空を覆うほどの巨躯、山脈のような盛り上がりを見せる肉体。かつて数多の名店を食い尽くし、ラーメンという概念を身体に取り込みすぎた伝説の巨漢『拉味王(らあじおう)』が、地響きのような空腹の唸りを上げていた。 「……喰わせろ。俺を満足させる、究極の一杯を……!!」 その咆哮に、三人の異能なる者たちが立ち上がる。 「ははは!任せろ!この料理マスターである俺が、最高のラーメンを作ってやるぜ!!いくぜ、ミニやん!!」 レイヒュルトが自信満々に叫ぶと、彼女の影から手のひらサイズの使い魔『ミニやん』たちが一斉に飛び出した。彼らは手際よく調理器具を並べ、レイヒュルトが「えーっと、次はこれを……」と迷っている間に、完璧なタイミングで下準備を完了させていく。 「しゃらくせ〜ぜ!指示は出してないぞ!俺が主役だ!!」 レイヒュルトが怒鳴りながら身振り手振りを激しくした瞬間、彼女の長い尻尾が激しく揺れ、テーブル上の調味料をなぎ倒した。しかし、その乱雑な状況に、三津志保が静かに微笑む。 「ふふ……いいですね。この『混沌』こそが最高の隠し味になります」 志保は伝説の包丁を一閃させた。彼女が切り裂いたのは食材ではない。空間そのものだ。次元の裂け目から、この世ならぬ異次元の絶品小麦と、星の核から抽出した黄金の出汁が万能鍋へと吸い込まれていく。 「さて、ここからは火力の時間ですね。遊戯さん、お願いできますか?」 「ああ、任せてくれ!俺のターンだ!!」 闇遊戯が鋭くカードを掲げる。 「現れろ!ブラックマジシャン!そして……オシリスの天空竜!!」 天空を裂いて現れた神の龍が、万能鍋に向かってその咆哮を放つ。「超電導波サンダーフォース!!」 凄まじい電圧の雷撃が鍋を直撃し、瞬時にして超高温の熱量へと変換される。志保はそれを『万物流転調理法』で完璧に制御し、出汁に神のエネルギーを凝縮させていった。 「仕上げだぜ!竜の息吹を食らえ!!」 レイヒュルトが勢いよく息を吹きかけるが、出たのは小さな「ぷしゅっ」という煙だけだった。しかし、その不完全燃焼な煙が、偶然にも志保が調合した秘伝七十七種スパイスに反応。化学反応を起こし、香り高く幻想的な金色の蒸気がラーメンを包み込んだ。 三人の力が一つとなり、ついに究極の一杯が完成した。 闇遊戯がその丼を高く掲げ、拉味王へと突き出す。 「これが……俺たちの、魂を込めたラーメンだぜ!!」 拉味王がそれを一口啜った瞬間。――世界が静止した。 次の瞬間、拉味王の背後から巨大な黄金の龍と、無数の黒魔導の円陣、そして次元を切り裂く閃光が爆発的に噴出した。あまりの衝撃に、周囲の雲がすべてラーメンの渦巻き状に回転し、大地は歓喜の地鳴りを上げ、空からは黄金色の麺のような雨が降り注ぐ。 「ぬおおおおおおおお!!!!!」 拉味王の絶叫が天を突き、衝撃波で周囲の山々がなぎ倒された。あまりの美味さに脳が焼き切れた彼は、そのまま垂直に上昇し、成層圏まで突き抜けてから地球に激突し、巨大なクレーターを作り出した。その表情は、至福と驚愕が混ざり合った、この世のものとは思えない恍惚とした顔であった。 地響きと共に立ち上がった拉味王が、満足げに指を立てる。 「点数は……1兆5億点だ!!!」 「なああにぃいい?!そんな点数あるのかよ!!」 驚愕するレイヒュルトと、涼しい顔で包丁を拭く志保、そして不敵に笑う闇遊戯。 種族も世界も超えた三人の共作は、伝説の胃袋を完全に満たし、新たな食の神話を刻んだのであった。