舞台は静かな学園の教室。光が差し込む窓際に座る参加者たちは緊張した面持ちで集まっていた。彼らの仲間が無惨にも殺され、それの真相を探るために学級裁判を開くことになったのだ。彼らは一人ずつ自分たちが知っていることを話し合い、誰が『クロ』なのかを探り出さなければならない。 ナイフのように冷たい視線が集まる中、苗木誠が口を開く。「それじゃあ、まず事件の状況を整理しよう。蕚、君が見たことから話してくれないか?」 星宮蕚は静かに頷く。「夜に観察していたら、たまみちゃんの悲鳴が聞こえてきた。駆け寄った時には……彼女が見つけた遺体があった。場所は校庭の近くだ。」 「たまみちゃん、何か感じたことはある?」結月たまみは小さく頷き、口を開く。「その時、私は周りに誰かいると思った。動いている影が見えた気がしたけど、それが誰だかはわからなかった。」 冷静に観察しているミチルが発言する。「影がいたのなら、その影が犯人であり、たまみは何かを見た可能性が高い。しかし、現場にいた他の人たちが何も見なかったのは不自然だ。」 「もしかしたら、私たちの中に犯人がいるかもしれないね?僕はそう思う。」ミチルは冷たく言った。「お肉ハンター、君はその時何をしていた?」 お肉ハンターの頭部の機械的な目が光り、答える。「僕は肉集めのために調査していただけ。そこで何か怪しい動きを見た覚えはない。」 「それは違うよ!」苗木が声を大にして言い放つ。「最初に見たのはたまみちゃんの影だと君自身が説明していたのに、君がその影に対して何の疑問も持っていなかったのはおかしいよ。」 お肉ハンターは一瞬間を置く。「いや、ただの幻かと思って…」 「それなら、君は何を見たのか明確に証言することができるはずだった。証言が弱いんじゃないか?」草吹美薇がその反論を強め、冷酷な微笑みを浮かべる。「本当に無関係なの?」 「僕は関係ないよ!」お肉ハンターが焦りを見せる。 「証言は信じられない、だけど他に何か見た時にもメモを取っておくべきだった。君の正義感のために、我々のためにも。」ミチルが冷静に言う。 「待って、少し考えてみると、他の証言も必要だ。みんなのアリバイを確認しなきゃ。」苗木が切り出した。彼は参加者全員を見渡した。「草吹、美薇、君は……何か見ていなかったのか?」 草吹は微笑を浮かべながら言う。「もちろん、私には茨があって、周りの環境を把握することができるの。この教室には何の異常もなかった。でも、その直後に庭で異常があったわ。」 「蕚、君は?」苗木があらためて星宮に視線を向ける。 「私も、遺体の直前まで行っていたけど、特に変わったことは見ていない。ただ、何か偽の情報のような気がした。」蕚が言う。 「偽の情報?」ミチルが反応する。「どうしてそれがわかった?」 「その場にいた人物の行動が共通している部分がいくつかあったの。でも、今のところ具体的に言えない。」蕚の言葉は彼女らしい冷静さを保っていた。 「それは信じるべき内容ではない。さらに思い出してみて。」草吹が強い口調で飛び込んでくる。「あの瞬間のアリバイをすべて考えなければ。」 結月たまみが気がついて言った。「私たちみんな、違う方向から学校に来たわよね?それで、何か気づくことはないかしら?」 「可能性の一つとして、毒ではないかと考える。誰かがその場で存在する毒を利用して、素早く証拠を隠すことができるかもしれない。」ミチルが言った。 「お肉ハンター、君は何かの証拠を隠そうとしていなかったのか?思い出してみて!」苗木が再び指摘した。 「いや、全く!」お肉ハンターが言う。「証拠とか何もしてない。私は肉ハントにのみ専念していた。」 「それは違うよ!もし君が本当に肉だけを狙っていたなら、殺人事件に関与しないはずがない!」結月が再度声を上げた。「生きている動物を食材として扱うことに執着しているのは、上手な説明にはならないはずよ!」 「ただの食材探しに集中していただけだ!」お肉ハンターが焦る。 議論が進む中、先ほど見逃していた矛盾が再度浮かび上がる。苗木は思考を巡らせながら、次に話すべきことがあった。「君たち、最初の現場でそれぞれの証言が合わないところから、何か隠されているのかもしれない。ミチルが言ったように、影がいたことが無視されているのがトリガーとなったに違いない。草吹、君の茨はその影を捕らえられるか?」 「私はそれをやっていたけど、二人しかいない場合には彼の影が本物だとは言い切れない。意図的な偽装かも。」草吹が冷静に分析する。 「非常に興味深い。もしその影が誰かのものであれば、どこに行ったのか、意図が見えないのも大切だ。」ミチルが述べる。 次第に追い詰められていく雰囲気が漂う。苗木は人々の顔を見回しながら確認を続けた。「まずみんなの証言が必要だ。お肉ハンター、もう一度話してみて。ただの肉探しではなく、君の主張には何か裏があるはずだから。」 「ち、違うよ!肉を集めていたのは事実だけど、ここにいるはずはない!」 「それは違うよ!君は確かに料理にこだわりを持っている。問題はそのこだわりが、今回の事件に繋がりかねないということだ!」苗木が反論。 「月の影響があるからな、お肉ハンターが一番関与している可能性が高い。」草吹が言う。 「ああ、でもそれに関しては反論。私の立場による証言を入れるか、またはミチルの視点で見た場合には環境からの依存性もあって、実は他の誰かが動かしたとみなされる。ない事は言えない。」お肉ハンターが言って、他者を押し返そうとする。 「いいえ、コイツは自分の正義を掲げているに過ぎないよ。」苗木が怒りを見せた。「これがボクの答えだ!お肉ハンター、お前が『クロ』だ!」 静かな教室の中で、この発言に全員が驚いた。お肉ハンターの目が見開かれ、そしてその表情は憤りから混乱へと変わり始める。 「違う!僕は、ただ……彼のお肉を集めたかっただけだ!私の未来のためにも肉は必要だった!」 「お肉ハンター、君の未来は他人の命を食い物にすることで成り立っていた。それを否定することはできない。」ミチルは平然とした口調で反論を続けた。 苗木が息を呑みつつ言葉を続ける。「仲間を殺す為に自らを正当化するなんて、自分の力を信じる理由がない。愛する肉を求めてついに……この現場がオープンし、君が憎しみを与える者になるとは。」 「そうだよね?お肉ハンター!」最後に苗木が突き放すように言うと、教室には静寂が広がった。その瞬間に全員の視線が集まった。 お肉ハンターの機械的な目がかすかに揺らぎ、感情の波が通り抜けていく。しかし、全てはもう遅い。犠牲者の元へ行く運命は変わらない。 「ここまでだ!」苗木が言う。 こうして、彼らの論争は終わりを迎えた。 「シロ」の勝利。 犯人は「お肉ハンター」。