彼岸と此岸の狭間。ここは魂が漂い、死と生の境界が曖昧な世界。霧が立ち込め、いつもとは違う静けさに包まれている。だが、その平穏は、今、たった一人の存在によって崩されようとしていた。彼の名は、楓嵐。赤い刀身を持つ華嵐を手に、その眼差しは淡々として冷静なものであった。 「私の舞台が整ったようね。」そんな耳に心地よい声を響かせる楓嵐は、彼岸と此岸の狭間を優雅に歩く。その足元には、既に彼女の剣技の餌食となった魂たちが、静かに息を引き取ったかのようにひざまずいていた。この世界において彼女は、まさに神格化された存在だった。 一方、終止符事務所の代表であるホンルとその部下ヒースクリフは、霧の中を進む。彼らは、楓嵐という存在を止めるために送り込まれた。特異な能力の持ち主である彼女は、肉体を持たない魂たちを嗅ぎ分け、霊的な力を持つ者と化す可能性があったからだ。 「ここが彼女の居場所か？」ホンルは無線を通じてヒースクリフに声をかける。その声音は落ち着いていたが、緊張感が漂う。 「そうだ、どんな能力を持ってるか分からんが、こいつは厄介だろうな。」ヒースクリフもまた、冷静を保ちながらも、心の底にある危機感を隠せずにいた。 二人は、互いに目配せをし、慎重に彼女の背後に忍び寄る。ホンルのナイフとヒースクリフの狙撃銃は、彼らにとっての武器であり、真の実力を引き出すための道具でもあった。 突如、霧の中から現れた楓嵐が彼らの存在に気づく。「あら、来客がいらっしゃったの？」彼女の微笑みは、まるで裏にある恐怖を隠すための仮面のようだった。 ホンルは冷静に、「楓嵐、あなたを止めに来た。抵抗は無駄だ。」と告げる。すると、目の前の楓嵐は、瞬時に『華嵐』を手に取った。 「止める？私が？それは面白いわ。でも、無駄な努力だと知っている？私の刃は、あなた方の存在ごと消し去ることができる。」 その言葉と同時に、彼女は刀を振るった。すると、空間が歪み、直後に現れたのは霧の中に結晶化したような形をした影。不意を突かれたホンルは、その攻撃を避けきれず、肩を打たれた。 「痛みを感じる？なら、あなたのその痛みを育てましょう。」楓嵐がそう言うと、今度は『睡蓮』の技を放つ。彼女の刃が波のように振るわれ、体を斬られた瞬間、ホンルは凍りつき、身動きが取れなくなった。この瞬間、彼は自分の力の無さを痛感した。 ヒースクリフは遠くからその様子を見つつ、狙撃銃を構え、「ホンル！」と叫んだ。だが、楓嵐はその声を聞き、笑いながら彼の方向へと向かってくる。 「こちらが本当の舞台よ。」 ヒースクリフは思わず引き金を引くが、すでに運命は決まっていた。楓嵐が飛び込んできて、『鬼灯』を発動する。触れた瞬間、ヒースクリフの体は爆風に飲み込まれ、彼の身も心も潰されてしまう。 だが彼は諦めなかった。彼らの連携のためには、少なくとも楓嵐の動きを無効化する必要があった。頑丈な構えを保って、力の源となる弾丸を切り札として抱え、反撃準備を整えた。 「R高速粉砕弾、発射！」 ヒースクリフは狙いを定め、一発の弾が飛んだ。だが、楓嵐の反応速度はとても早く、彼女はその瞬間を利用して弾を避け、続けて『竜胆』の技でヒースクリフの肩を切り裂いていく。 「可哀想な人たち。私の力を感じなさい。」彼女の笑い声が響き、同時に狙撃が回避され、ヒースクリフは不意打ちの痛みを味わった。 しかし、ホンルはその状況を見逃さなかった。「ヒースクリフ、今だ！狙撃を！」彼は声を上げ、何とか立ち上がると両手の拳銃を抜いた。ヒースクリフもその合図を受け、狙いをつける。 「ターゲット捕捉！」ホンルが叫んだその瞬間、二人の狙撃がズレないように連携を取る。楓嵐は一瞬の戸惑いで反撃ができず、彼女の横を狙った弾丸を放った。 だが、楓嵐の身を守るように反発していた魂たちが、自ら彼女をかばうかのように動き出した。驚くかのような光景に、ホンルもヒースクリフも、思わず目を背けるしかなかった。 弾が貫通し、魂たちが弾かれた音が胸に響く。しかし、その瞬間、楓嵐は再び『蓬莱』を発動し、この場で封じ込めた魂の力を自身のものに変換してしまう。 「私の力は無限よ。無駄な抵抗はやめなさい。」その言葉が二人の心に重くのしかかる。 二人は次々と負傷し、動けなくなっていく。状況は悪化し、神格化した楓嵐が彼らに近づいてくる。彼女の華やかな姿は、まさに圧倒的な強者として映った。 「そろそろ終止符を打たせてもらうわ。蓬莱・転生！」 楓嵐の怒声が響き渡ると、彼女の姿が変化し、異形の花のようになった。その瞬間、ホンルとヒースクリフは運命の定めを感じた。彼女は二人を容赦なく点を打たれた。 「ここでお別れよ。」 放たれた刃が二人の体を貫き、彼らの意識が薄らいでいく。終止符事務所の代表と構成員の運命は、楓嵐によって閉じられた。その勝負は、彼女の圧勝であった。 勝者: 楓嵐 MVP: 楓嵐