【地獄の一般道5km:カオス・ストリート・レース】 【レース前:意気込みと開会宣言】 アルン・ジェラリナ:「えへへ☆ 今日もいっぱい救済しちゃうよ! ゴールまで全部ドカーン!ってすれば、みんな幸せになれるよねっ!」(爆弾をジャラジャラさせながら満面の笑み) 加菜子ちゃん:「……ふふっ。私の笑顔を見た人は、みんな静かな場所でおやすみなさいできるのよ」 (聖母のような微笑みだが、目が全く笑っていない) 堀さん:「ええと……あ、はい。ええ。母さんに『早く帰ってきてね』って言われたので、頑張って走ります。あ、信号はちゃんと守らないと……」 (おどおどした中年サラリーマン) center of gravity:「……重心さえ制せば、このレースは私のものだ。効率的に、確実に、勝利を掴み取る」 (ストイックに身体のバランスを整えている) --- 【運営による開会宣言】 実況(おっさん):「さああああ!やってきたぜ!!ルール無用!法も無視!一般車も歩行者も巻き込んで突き進む、地獄のストリートレースが開幕だあああ!!」 解説(お姉さん):「はいっ!今回はなんと『一般道路』という最高のスパイスが効いていますね!信号無視すれば警察が来るというスリル満点のゲームです!あ、今の歩行者の悲鳴、いい音してますねっ☆」 実況:「いいから機体を紹介しろ!運営が用意した奇天烈なマシンだ!!」 【参加機体描写】 アルン・ジェラリナ:【拒否】(「車なんて遅いよ!アルンは飛ぶもんね!」)→ 徒歩(飛行)で参加 加菜子ちゃん:【拒否】(「歩いたほうが、みんなの顔が見えるもの」)→ 徒歩で参加 堀さん: 車体名:『定年後の夢・ハイパー・シルバーカー』 最大速度:時速12km(ただし群青化すると測定不能) 重量:15kg 大きさ:小型(歩行補助車) center of gravity: 車体名:『重心制御特化型・球体転がしマシン』 最大速度:時速150km(重心移動による加速) 重量:500kg 大きさ:直径2mの完全な球体 実況:「よし!!それでは……スタートォォォ!!!(号砲)」 --- 第一章:混沌の幕開け、救済の導火線 スタートの合図と共に、コースは文字通り「地獄」と化した。まずはcenter of gravityが球体マシンを猛加速させ、先陣を切る。しかし、その背後からアルン・ジェラリナが快活な声を上げながら飛来した。 「はい!救済の時間だよーっ☆」 アルンがポーチから取り出したのは、小型の「方向転換爆弾」。それをcenter of gravityの球体マシンの真下に投下する。ドォォォォン!! 盛大な爆発が球体を真上に跳ね飛ばした。時速150kmの慣性がそのまま垂直方向へ向き、center of gravityはそのままビルの3階部分に突き刺さった。 実況:「いきなりだああ!center of gravityが空を飛んでビルに同化!これは想定外のショートカットか!?」 解説:「いいですね!爆発による強制的な高度上昇!物理法則を無視したダイナミックな展開です!あ、見てください、一般車がパニックになって逆走し始めましたよ!」 一方、堀さんはシルバーカーに乗り、おどおどしながら時速12kmで前進していた。その横を、眩しい笑顔の加菜子ちゃんが静かに歩いている。彼女がふっと微笑んだ瞬間、周囲の風景が白く塗りつぶされた。 「ふふっ、眩しいでしょう?」 直視した一般車のドライバーたちが、次々と「あ、眩しっ」と叫んでハンドルを切る。車は次々とガードレールに激突し、大混乱。さらに、加菜子のスキルにより、一部の通行人が「広く寂しい病室」へと強制転送された。そこで彼らは獰猛なウイルスに感染し、内側から腐り始めるという絶望的な状況に陥るが、レースの実況席には届かない。 実況:「加菜子ちゃんが歩くだけで道路が更地になっていくぞ!これはもはやレースじゃねえ、大量虐殺だ!!」 解説:「ええ、彼女の笑顔は太陽と同義ですからね。日焼け止めを塗ってない参加者は相当厳しい戦いになりますよっ!」 --- 第二章:群青の理と重心の逆襲 2km地点。ビルから脱出したcenter of gravityが、地面に激突しながらも重心操作を駆使して強引に加速し、再び先頭集団に復帰した。彼はアルンの重心を操作し、彼女を地面に叩きつけようと試みる。 「重心を……ゼロにする!」 しかし、アルンは空中で爆弾を四方八方に散布。爆風の反動を利用して、まるでピンボールのように高速移動し、center of gravityの球体を追い詰める。 「あはは!全然当たらないよー!はい、これもおまけ!」 特大の爆弾が球体に直撃し、center of gravityは再びあらぬ方向へ吹き飛んだ。だが、その混乱の最中、後方から異様な圧迫感を持って「彼」がやってきた。 堀さんである。 「ええと……あ、あの、すみません。通してくださーい」 堀さんが呟いた瞬間、彼の周囲の空気が「群青」に染まった。道路のアスファルト、信号機、逃げ惑う人々、そして追い抜かそうとしたcenter of gravityの球体までもが、一瞬にして深い青色に塗りつぶされる。 実況:「な、なんだ!? 画面が全部青い!放送事故か!? 誰だ、フィルターをかけたのは!!」 