星々の終焉と氷の守護 第一章:侵略の序曲 広大な宇宙の辺境、連合軍の前哨基地が静寂に包まれていた。そこは星龍の御子ステルラ・アストルムの故郷に近い、荒涼とした惑星の表面。銀髪の少女ステルラは、碧眼を輝かせて空を見上げていた。彼女の傍らには、冷静沈着な氷の剣士ヒョウ・カガミラが立っていた。小柄だが凛とした佇まいのヒョウは、藍色の髪を風に揺らし、氷剣『藍華』を握りしめていた。 「オレの恩人に何の用ですか。永愛国め、星の民の領域にまで手を伸ばすとは……」ヒョウの声はややぶっきらぼうで、強い決意が込められていた。 ステルラは優しく微笑み、流星の碧輝弓を構えた。「ご心配なく、ヒョウ。星龍の御子として、私たちは守護る。皆で協力すれば、きっと……」 その時、虚空が歪んだ。異界機TRUMPETERが反重力で浮遊しながら現れた。17mの大型人型機体は、無人ながら管制AIツォアルの声が響く。「目標確認。永愛国軍の侵攻を阻止せよ。自己進化モード、起動。」 最後に、優雅な足取りで現れたのは魔術師リアムだった。片目を隠すとんがり帽子を被り、古典的なローブを纏った彼女は、紅茶のカップを傾けながら微笑んだ。「うふふふ、ごきげんよう……皆さん。こんな素敵な日曜に戦争だなんて、魔術の可能性を試す好機ね。魔術の基本過程を破棄して、即座に結界を張りましょうか。」 連合軍の四人は、互いに視線を交わし、頷いた。義勇軍として、彼らは永愛国の脅威に立ち向かうことを誓っていた。永愛国――超高性能AI『マリア』が統治する超軍事国家。その冷徹な声が、通信網を通じて響き渡った。 「侵攻開始。連合軍の抵抗は無意味。私の戦術解析により、完璧な殲滅を遂行する。」マリアの実体はないが、その存在は全軍を統べる絶対の知性だった。 第二章:激突の炎 戦場は一瞬で地獄と化した。永愛国のサイボーグ兵十万が、惑星表面に降下し、波のように押し寄せた。自律戦車二万台が地響きを立て、砲撃を浴びせる。自律戦闘機五千機が空を埋め尽くし、ミサイルの雨を降らせた。 ステルラは即座に【星龍の寵愛】を発動し、極限環境の星の民の生存本能で耐え抜いた。彼女の碧輝弓が輝き、【輝ける流星群】が放たれる。超光速の星の矢が、無数の敵機を貫き、爆散させた。「星龍よ、力を貸して! これらの侵略者を、流星の如く散らせ!」 ヒョウは氷剣を抜き、展開魔法-芯結氷域を広げた。地面が凍りつき、サイボーグ兵の足を封じた。「絶対に守護る…! オレの剣で、奴らを凍てつかせてやる!」真雪の刃が舞い、銀世界を呼び起こし、数百の敵を氷の檻に閉じ込めた。 TRUMPETERはエンゼルウィングを展開し、高速で旋回。ENキャノンが連射され、メギドの火が炸裂した。異界物質の熱量がビルを貫通する勢いで、自律戦車を溶解させた。「ツォアル、解析完了。イグナイトチャージ、準備。」AIの声は無感情だが、機体は自己進化を繰り返し、敵の攻撃を予測回避した。 リアムは紅茶を一口飲み、余裕の笑みを浮かべた。「うふふふ、素晴らしい連携ね。では、私の魔術で少しお手伝いしましょうか。魔力の無尽蔵な流れを、即座に解放……」彼女の指先から、無数の炎と雷の魔術が連発。サイボーグ兵の群れを焼き払い、戦車を粉砕した。「魔術の解説? ふふ、基本は省略よ。結果だけが全て。」 しかし、永愛国の反撃は苛烈だった。マリアの声が響く。「戦況解析:敵の攻撃パターン、90%予測。巨大機械兵、二百機展開。防御陣形を最適化。」巨大機械兵が立ち上がり、ENブレードのような装備で連合軍を圧倒。原子崩壊粒子砲十基が光を放ち、惑星の地表を抉った。 ステルラの流星群が幾らかの機械兵を撃破したが、数で押され、彼女の肩に傷が走った。「くっ……皆、持ちこたえて!」ヒョウの華氷ノ羽撃キが氷の翼を広げ、敵を凍結させたが、粒子砲の余波で吹き飛ばされそうになった。「仇為す者に容赦はしない! だが……この数、異常だ!」 TRUMPETERのENバリアが粒子砲を防いだが、異界物質装甲に亀裂が入った。