣の圧倒的な力に敗れたフリードリヒ。 最後の言葉は彼の背中を流れる水の中に消えていった。 \n 【勝者】 藍海の母ラスティ & 魔獣の心ラビィト・ダヴィスキー 泥のように沈み込んでいくフリードリヒは「無価値な物語」扉を閉じた。彼の物語は、ここに終わりを告げた。