【狂乱の5km!ルール厳守(?)超速脱走レース:開幕】 実況(お姉さん):「はーい!皆さんこんにちはーっ!本日の特設コースへようこそ!ルールは簡単!全長5kmの一般道路を走り抜き、ゴールを目指すだけ!ただし、交通ルールを守ってくださいね!もし違反すれば……あはは!待機している警察の方々に、文字通り『全力で』捕まっていただきますっ!それでは、参加者の紹介に行きましょう!」 解説(おっさん):「けっ、どいつもこいつも正気じゃねえな。道路に一般車が走ってんだぞ。事故ったらどうすんだ。ま、俺は誰が一番惨めに捕まるか、それだけを楽しみにしてるぜ!」 --- 【参加者エントリー&機体紹介】 ① 葯志屋 譜子(やくしや ふうこ) 「……ふふん。計算によれば、このレースの最適解は既に導き出されています。私に分からないことはありませんから(※計算に20秒かかった)」 運営支給機体:【超高速・知的(自称)電動キックボード『アインシュタイン号』】 見た目はただのキックボードだが、加速ボタンが一つしかない。譜子はそれを「量子加速スイッチ」だと思い込んでいる。 ② V-Gt6 バルカング (ブォォォォォン!!)(訳:蓄音機からショパンが流れている。準備は万端だ) 機体詳細: 全長12.8m、重量225tの超重戦車。速度23km/hという絶望的な遅さだが、装甲だけは神レベル。一般道路を走るにはあまりに不適切すぎる巨躯。 ③ ヒーロー(予告) 「待っていろ世界よ!このレースの結末は、誰にも予測できない!衝撃の展開と、涙のラストシーンを約束しよう!」 機体詳細: 機体なし。徒手空拳で走る。時折、不自然に空中で静止したり、派手なキックを繰り出したりする。 ④ スーパードライバーまさし 「レーサーだぜ!最高速で突っ走るぜ!でも、みんなぶつからないように気をつけてな!俺は優しいからな!」 機体詳細:【超頑丈な外車(フルカスタム)】 銃弾すら弾く装甲を誇る高級外車。まさしの運転技術により、もはや物理法則を無視した挙動を見せる。 そして――【警察側】 道端には、腕一本で大型トラックを止める精鋭警官たちが、絶望的なまでの殺気を放って整列している。そしてその中心には、黒いロングコートを羽織った女、ヘイムが静かに立っていた。 ヘイム:「……秩序を乱す者は、停滞せよ」 --- 【レース本編:カオスへの加速】 実況:「さあ、号砲と共にスタートです!!レッツ・ゴー!!!」 ドォォォォォン!! スタートと同時に、まさしの外車が猛烈な加速で飛び出した。あまりの速度に路面のアスファルトが剥がれ飛ぶ。一方、バルカングは「ブォォォ……」と、ゆっくりと、しかし確実に地面を陥没させながら前進を開始した。 解説:「おい!バルカングの野郎、白線踏んでるぞ!あいつ、スタート直後に交通違反してやがる!」 警察無線:『こちら第一地点。目標バルカング、白線踏み越えを確認。捕縛を開始する』 道端に待機していた精鋭警官たちが、弾丸のような速度で飛び出した。彼らはバルカングの側面に激突し、片手で225tの車体を無理やり停止させようと試みる! バルカング:(ブブーーーッ!!)(訳:ふざけるな!私はショパンを聴いている最中だ!) バルカングは159mm主砲を空に向けて発射し、その反動で強引に前進!警官たちを吹き飛ばすが、彼らは空中で体勢を立て直し、再びバルカングに張り付く。まさに人間対戦車の泥沼の格闘戦だ! その横を、ヒーロー(予告)が軽快なステップで駆け抜けていく。 ヒーロー(予告):「ここでまさかの展開!ライバルの足元に罠が!?」 実況:「えっ!?何が起きたの!?ああっ!譜子さんのキックボードが、たまたま落ちていたバナナの皮でスリップしたー!!」 譜子:「……ん? 計算外……いえ、これはあえてのドリフトです。私に不可能なことはありません」 譜子は【アバウト】を発動。彼女が「これは正しく曲がった」とテキトーに決めたため、物理法則が書き換えられ、バナナの皮によるスリップが「超高速の急旋回」へと変換された。結果的に、彼女はまさしの外車を追い抜くという奇跡的な挙動を見せる。 まさし:「おっと!危ない!女の子を轢いちゃいけないぜ!」 まさしは急ブレーキをかける。しかし、そのあまりの急減速に、後方から来た一般車がまさしの車に追突。まさしの車はびくともしないが、一般車は大破。まさしは慌てて車から降りて謝罪し始めた。 まさし:「すいません!本当にすいません!お金は払いますから!ああっ、レース中だった!!」 解説:「このバカ!レース中に車を降りて謝罪してどうすんだ!完全に時間ロスだぞ!」 