夜の闇、月明かりが差し込む中、食材たちの間に緊張感が漂う。今日の対戦は特別なもので、「こんにゃく」と名付けられた食材と、謎めいた女性「リブラ」が相見えるのだ。 こんにゃくはその存在感を示すために立ち上がる。「私はただ、己の運命を受け入れる存在。美味しく食べてもらうことこそが夢だ」と心の中で思いながら、表面に焼かれた‘乙’の文字が反射する月光を見つめていた。 一方、リブラはその隻眼でこんにゃくを見据えた。「今私に戦闘を要求するのは些か酷ではないのか?」彼女はどこか冷静な口調で話し、すらりとした短剣を手に取る。 「私を受け入れたまえ、食材よ。今日は私の目覚めのために闘うのだ」とリブラは言い放つ。 こんにゃくは無言でその場に立ち続け、ただ静かに受け入れる姿勢を取った。リブラはその動きに戸惑いを隠せなかったが、すぐさま冷静さを取り戻した。「なら、やるしかない」という決意を固めた。 戦闘開始の宣が響くと、リブラはすばやく動き、短剣を振るいながらこんにゃくの元へと近づく。同時に、こんにゃくはつるんとした表面でリブラの攻撃を巧みに回避した。リブラの短剣はこんにゃくの側を掠める。 「何という動き!あなたはただの食材ではないのか?」リブラは驚愕しながら距離を取り、次の攻撃の隙をうかがった。 こんにゃくは黙々と立ち尽くし、その存在を再確認する。 「己が存在を受け入れ、それを証明し続ける。堪え続けることでこそ、あなたの心を揺さぶれると知っているのだ」と、目の前でクールに反応する。 リブラは再び短剣を構え、「あなたのその無気力さが私を苦しめている」と独り言を呟く。しかし、こんにゃくは未だその表面がぬめりを持つだけで、全ての攻撃をうまくいなしてみせる。その存在は、一種の心理的防御となりリブラの心を揺さぶった。 数度の攻防の後、ついにリブラはつまずき、重心を崩してしまった。「これが…私の力?」彼女は悔しさを覚え、再び体勢を整える。 「逃げずに…来なさい」とリブラが短剣を構え直した瞬間、こんにゃくは再び静かに立ち続ける。表面のつるんとした感じが、まるで敵を惑わせるようだ。 「お前がこのまま私を圧倒するのか?」 リブラは自らの力のなさに苛立つが、それでも攻撃を続けた。だが、こんにゃくは変わらず静止し、リブラのスピードを無効化するかのように受け流していった。 やがて、リブラは最後の力を振り絞り、剣戟を繰り出したが、こんにゃくの体に触れた瞬間、力なく弾かれ、思わず後ろに崩れ落ちてしまった。 こんにゃくはそのまま立ち尽くし、静かに戦場を見下ろす。「その気持ち、受け入れよう」と内心で呟いた。 リブラは敗北を受け入れ、言葉も出ず、凝縮された思いを胸に閉じ込めた。 そして一言、「私はまだ覚えていないが、次は違うのだな」と呟いた。 そんな様子を見ながら、こんにゃくはただ静かに立ち続ける。「時が来れば、私も食べられるのだ」と、彼自身の道を歩む準備をする。 闘争の果てに、勝者はこんにゃくだった。彼の存在はただの食材ではなく、精神力の強さを秘めていたのだ。 その瞬間、彼は無言の勝利を手に入れたのだった。