喫茶店Dallasでバトル――ライムちゃん対・魔機ジャコランタ 夜の喫茶店「Dallas」。窓の外では、お星さまがキラキラと瞬いていた。 店内では、緑髪ツインテールのメイド、ライムちゃんが虹色のペンをくるくる回しながら、スマホのソシャゲを遊んでいる。漫画を読む手も止めない自由奔放ぶりだが、店の空気をぱっと明るくするのは彼女の得意技だ。 「本日の余興は、ライムちゃんとのバトルでーす! 参加費は一人5000円。あたしにはそのうち1500円が入るんだって。よーし、がんばって稼ぐにゃー!」 店主のマスターDは、頭に魚を載せた三毛猫。丸眼鏡の奥で、のほほんと目を細める。 「経営的にも実に健全だな~。ところで俺なら、プリンターで超巨大ビル作って頭上にドカーンだけどな~」 「店の余興でやることじゃねえ!」 審判役のごついおっさんが即座に止めた。筋肉質な体に黒革のジャケット、立派なあごひげ。若い頃は王宮に仕えた剣士だが、今は平和にコーヒーを楽しむ常連客である。今日は観戦と実況、そして安全管理を担当する。 そのとき、ドアがゆっくり開いた。 入ってきたのは、紫の防弾ローブに南瓜ズボン、横縞靴下を身につけた橙色のロボット――魔機・ジャコランタ。胸部コクピットの中では、お化け魔術師ジャコーが操縦桿を握っている。 「トリック・オア・バトル! 子供たちとお菓子を食べて暮らす俺たちだが、収穫祭の気配を求めて旅をしている! この戦いも、楽しい悪戯にしてやろう!」 「喫茶店で悪戯はほどほどにね。テーブルを壊したらお小遣いから引くよ~」と、マスターD。 「まずはルール確認だ。客席への攻撃は禁止、店外へ出たら場外。店内設備への損害は記録する。いいな?」 「了解!」とライムちゃん。「ギャグ漫画のお約束は、店の備品を壊さずに活用する方向でいくにゃん!」 「お、お約束に安全運転があるのか……」と、ごついおっさんが審判旗を構えた。 開戦! 「試合開始!」 ジャコランタの目が燃え上がる。 「ハイビームランタン!」 ウィスプ光線がライムちゃんへ一直線――かと思いきや、ライムちゃんは虹色のペンで空中に大きな湯気マークを描いた。 ぽんっ! 湯気マークは、ふわふわの巨大な「喫茶店おしぼり」に実体化。光線を受け止めたおしぼりは、温泉のように湯気を立てながら、ジャコランタの顔をきれいに拭いた。 「おおっ、目がピカピカになった!」 「攻撃をおしぼりで受け流すとは……理にかなってるようで、理が迷子だ!」ごついおっさんが実況する。 ライムちゃんはペンを掲げ、戦闘中の食材を説明した。 【虹のペンで描いた喫茶店風ギャグ食材】 - プリン・トラップ:ぷるぷるの大きなプリンを実体化。踏むと相手がぽよんと跳ね、転倒ではなく安全な座り込みになる。 - びっくりホットケーキ:焼きたてのホットケーキを実体化。ひっくり返る勢いで相手をふわりと弾き返す。 - のびーるナポリタン:ナポリタンを実体化。麺が伸びて相手の手足をやさしく絡め取り、動きを封じる。食べるとおいしい。 - まんまるクリームソーダ:巨大なクリームソーダを実体化。泡がクッションになり、落下や衝撃を受け止める。 「メニューが全部、武器じゃなくて喫茶店だ!」 「喫茶店のメニューは万能にゃん!」 ジャコランタは口を開く。 「トリートシューター!」 魔法のキャンディが雨あられと飛び出した。ライムちゃんはびっくりホットケーキを描き、両手でひっくり返す。 ぽーん、ぽーん、ぽーん! キャンディはホットケーキに吸い寄せられ、色とりどりのトッピングになった。最後の一個は審判のおっさんの頭に着地する。 「俺までデコレーションするな!」 「審判さん、今日の新作ですよ!」 「……うまい。だが試合中に食べるのは反則じゃないよな?」 「審判が食べてどうする!」 分離攻撃と、麺の逆襲 「ならば、これだ! スプリットトリック!」 ジャコランタの上半身と下半身が、ガコンッと分離した。上半身は空中を浮遊し、パンチを繰り出す。下半身は床を走り、キックを狙う。 「上下別々に動くなんて、ずるいにゃー!」 「合体してるより、むしろ攻撃範囲が広い!」と審判。 ライムちゃんは、テーブルの間をすり抜けて攻撃を回避。