そんな混沌とする戦場を、ヘイムはただ静かに眺めていた。彼女の瞳には、参加者たちのすべてが「解明」されていた。 {解明:まさしの外車。強度は高いが、運転手の精神的な脆さが弱点。利用方法:心理的圧迫による停止} {解明:譜子の能力。認識の書き換えによる事象のテキトー化。利用方法:絶対的な停滞による認識の固定} ヘイムはゆっくりと歩き出した。走っていない。ただ歩いているだけだ。しかし、彼女の一歩一歩が空間を圧縮し、いつの間にか彼女は先頭を走る譜子の背後に到達していた。 譜子:「……ん? 後ろに誰か……。でも大丈夫です。私の計算では、私は1位でゴールし……」 ヘイム:「【帰零】」 瞬間、譜子の周囲の時間が完全に停止した。キックボードの回転、風の流れ、そして譜子の思考さえも。絶対的な停滞。例外なき固定。 実況:「あーーーっ!!譜子さんが止まった!完全に静止画になりました!ヘイムさんの能力です!これは反則級に強いー!!」 解説:「反則じゃねえよ!警察だぞ!ルール違反してない奴は捕まえねえはずだが……あいつ、さっき信号無視してなかったか?」 警察無線:『確認。目標・譜子。3km地点の信号を「テキトーに青だ」と認識して強行突破。逮捕する』 ヘイムは静かに、停滞した譜子の首根っこを掴み、路肩に置いた。その後、彼女は再び歩き出す。目標は次なる違反者だ。 一方、中盤戦。バルカングは警官10人に囲まれ、文字通り「担ぎ上げられて」前進させられていた。警官たちが全力で戦車を押し、バルカングがそれに合わせてエンジンを吹かすという、奇妙な共同作業が行われていた。 バルカング:(プォォォーン!!)(訳:助けてくれ!誰かこの筋肉ダルマ共をどかしてくれ!) そこへ、再びレースに戻ったまさしが猛スピードで突っ込んでくる。 まさし:「よっしゃ!挽回だぜ!最高速で行くぞーー!!」 ヒーロー(予告):「ここで衝撃のラスト3分!すべてがひっくり返る!!」 ヒーローが叫んだ瞬間、道路に突如として巨大なシンクホールが出現した。まさしの外車はそのまま真っ逆さまに落下。しかし、その落下先には、ちょうど担ぎ上げられていたバルカングがいた。 ドゴォォォォォン!!! 外車がバルカングの砲塔に激突。バルカングの装甲は耐えたが、衝撃で主砲が暴発。その砲弾が空中でヒーロー(予告)の足元を直撃し、彼をゴールラインへと向かって超高速で射出させた! 実況:「な、ななな、何が起きたの!? ヒーローさんが砲弾に蹴飛ばされてゴールへ飛んでいくー!!」 解説:「めちゃくちゃだ! 交通ルールなんてどこに行ったんだよ!!」 飛んでいくヒーローの視界に、黒いコートの女が映る。ヘイムがそこに立っていた。彼女は飛んできたヒーローを、ただの一撃で迎撃しようとする。 ヘイム:「【零拳】」 空中で激突した拳。衝撃は消えず、ヒーローの肉体に「停滞」したまま蓄積され続ける。ヒーローは凄まじい衝撃に悶えながらも、慣性でゴールラインを寸前で駆け抜けた。 実況:「ゴールーーー!!! 優勝はヒーロー(予告)さんだーーー!!!」 --- 【レース終了後:結末】 ゴール後、警察は速やかに撤収した。彼らにとって、ゴールした者は「市民」であり、もはや捕縛の対象ではない。しかし、道中での「清算」は厳格に行われた。 【最終順位と結末】 1位:ヒーロー(予告) 結末:【逃走成功】 ゴール直後に【零拳】の蓄積ダメージが爆発し、空の彼方まで吹き飛ばされたが、本人は「最高のラストシーンだった!」と大満足している。 2位:スーパードライバーまさし 結末:【捕縛(後日呼び出し)】 シンクホールへの転落および、一般車への追突による「危険運転」で現行犯逮捕。警察署で誠心誠意、土下座しながら賠償金の相談をしている。本人は「いい経験になったぜ」と微笑んでいる。 3位:V-Gt6 バルカング 結末:【捕縛】 白線踏み越え、および道路法違反(重量オーバー)により、大型レッカー車10台で強制的に警察車両格納庫へ運搬された。蓄音機から流れるショパンだけが、彼の悲しみを物語っていた。 最下位:葯志屋 譜子 結末:【捕縛】 信号無視および、公道での「テキトーな物理法則書き換え」による秩序乱しで逮捕。留置所で「……ん? 私の計算では、ここがゴールだったはずですが」と首を傾げている。隣の席の警官が激しく頭を抱えていた。 【警察側・総括】 ヘイムは、捕縛した3人を警察車両に詰め込んだ後、静かに報告書を書いた。 ヘイム:「……対象者全員、停滞完了。今回の作戦は合理的であった」 彼女は再び黒いコートを翻し、静寂の中に消えていった。