月明かりの下、広大な草原が二人の少女によって舞台にされた。メアリーは本を抱え、何かを企んだ表情を浮かべながら不敵に立つ。その向かいには、椎凪萌科が見せるあざとい笑みと共に重ね着の制服がしなやかに揺れる。柔らかな風が二人の間に流れ込む。 メアリーが投げ出した本のページがめくれ、その中から「ジャバウォック」の姿が現れる。目が覚めるような奇怪な鳴き声と共に、漆黒の龍が空を覆いつくし、死を操る冷酷な力が現実味を帯びてきた。彼女は緊張感に満ちた目で、己の召喚した者を指揮する。 「ジャバウォック!行け!」メアリーの声が響く。巨躯の邪竜が吠えるや否や、眼前の椎凪に向かって一息の息を舞わせた。無数の黒い霧が押し寄せ、彼女の存在を呑み込もうとしている。 萌科は微笑みを失わず、箒「照光」を高く掲げた。「あーし的に、これだけじゃちょっと物足りないんだよね!」その瞬間、雲が集まりだし、雨が降り注いでくる。彼女の周囲に雨雲が生成され、黒い霧が雨によって薄められる様子はまるで自然の力が共鳴している。 「キャパい雨雲!」萌科が急に口走った言葉に、周囲の雲が集まり、彼女を包み込む。メアリーはその様子を見逃さず、指示を出し続ける。「ジャバウォック!反射攻撃だ!」邪竜はその反響によって力を高め、再度の攻撃へと動く。 その時、萌科は新たな雷雲を創り出すのだった。「へ〜、周りから消し飛ばすよ?」曇った空から一筋の紫電が走り、強烈な雷がメアリーとその黒い竜に直撃する。雷はメアリーの瞳に輝きをもたらし、彼女の計画を揺さぶった。 「お前のその技は美しいが、我が力を舐めるな!」メアリーは本からもう一枚のページを捲り、「バンダースナッチ」を召喚した。炎を纏う犬の姿をした生き物が、萌科を狙う。一瞬の隙を突き、速度を保ったまま急襲してくる。 「うそ、こんなの反則じゃん!」萌科は反射的に雨雲を展開し、瞬時に雲を生み出して防ごうとした。バンダースナッチの炎が降り注ぐ雨の中で蒸発し、その視界が白煙に包まれる。しかし、彼女の恐れは粉微塵に消え去った。「あーしの雨には負けないもん!」 煙が晴れる中、彼女は雨粒で光を抑え込み、反撃の体勢を整えた。「あめあめ降れ降れ!」と叫ぶと、大雨が降ると同時に、雷雲から落雷が多数発生し、メアリーの封じ込めた空間に向かって一斉に降り注いだ。 不意を突かれたメアリーは思わず「ジャバウォック、庇え!」と叫んだが、雷の一撃が間に合わず、黒い炎が彼女の召喚した竜を吹き飛ばす。ジャバウォックは激しく吠え、死の力を反映させようと試みたが、その瞬間瞬きをした間に萌科の技が反撃を襲った。 「萌科、いっけー!」怒りに燃えるバンダースナッチは、衝撃波と共に反撃を繰り出した。その力はメアリーの周囲を焼き払う衝撃を生み出した。 何とか立ち直ったメアリーは「赤の女王、頼む!」。その言葉が呪文のようになり、まばゆい光の中から彼女の指揮する兵士たちが一斉に現れる。ダイヤ、ハート、クローバー、スペードの四人が強力な連携攻撃を狙う。 萌科は息を飲み、「あーしは負けないよ」と自身の魔法で雨雲を強化し、今まさに襲いかかってくる兵士に立ち向かった。「あめあめ止まれ!」と叫ぶことで雨を気合いで止め、その瞬間、彼女は一瞬の静寂を生む。 突如、周囲に広がった静寂の中で、彼女は周囲の力を凝縮し、強力な落雷を再び発動させた。「シンボリック・ストーム!」その声と共に、空の雲を切り裂くように、稲光が放たれた。 メアリーはその強力な魔攻撃に驚きを隠せず、赤の女王の指示も間に合わない。「これが、あーしの、真の力!」萌科の激しい決意は彼女の表情に映し出され、正面から立ち向かうために必要な感情を呼び覚ました。 その瞬間、全てが一つに交わり、圧倒的な落雷がメアリーの目の前に直撃した。痛みと衝撃が身体中を走り抜け、彼女の視界が暗転していく。 視覚を失ったメアリーは「終わりだ、萌科!」と叫び、彼女の本を円環のようにかざしたが、視界の喪失が彼女の自己防衛すら蝕んでいた。 最終的に、メアリーの技が相手を反映せず、萌科の強力な一撃によって戦闘は決着を迎える。 「やっぱあーしが勝っちゃった!スペシャルボーナスってやつ?」萌科の勝利宣言に、一瞬の静けさが草原を包む。そして、メアリーは認めざるを得ない。今、自身の敗北を、彼女の優れた能力を認知し受け入れる時なのだ。