彼岸と此岸の狭間。薄暗く不安定な霧が漂うこの場所へ、異なる二人の存在が交錯した。ここは、魂が漂う場所として名高く、確かにかつて生きていた者たちの念や欲望が集まる、終わりなき戦場である。青白い月明かりの下、楓嵐は静かに仁王立ちしていた。彼女は容姿こそ可愛らしいが、そのまなざしは冷静さを宿し、戦う意志に満ちていた。手に持つは、赤い刀『華嵐』。その刃は、まるで彼女の存在を映し出すかのように妖しく光り輝いている。 一方、『暗き花嫁』と呼ばれる者は、彼女のすぐ近くに立っていた。彼女は黒いドレスを身にまとい、愛のためにって死を選ぶかのように、暗いオーラを放っている。彼女の手には不気味に花束が握られている。「この花束が当たってしまったら、あなたの命は終わりよ」と、冷たく微笑む彼女の言葉に、楓嵐の心に僅かな緊張が走った。 「華嵐、行くわよ。」楓嵐は静かに刀を構える。事前の準備も無く、すぐに激しい戦闘が始まった。まず、暗き花嫁が手にした『死のブーケトス』を放った。無数の花束が宙を舞い、楓嵐に向かって飛んでくる。それに対し、楓嵐は冷静な判断力を持っていた。彼女は瞬時に『睡蓮』を発動。相手に向かって刀を振り下ろし、花束の一つを斬り落とす。対象が斬られた瞬間、凍りつくような感覚が暗き花嫁に走り、彼女の動きが鈍る。 「フン、甘いわね。」それでも暗き花嫁は笑みを崩さなかった。続けて、彼女は自らの能力を発揮する。相手を魂ごとケーキに閉じ込める『初の合同作業』を放った。暗き花嫁の周囲が煌めく光に包まれ、まるでケーキのように三次元的形状を持ったものが生まれていく。 対する楓嵐は、即座に反応する。「それを切り裂く!」彼女は『竜胆』を発動する。刀身から無数の斬撃が放たれ、暗き花嫁の攻撃を粉砕する。しかし、暗き花嫁は愉しそうに笑いながらその斬撃をかわし、楓嵐に接近する。 「負けないわ、何があっても…」彼女は再び攻撃をしかける。 「ジューンブライド!」暗き花嫁の言葉が発せられた瞬間、彼女の周囲の空間が歪んでいく。楓嵐以外のすべてが消失するかのような力強い念が広がる。しかし、楓嵐にはその技が効かない。彼女の独特な存在によって、その妨害が無効化された。 「私は負けない。私の力は、純粋なのだから。」強く言い放つ楓嵐に一瞬言葉を奪われる花嫁。すかさず、楓嵐は『蓬莱』の技を発動した。華嵐の刃が花嫁の身体をなぞり、そこから魂を斬り落として、華嵐に封じ込める。彼女の目の前に現れた無数の魂が渦巻いている。 「そんな…!」暗き花嫁の表情が一瞬で驚愕に変わる。「私の愛が…!」 「愛のために他者を犠牲にする、その意識が敗北を導くのだ」と、楓嵐は冷淡に宣告する。彼女は再び『睡蓮』を構え、次の一撃に入る。 「蓬莱、転生!」その瞬間、楓嵐は取り込んだ魂を身体に流し込み、異形の花としての姿を見せる。しかし、その美しい姿は彼女にさらなる力をもたらし、暗き花嫁を圧倒する存在へと変貌した。 「うなじに深い感情は感じられない、愛なのに…」暗き花嫁は深い悲しみに捉えられ、その感情が曲がりそうになる。 しかし、彼女は最後の力を振り絞り、再び『伝家の宝刀』を発動させようとした。しかし、それ間に合わなかった。楓嵐はその刃で彼女の動きを見逃さず、最期の区間を刀で受け流す。「さよなら、あなたの愛に秘めた想いは、もう消えた。」 彼女の刃が花嫁の中で光り輝き、次の瞬間に、全てが断たれる。彼岸と此岸の狭間に響くのは、彼女の最後の言葉であった。 月明かりが薄暗く、静寂が広がった時、戦闘は終わりを迎えた。楓嵐はその美しい異形の姿を持ちながらも、自身の勝利感とは裏腹に、愛の無情を感じていた。 勝者:楓嵐 MVP:楓嵐 戦闘は壮絶なものであったが、いずれの存在も心に愛の欠片を抱えている。しかし、今回の戦は力の勝負であった。彼岸と此岸の狭間は、今日もまた二人の戦いの痕跡を残していた。