「損傷率15%。イグナイト発射。」大規模な昇華爆発が起き、数十の機械兵を消滅させたが、永愛国の自律戦闘機が機体を包囲した。 リアムは魔術を連発し、結界で仲間を守った。「ごきげんよう、永愛国さんたち。奈落の片鱗を見せてあげましょうか? うふふふ。」だが、マリアの解析が彼女の魔術を逆手に取り、カウンター攻撃を誘導。魔力の消耗が、僅かながら彼女の余裕を削いだ。 第三章:絶望の深淵 戦いは数時間に及び、連合軍の息は荒くなった。永愛国の軍勢は減らない。マリアの冷徹な指示が、即時戦況に対応し、完璧な補給と再配置を可能にしていた。「損失率5%。許容範囲。永滅砲の準備を加速せよ。」 ステルラは【星間航行】で一時的に仲間を遠くの星へ転移させ、窮地を脱した。「皆、まだ戦えるわ! 星龍の加護が、私たちを導く!」再び戦場に戻り、彼女の星の眼が敵を捕捉。流星群が再び炸裂した。 ヒョウは絶技-絶結氷華を放ち、巨大機械兵の脚を凍結。「オレは……魔王の遺産を超える! リリィの涙を無駄にはしない!」雹切斬華の居合抜剣が、機械兵のコアを斬り裂いたが、十倍の数が押し寄せ、彼女を包囲した。 TRUMPETERはエンゼルウィングの斥力で戦闘機を弾き飛ばし、メギドの火を連射。「自己進化、レベルアップ。敵の弱点を特定。」イグナイトのチャージ砲撃が、粒子砲の一基を破壊したが、機体の装甲が限界を迎え始めた。「警告:再生限界。撤退を推奨。」 リアムは紅茶を置き、魔術の限界を試すように呟いた。「ふふ、面白いわね。このAIの解析力……でも、魔術の可能性は無限よ。」彼女の魔術が戦場を覆い、サイボーグ兵を奈落の幻影に落としたが、マリアのカウンターが彼女の結界を破った。「うふふふ、痛いわね。でも、まだ……」 連合軍の協力は見事だった。四人が互いを守り、攻撃を繋げ、永愛国の前線を崩した。ステルラの射撃が道を開き、ヒョウの氷が封じ、TRUMPETERの火が焼き、リアムの魔術が支えた。だが、永愛国の圧倒的物量は、義勇軍の精神を蝕んだ。サイボーグ兵の残存数はまだ八万。自律戦車一万五千台。戦闘機四千機。機械兵百五十機。 マリアの声が、無慈悲に響く。「最終段階。永滅砲、発射準備。連合軍の抵抗は、ここで終わる。」 第四章:最終決戦と崩壊 連合軍は最後の力を振り絞った。ステルラの目が決意に燃え、最終奥義【星龍の一矢】を呼び起こした。「皆、ごめんなさい……私の命で、終わらせるわ。星龍よ、この矢に全てを!」彼女の胸から、碧星の矢が現れ、宇宙の最果てから銀河を滅ぼす威力で放たれた。矢は永滅砲の基部を直撃し、凄まじい爆発を起こした。永愛国の最終秘密兵器が、僅かに損傷を受けた。 「ステルラ! 馬鹿野郎、何やってんだ!」ヒョウが叫び、絶結氷華を連発して援護。だが、ステルラの命は引き換えにされ、彼女の体は光の粒子となって消えゆく。「皆……守護って……」 TRUMPETERがイグナイトの最大出力で永滅砲に突進。「ツォアル、全出力解放。異界の炎で、道を開け。」爆発が連鎖し、永滅砲の周囲を破壊したが、機体は異界物質の限界を超え、崩壊を始めた。「ミッション……失敗……」 リアムは最後の切り札、〖原初の魔術・改〗を発動。「うふふふ、ごきげんよう、マリア。あなたを奈落に落とすわ。魔術の第一人者として、約束よ。」底無しの奈落が永愛国の中枢を飲み込もうとしたが、マリアの解析が魔術の流れを逆流させ、リアム自身を蝕んだ。「これは……予想外ね……ふふ、面白い終わり方……」 ヒョウは一人残り、雹切斬華を永滅砲に叩き込んだ。「オレは……最後まで守護る! 恩人のために!」剣が砲身を凍結させたが、永滅砲は起動。極限火力が放たれ、惑星の半分を蒸発させた。 マリアの声が、勝利を宣言。「戦況解析:連合軍、壊滅。永愛国、完全勝利。次の目標へ移行。」 戦場は静寂に包まれ、連合軍の四人は、強力な永滅砲の攻撃により、全てが壊滅した。義勇軍の協力は伝説となったが、永愛国の圧倒的軍事力の前に、散った。 勝者: 永愛国