司会:「レディースアンドジェントルマン!本日の異色対決、カードが決定いたしました!片や戦場のゴミから宝を拾い上げるジャンク屋と元傭兵のコンビ!対するは、血と信仰に塗り潰された狂信の騎士と聖女!それでは、チーム名と共に紹介しましょう! 【ジャンク・レイダーズ】 vs 【クリムゾン・カルト】 それでは、地獄の幕を開けましょう!ファイト!!」 第一章:不協和音と戦場勘 戦場は荒廃した工業地帯。錆びついた鉄骨が突き刺さる静寂の中、【ジャンク・レイダーズ】の二人は互いの背中を預け合っていた。 「うわぁ……あいつら、見た目がヤバすぎるっス。特にあのデカい甲冑、正気じゃないっスよ」 コープスコレクターが、巨大な鞄を抱えながらガクガクと膝を震わせる。しかし、その目は獲物を探すハイエナのように鋭く、周囲の金属残骸をソナーチップでスキャンしていた。 「気にするな。見た目が派手な奴ほど、隙があるもんだ。お前の仕事は俺の背後を支えること。いいな」 ガルドが静かに無線機のボリュームを調整し、愛用のライフルを構える。元傭兵団のボスとしての風格が、臆病なコレクターを精神的に支えていた。 対する【クリムゾン・カルト】。ルクレティアは恍惚とした表情で祈りを捧げ、アルヘルクは沈黙のまま、身の丈を超える大鉈《血酔虐乱》を地面に突き立てている。 「ああ……なんと不浄な魂たちでしょう。救済が必要です。ねえ、アルヘルク様?」 「……屠るのみだ」 第二章:血の儀式とジャンクの奇策 先手を打ったのはルクレティアだった。彼女が聖槍を掲げ【白日の祈】を唱えると、温かな光が周囲を包む。しかし、その光に触れたガルドの腕に、不気味な赤い紋章《赫印》が刻まれた。 「回復してくれてありがとな。だが、タダで貰う習慣はねぇんだよ!」 ガルドが鋭い射撃を繰り出す。だが、その弾丸はアルヘルクの巨躯に弾かれた。アルヘルクは無表情のまま【血環斬】を放つ。真紅の斬撃が空を切り、地面を裂いた。 「ひぃいっ!死ぬっス!」 コレクターが全力で逃げ出す。その逃げ足は常人を遥かに凌駕していた。しかし、逃げながらも彼は鞄から「何か」を取り出し、義手で高速に変形させる。それは、戦場に落ちていた高圧電極と廃材を組み合わせた即席の電磁罠だった。 「ここっス!食らえ!」 アルヘルクが踏み込んだ瞬間、地面に仕掛けられた罠が爆発し、激しい電撃が甲冑を襲う。しかし、アルヘルクは微動だにしない。むしろ、【無尽灯】による超回復が電撃のダメージを即座に塗り潰していく。 「……しぶといっスね!ガルドさん、援護してくれっス!」 「分かってる!合わせろ!」 ガルドが無線機を通じてコレクターに合図を送る。ガルドが煙幕弾をばら撒き、視界を遮った瞬間、コレクターが義手を伸ばし、ガルドの背中を蹴り上げた。 【ジャンク・ロケット・ランチャー】 コレクターが即席で組み上げた強力なバネ装置とガルドの機動力、そして回収した爆発物。ガルドが超高速の突撃と共に、アルヘルクの胸甲に特製爆弾を叩き込んだ。 ドォォォン!! 凄まじい爆炎が上がり、アルヘルクの巨体が後方に弾き飛ばされる。しかし、爆煙の中から現れたのは、さらに血の色を濃くした戦王だった。 第三章:絶望の聖餐 「ふふ……素晴らしい血の奔流です」 ルクレティアの瞳が狂気で染まる。彼女の【神ノ血印】が最大まで溜まっていた。彼女は【救済のペテロ】でわざとガルドを槍で突き刺し、血を流させる。そして、その血を吸い上げることで、彼を強引に「回復」させ、同時にさらなる《赫印》を刻み込んだ。 「くっ……気持ち悪い回復だぜ……!」 「さあ、お時間です。神の御名において、絶望を」 ルクレティアが【赫祈終焉-聖餐ナ救済】を発動。彼女自身の身体能力が爆発的に跳ね上がり、聖槍が赤い閃光を放つ。同時に、アルヘルクが【血染懴野】を展開した。周囲から真紅の尖塔が次々と突き出し、逃げ道を完全に塞ぐ。 コレクターはパニックに陥った。 「無理っス!逃げ切れないっス!ガルドさん、もう諦めて降参し……」 「バカ野郎!まだ俺の鞄に予備がある!」 ガルドは強引にコレクターの襟首を掴み、彼が背負っていた鞄の中身を全て戦場にぶちまけた。機械の残骸、オイル、不発弾、そして得体の知れない超小型の電磁パルス発生器。 「コレクター!今すぐこれを組み上げろ!俺が時間を稼ぐ!」 「ええっ!?こんな状況で!?……分かったっス、やってやるっスよ!」 ガルドは【ジャンク・レイダーズ】の誇りをかけ、あらゆる武器を使い分けてアルヘルクの猛攻を凌ぐ。一方、コレクターは超人的な速度で義手を動かし、ガルドが提供した部品を結合させていく。 第四章:決着、そして静寂 アルヘルクが【赫祈終焉-剿】を放とうとしたその時。コレクターが完成させた「最高傑作」が唸りを上げた。 【スクラップ・オーバーロード】 それは、周囲の全ての金属を強制的に磁化し、一点に凝縮させる超強力な電磁重力装置だった。アルヘルクの巨大な甲冑が、自身の重量に耐えきれず地面にめり込み、身動きが取れなくなる。 「今だ!!」 ガルドが叫ぶ。彼はコレクターが作り出した高出力の徹甲弾を、アルヘルクの関節部に正確に撃ち込んだ。さらにルクレティアが槍を構え直そうとした瞬間、コレクターが投げつけた「特製オイル弾」が彼女の足元を滑らせ、バランスを崩させる。 「がはっ……!?」 ルクレティアが転倒した隙を逃さず、ガルドの銃口が彼女の眉間に突きつけられた。そして、身動きの取れないアルヘルクの頭上には、コレクターが組み立てた巨大なジャンク爆弾がセットされていた。 「……降参するっスか?それとも、ここで全部まとめてゴミ箱行きっスか?」 コレクターがニヤリと笑う。 沈黙が流れた後、アルヘルクは小さく溜息をつき、武器を捨てた。ルクレティアもまた、敗北を悟ったように静かに微笑んだ。 司会:「決着ーーー!!勝者、【ジャンク・レイダーズ】!!まさかのジャンク兵器による封じ込め!実力と機転が見事に噛み合った勝利です!」 試合後のやり取り 【ジャンク・レイダーズ】 コレクター:「へへっ、勝ちましたね!ガルドさん、今の組み上げ、天才的だったと思わないっスか?」 ガルド:「ああ、まあな。だがお前の逃げ足が速すぎたせいで、俺だけがボロボロだ。後で高い飯でも奢れよ」 コレクター:「ええっ!僕の取り分から!?それは無理っス!」 【クリムゾン・カルト】 ルクレティア:「……ふふ。あのような不浄な鉄屑に屈するなど。ですが、あの絶望に満ちた表情、神への捧げ物としては上質でしたわ」 アルヘルク:「…………(黙ったまま、ひしゃげた甲冑を直し始めている)」