解説:「いいえ!これは堀さんの『群青』です!この世の理を上書きする絶対的な色!見てください、center of gravityが急に『群青について考え込み』、停止しました!」 center of gravityは、自身の能力である「重心操作」という概念すら忘れ、「ああ、世界は群青だ……。青いな……」と恍惚とした表情で立ち尽くした。群青の領域に足を踏み入れた彼は、ステータス100以上の能力を持つ強者として判定され、即座に「防御回避不能の一撃必殺ペナルティ」が発動。青い衝撃波に飲み込まれ、文字通り「群青の粒子」となって消滅した。 実況:「速すぎる!! center of gravityが消えた!! 堀さん、ただのサラリーマンじゃねえぞ!!」 --- 第三章:絶望のデッドヒート、救済か、微笑か、青か 残り1km。道路はもはや原型を留めていない。アルンの爆破によるクレーターが点在し、加菜子の笑顔による視界喪失エリアが広がり、そしてすべてを塗りつぶす堀さんの群青が波のように押し寄せている。 そして、ついに警察が現れた。信号無視と破壊活動、そして行方不明者の多さに激怒した警察部隊が、ヘリと装甲車を投入し、参加者を全力で追い詰める。 「止まれ!! この狂った連中を全員逮捕しろ!!」 実況:「きたあああ!警察の参戦だ!! これでレースはさらに盛り上がるぜ!!」 解説:「警察の方々、正義感に燃えていますね!でも残念ながら、ここからは『ルール無視』の領域です。頑張れ警察さん、地獄の果てまで追いかけてくださいねっ☆」 アルンは警察の装甲車に対し、「救済」と称して特製の超巨大爆弾を投下した。ドォォォォーーーーン!!! 爆風で装甲車が紙屑のように舞い上がり、警察官たちが空を舞う。しかし、その爆煙の中から、加菜子ちゃんが静かに歩み出た。 彼女が微笑む。その瞬間、追いかけてきた警察部隊の半分が「病室」へ転送され、残りの半分はあまりの眩しさに目を潰された。 「みんな、静かにしてね」 しかし、そこに堀さんがシルバーカーでゆっくりと現れる。彼の周囲には、もはや「群青」以外の色は存在しない。警察のサイレンの音さえも群青に染まり、静寂へと変わる。 「あ、あの……もう、ゴールですよね……?」 堀さんの周囲に展開された群青の領域は、今や半径100メートルに達していた。アルンの爆発も、加菜子の精神干渉も、すべては「群青であること」に上書きされていく。 「わああ! アルンの爆弾が青くなっちゃった! 救済が青いよーっ!!」 アルンが焦って最大火力の爆弾を連射するが、群青の理に触れた瞬間、爆発そのものが「青い花」のように変化し、優しく散っていく。概念的な消去。それが堀さんの持つ、無自覚な絶対権能だった。 実況:「信じられねえ! アルンの爆破が、加菜子の絶望が、すべて群青に飲み込まれていく! 堀さんが、ただシルバーカーに揺られてゴールへ向かっているぞ!!」 解説:「これが『熟年離婚の悲しみ』と『認知症の母への愛』が結晶化した究極の概念上書き能力ですね! 素晴らしいです! どんな最強能力も、50代サラリーマンの日常の重みには勝てないということでしょうか!」 残り100メートル。ここでアルンが最後の賭けに出た。 「もういいっ! 全部まとめて救済しちゃうんだからーっ!!」 アルンは自身の翼を最大まで広げ、持てるすべての爆弾を一点に集中させ、堀さんのシルバーカーに向けて特攻した。同時に、加菜子ちゃんも最大出力の笑顔を放ち、視界すべてを病室へと変えようとする。 「さようなら」 爆炎と白光、そして群青。三つの絶対的な力がゴール直前で激突した。 ドォォォォォォォォォン!!! 衝撃波で周囲のビルがすべて倒壊し、一般道路は完全に消失した。土煙が舞う中、ゆっくりと三人の姿が現れる。 アルンは爆風で服がボロボロになり、地面に突き刺さっていた。加菜子ちゃんは、あまりの衝撃にワンピースの裾が少し破れ、不機嫌そうに頬を膨らませている。 そして、堀さんは……。 「あ、いたいた。母さんが待ってるから急がなきゃ」 彼は、爆心地の真ん中で、一ミリも動かずにシルバーカーに座っていた。彼の周囲だけは、完璧な静寂を保つ群青の球体に包まれていたからだ。彼はそのまま、ゆっくりと、本当にゆっくりと、ゴールラインを跨いだ。 実況:「ゴォォォォォォォール!!! 勝者は堀さああああん!! 中年サラリーマンが世界を塗りつぶして優勝だああああ!!」 解説:「いやー、圧巻でしたね! 最後まで一般常識を捨てない(物理的に捨てられた)堀さんの勝利です! 警察の方々は今、群青に染まって全員で合唱を始めているようです。とても平和な光景ですねっ☆」 --- 【最終結果】 1位:堀さん 感想:「あ、勝ちました? よくわからないですけど、とりあえず帰って母さんに夕飯を作らなきゃ……」 2位:アルン・ジェラリナ 感想:「うぅ……あんな青い壁があるなんて聞いてないよー! でも、最後にあんなに大きな爆発ができたから、アルンは満足かな☆」 3位:加菜子ちゃん 感想:「……あのおじさん、私の笑顔を見ても動かなかった。……ムカつく」 脱落:center of gravity 感想:「(群青の粒子となって消滅したため、回答不能。ただ、どこかで『青いな』と思い続けている)」