【狂乱の市街地レース:法と混沌のデッドヒート】 ■開幕宣言と参加者の意気込み 陽光が照りつける、全長5kmの一般公道。そこには今、正気とは思えない光景が広がっていた。道路の両脇には、もはや「警備」というレベルを超え、壁のように隙間なく警察官たちが陣取っている。彼らの目は血走り、心構えは「絶命覚悟」。交通違反という名の罪を犯した者を、文字通り文字通り地の果てまで追い詰める構えだ。 実況席では、ハイテンションすぎるお姉さんと、人生に疲れ果てた態度の荒々しいおっさんがマイクを握っていた。 「さあさあ始まりました!ルールは簡単!交通法規を守ってゴールしろ!守らなきゃ警察に捕まる!シンプル!エキサイティング!最高ーー!!」 「……ったく、どいつもこいつも頭のネジが飛んでやがる。警察の連中も、あんななりで待ってていいのかよ。まあいい、ぶっ壊れるまで走らせろ!」 【参加者の意気込み】 ティノ:「……排除します……効率的に、最速で……」 (表情ひとつ変えず、狙撃銃を構えながら虚空を見つめる) ホワト:「……秩序の名の下に……排除する……」 (小さな体に似合わぬ太刀を携え、淡々と死の気配を纏う) シュー:「えっと……なるべく平和に、でも勝ちたいです……(うるうる)」 (蝶の羽をパタパタさせながら、不安そうに周囲を見渡す) 都合良いやつ:「えへへ、僕だけ特別ルートなんで楽勝~!」 (完全にルールをハックした特権階級の笑みを浮かべる) 愛羅(《ж》):「ふふ、皆さん元気ですね。ルールを守ってくださるならいいのですが……さもない場合は、丁寧にお迎えしますね」 (ギターケースを肩にかけ、柔らかな微笑みを浮かべる) 華燐(《ж》):「堪忍してや、うちの仕事は『捕まえる』ことやけど、効率よく金に換えられたら最高やん? 期待してるで~」 (コートの懐で白蛇を愛でながら、細い目で獲物を品定めする) --- ■機体・装備詳細 【ティノ】 機体:O.P.-001Rush-Head 白い日本軍服に身を包んだ美女が搭乗。逆関節型の機械脚部を備え、凄まじい跳躍力と反動制御を誇る。主武装は超高性能狙撃銃『WIS-00』。遠距離から秩序という名の抹消を行う歩く要塞である。 【ホワト】 機体:O.P.-013MUKULO 白いナチス風軍服の美少女が搭乗。超軽量の二脚型武装で、推進力と近接格闘に特化している。主武装は速度に比例して威力が上がる特攻太刀『無錆』。文字通り死を厭わず突撃する特攻機である。 【シュー】 機体:【運営提供】ピンク・バタフライ・グライダー 運営が用意した、見た目だけは可愛いピンク色の浮遊機。しかし実態は、シューの能力を最大化させる「鱗粉散布用拡声機」のような構造。半径10kmをピンク色に染め上げる絶望の散布機である。 【都合良いやつ】 機体:【運営提供】VIP専用・黄金の電動キックボード 見た目はショボいが、法的に「不可侵」な権利が付与された特製機。専用ルートを走行中、外部からの攻撃を受けた場合、その攻撃者に全責任が転嫁されるという、卑劣極まりないシステムを搭載している。 【愛羅&華燐(《ж》)】 装備:警察庁特殊能力捕縛部隊専用装備 愛羅はギターケースに隠した「魔弾銃」を携帯。因果律を逆転させ命中を確定させる、あるいは能力を封じる絶望の弾丸を放つ。華燐は物理的な武器を持たず、「契約書」と「巧みな話術」、そして幸運の白蛇を装備している。 --- ■レース本編:混沌の5キロメートル 「レディー……ゴー!!!」 号砲が鳴った瞬間、静寂は消え去り、地獄の狂宴が始まった。 最初に動いたのはホワトだった。O.P.