判断の早さはさすがだった。上半身のパンチはメニュー立てをかすめ、下半身のキックは空振りして、ちょうど置かれていたクッションに着地する。 「攻撃は続行! でも備品は無事!」 ライムちゃんが描いたのは、のびーるナポリタン。実体化した麺は、空中の上半身と床を走る下半身をそれぞれくるりと巻いた。 「うわっ、上下で別々に拘束された!」 「しかもソースのいい匂いがする!」 「戦闘中に食欲を刺激する作戦、見事だな」とマスターDが感心する。 だが、ジャコランタの顔に傷がついた。ロボットは一瞬しょんぼりしたあと、頭部を外して新しい顔に取り替える。 「フェイスチェンジ! 今度は狼男フェイスだ!」 頭部が狼男に変わり、鋭い牙がのぞく。傷はすっかり消え、ロボットは元気を取り戻した。 「回復しながら顔まで変えるとは、なかなか器用だな!」 「次は吸血鬼、火龍、どれにするか迷うなあ!」と胸部コクピットのジャコー。 「その前に、麺をほどいてください!」ライムちゃんが言う。 ジャコランタはナポリタンをほどこうとしたが、麺は思った以上に頑丈だった。結局、ジャコーがコクピットからフォークを取り出し、くるくる巻いて食べ始める。 「おいしい! 戦いの合間のおやつにぴったりだ!」 「敵に食材を献上する試合になってるぞ!」 猫耳メイド、登場! 「そろそろ決着にゃん!」 ライムちゃんのメイド服が、きらりと光る。ギャグ補正がぐんと強まり、頭にはふわふわの猫耳。しっぽまで揺れる猫耳メイド姿に変身した。 「猫耳メイドモード! ✧(≖ ◡ ≖✿)✧」 「かわいい! だが、ただかわいいだけじゃないぞ……!」と、ごついおっさんが審判席で身構える。 ライムちゃんは虹色のペンで、巨大なコーヒーカップを描いた。カップは店内の空いたスペースに実体化し、柔らかなクッションの座席まで備えている。 「ジャコランタさん、こちらへどうぞ!」 「おっ、コーヒー付きの特等席か?」 「ご利用ありがとうございますにゃん!」 ライムちゃんはジャコランタを巨大カップへ乗せる。ジャコランタは悪戯を楽しむように両手を振った。 「これは何の余興だ? 回転木馬か?」 「いくよー! 超高速コーヒーカップ!」 カップがぐるぐるぐるぐるぐるぐる――。 ジャコランタの狼男フェイスが、回転のたびに狼、吸血鬼、火龍、丸いパンケーキへと見えるほど揺れる。 「おおおお! 収穫祭より目が回るぅぅぅ!」 「回転速度、店内安全基準をぎりぎり守っている! ライム、うまい調整だ!」と審判のおっさん。 「ギャグ補正で、回転の勢いは店外向きにゃー!」 カップはドアを通り抜け、ジャコランタを乗せたまま外へ――ぽーん! 夜空に飛び出したジャコランタは、きらきら星の間をくるくる回り、店の外の芝生にふわりと着地した。まんまるクリームソーダの泡クッションが追いかけてきて、最後の衝撃まで受け止める。 「場外! 勝者、ライムちゃん!」 ごついおっさんの宣告に、店内から拍手が起きた。 「いやあ、楽しい悪戯だった! 次の収穫祭の旅でも、この回転を思い出すぞ!」とジャコー。 「また来てねー! 次はパンケーキも食べていってにゃん!」 マスターDは創造神プリンターをしまいながら、残念そうに言う。 「巨大ビルを出す出番がなかったな~」 「出番がなくてよかったんだよ!」と、ごついおっさん。 外の夜空では、お星さまがひときわ明るくキラキラ✨と瞬いた。 「今夜の勝負は、光線もキャンディもナポリタンも、最後は笑顔に変わったね。Dallasの夜は、星までくるくる回るくらい楽しいよ🌟」 ライムちゃんは虹色のペンを胸元にしまい、スマホのゲーム画面を確認する。 「よーし、勝利報酬の時間! あ、次のイベント始まってるにゃー!」 「その切り替えの速さが、君の最大の武器だな……」と、審判のおっさんは感心した。 被害額(円) - 店内のテーブル・椅子:破損なし、0円 - メニュー立て:破損なし、0円 - 店の床・壁・窓:損傷なし、0円 - 巨大コーヒーカップ:虹のペンで実体化した演出用アイテム。店内設備への損害なし、0円 - 飲食物の追加消費:ジャコランタがナポリタンを食べた分は試合演出内の食材として計上、追加請求なし、0円 - 被害額合計:0円