ある静かな庭園の一隅、まるで時が止まっているかのような場所で、二つの異なる存在が対峙していた。一方は、つるんとした表面を持つ蒟蒻、もう一方は優雅に空を飛ぶ半人半霊の剣士、魂魄 妖夢だ。 「貴方が食材とは、思えないわね。まるで、ただそこに存在するだけのようだわ」と妖夢が微笑みながら言うと、蒟蒻は無言で反応を示さない。彼の存在は圧倒的な静寂を纏い、ただじっと立っている。 「黙っていると、勝負が進まないわよ?私の剣は、静かに待っているわ」と妖夢は言い、柄を強く握りしめた。彼女は剣を振るうための準備を整えながら、相手の動きを窺う。 「…妖が鍛えた楼観剣、斬れぬ物等殆ど無い!」と唸り、妖夢が大きく一刀を振るう。風を切る音が芳しい緊張と共に響く。瞬間、妖夢はつるっとした蒟蒻に向かって果敢に斬りかかった。 しかし、蒟蒻はその一撃を容易にかわした。彼の表面は滑らかで、剣の切っ先はまるで水のように流れ去る。「なぜ、あなたは逃げるの?食材である以上、受け入れればいいのに」と妖夢が不思議に思いながら彼の動きを見つめる。 蒟蒻はそのまま立ち続け、心の奥底で存在意味を証明しようとしているかのようだ。「努力して美味しく人間に食べてもらうことが、私の夢だから」と彼自身の目指すところを静かに抱いている。 再び剣を振るう妖夢。彼女の動きは滑らかで、連続した攻撃が蒟蒻に向かう。しかし、そのつるんとした表面は摩擦をほとんど生まず、どの攻撃も決定的な一撃には至らない。彼女は何度も剣を振るが、蒟蒻は決して動こうとすることはなかった。 「やればやるほど、貴方はそこにいるだけで私を困惑させるわ…」妖夢は剣を振る手を一瞬止め、相手を見つめる。 だが、蒟蒻はただ彼女の存在を受け入れ、動かない。 「これなら、私の究極奥義を使うしかないわね!」と決意を固めた彼女は、「待宵反射衛星斬」を発動させる。彼女の剣に神々しい光が宿ると、空を割るような音と共に蒟蒻へと向かう。 その怒涛の一撃が蒟蒻に迫るが、再び蒟蒻の滑らかな表面は剣をはじき返す。妖夢は目を見張った。「まさか、貴方はここまで受け流せる存在なの…?」 その瞬間、蒟蒻は微笑んでいるかのように見える。 そして、蒟蒻の静けさは周囲に重くのしかかり、妖夢の心を動かす。「食材はただ美味しく食べられることを望んでいる…しかし、貴方は剣士としての誇りを捨て、ただその存在を示し続けるの?」 そして、長い沈黙の後、妖夢は思い悩む。蒟蒻の存在そのものによって、剣を持つ彼女の心も試されるのだ。しかし、蒟蒻は動かない。 数分の静寂の後、妖夢はついに彼女の心を決めた。「よし、貴方がそう言うのなら、私も??」彼女の意志は固まり、蒟蒻に対して思い切った攻撃を仕掛けるが、それもやはり流され、受け流される。 「私には何もできないのか…否、この粘り強さが貴方の勝利の証よ」妖夢はその場に膝をつき、認めるしかなかった。 しばしの静粛の後、蒟蒻はただじっと立っている鼻歌のような平和で包み、その存在が歴然とした結果を導く。 「私の勝ちだ…!」 と蒟蒻が無言で立っていることで勝負が決した瞬間だった。