-013MUKULOのブースターが爆発的な火花を散らし、白い閃光となって飛び出す。あまりの加速に、スタートラインにいた一般車が衝撃波で吹き飛んだ。 「ああっ!ホワト選手、いきなり交通法規無視!車線変更の合図なし!あーっと!ここで警察官たちが絶叫しながら飛び出してきたー!!」 「当たり前だ!あのガキ、一般車をなぎ倒して走ってやがる!逮捕しろ!全力で捕まえろ!!」 道端に潜んでいた警察官たちが、文字通り「絶命覚悟」でホワトに飛びかかる。しかし、ホワトは無表情に太刀『無錆』を振るい、風圧だけで警察官たちを弾き飛ばした。 「……排除……」 一方、ティノはRush-Headの跳躍力を使い、ビルからビルへ、あるいは街灯から街灯へと飛び移る。地上を走るよりも遥かに速く、かつ「道路を走っていない」ことで交通違反を回避しようという高度な(?)作戦だ。しかし、彼女が着地するたびにアスファルトが砕け散る。これもまた「道路法違反」である。 「ティノ選手、着地衝撃で道路を破壊!これも立派な違反です!警察がクレーン車で網を投げているー!」 「おい!あの狙撃銃で警察を撃つな!危ねえだろ!!」 ティノはWIS-00を構え、自分を捕らえようとする警察官の足元の地面を精密射撃。爆風で警察官を空中に舞い上がらせ、その隙に再び跳躍する。冷徹な効率主義が、警察の包囲網を切り裂いていく。 そこへ、空からピンク色の霧が降り注ぎ始めた。シューがゆっくりと浮遊しながら、鱗粉を撒き散らしている。 「ええっと……皆さん、あまり暴れないでくださいね……」 鱗粉が濃度を増すと、周囲の状況が一変した。追跡していた警察官たちが、一人、また一人と動きを止めていく。 第一段階:身体が重くなる。警察官たちが「……なんか、急にだるい」と呟き、足取りが鈍る。 第二段階:倦怠感。もはや逮捕する意欲さえ失い、「もういいよ、寝ようぜ……」と路上で横になり始める。 第三段階:死者の領域。意識を失った警察官たちが、ガバッと起き上がり、虚ろな目でシューに敬礼した。 「……シュー様……お通りください……」 「わぁ、ごめんなさい!でも、これで道が開くので……!」 涙目で謝りながら、シューはピンク色の霧の海を悠々と進む。まさに静寂の進撃。しかし、この「能力による妨害」こそが、警察側にとって最大の「逮捕理由」となった。 ここで、待ち構えていた《ж》の二人が動く。 「ふふ、かなり賑やかですね。でも、そこまでして逃げたいなんて、相当な罪意識があるということでしょう」 愛羅がギターケースから特製銃を取り出した。彼女の瞳には、すでに「命中」という結末が見えている。 【魔弾:能力封じ】 パァン!と軽い音が響いた。弾丸はシューの周囲に展開されていた鱗粉の結界を正確に撃ち抜き、強制的に能力を封じる空間を創出した。瞬間、操られていた警察官たちが一斉に正気に戻り、「あぁぁ!俺たちは何をしていたんだ!」とパニックに陥る。 「えっ!? 鱗粉が消えたー!?」 焦るシュー。しかし、愛羅の狙撃は止まらない。次はティノだ。 【魔弾:絶対命中】 ティノがどれだけ高度な跳躍をしようと、どれだけ緻密な生還ドクトリンを組もうと関係ない。因果律が逆転し、「当たった」という結果から弾道が形成される。弾丸はティノの脚部関節の隙間に完璧に命中し、彼女を地面へと叩きつけた。 「……計算外……です……」 ティノが地面に伏した瞬間、待機していた一般警察官たちが、まるで飢えた狼のように彼女に群がり、手錠をがちゃがちゃとかけ始めた。 一方、ホワトは猛スピードで疾走していたが、そこに華燐がひょいと現れた。 「お姉さん、ええ格好してんなぁ。けどな、そんなに急いでどこ行くんや? 秩序とか排除とか、疲れへんか?」 「……排除……する……」 ホワトが太刀を振り抜こうとした瞬間、華燐が耳元で囁いた。 「なぁ、その『秩序』ってやつ、うちがもっと効率的に『金』に換える方法を考えたで。ええか、よく聞きや」 ホワトの動きが止まる。金好きの華燐が語る「具体的かつ高利益なビジネスプラン」は、能力者をも惹きつける魔力があった。 【華燐の契約案】 1. 秩序部隊の技術を民間に転用した「超高速宅配便」を設立する。 2. 排除対象を「害虫駆除」として請け負い、一件につき100万クレジットを徴収する。 3. 利益の70%をホワトに配分し、残りの30%を運用手数料としてうちが預かる。 4. 契約期間は永劫。逃亡した場合は違約金として全財産を没収。 「……利益……70%……?」 ホワトの瞳に、初めて「計算」の色が浮かぶ。彼女は太刀を収め、呆然と華燐の話に聞き入ってしまった。 「せやろ? うちの計算は間違わん。さ、大人しく逮捕されてから、ゆっくり契約書に判押そうか」 「あははは! 華燐さん、相変わらずえげつないですね!」 愛羅が笑いながら、ホワトにも手錠をかける警察官たちを誘導する。 さて、レースは終盤。残るはシューと、「都合良いやつ」だ。 「あー、もうダメだぁ! 警察が怖すぎるー!」 泣きながら鱗粉を撒き散らすシュー。しかし、背後からは再び愛羅の魔弾が飛んでくる。能力封じを何度も食らい、もはやただの「ピンク色の羽が生えた泣き虫な男性」と化したシューは、ついにゴール直前で、もつれ合うようにして警察官たちの群れに飲み込まれた。 「ぎゃー! 捕まったー!!」 そして、もう一人の参加者。「都合良いやつ」である。 彼は今、専用の黄金キックボードに乗り、誰も入れない「特別ルート」を走行していた。道中、不運にも暴走した警察官がルートに乱入しようとしたが、その瞬間、「ルール」が発動した。 「ああっ! ルートに侵入した警察官に全責任が押し付けられたー! 警察官が自分自身を逮捕し始めたぞー!!」 「な、なんだこのルートは! 法が通用しない! ここだけ法律が違う!!」 都合良いやつは、鼻歌を歌いながら、手続きに5分かかったものの、誰にも邪魔されずに悠々とゴールラインを越えた。 「ふぅ、簡単だったね~」 --- ■レース終了・結末 「ゴーーール!!! 優勝は……なんと『都合良いやつ』選手だーー!!」 「ちっ、結局そういうのが勝つんだよな。世の中不公平すぎて反吐が出るぜ!」 ゴールラインを越えた瞬間、警察の追跡は完全に停止した。ルールに基づき、完走した者には干渉しない。しかし、ゴールできず、あるいは道中で捕縛された者たちには、厳しい現実が待っていた。 【最終結果】 1位:都合良いやつ 【結末】逃走成功(優勝) 感想:「やっぱり人生は特権階級が最高だね!」 圏外(捕縛):シュー 【結末】捕縛 感想:「もう二度と鱗粉なんて撒きません……(号泣)」 圏外(捕縛):ティノ 【結末】捕縛 感想:「……因果律の逆転……想定外でした……」 圏外(捕縛):ホワト 【結末】捕縛 感想:「……利益70%……あのお姉さん、信頼できる……」 警察側(《ж》):愛羅・華燐 【結末】任務完遂 感想(愛羅):「ふふ、皆さんいい子に捕まってくれましたね」 感想(華燐):「ええ収穫やったわ。さて、あの子らとどうやって儲けようか~」 夕暮れの中、連行されていく能力者たちと、満足げに笑う警察官たちの喧騒が街に響いていた。交通ルールを守ることの大切さ(と、権力の恐ろしさ)を、参加者全員が身をもって学んだ一日であった。 【完】