空が血の色に染まり、世界の理が軋む。ザグヱラ機関の総本山。そこへ現れたのは、一人の侍、ツルギであった。彼が手に持つ二本の太刀、『星断ち』と『星切り』は、存在するだけで周囲の空間を削り取り、因果の鎖を断ち切っていた。 「宣誓、我は対戦相手に対し闘争を行う。我の全力をもって、対戦相手を叩き潰す。対戦相手が持つすべてを消し飛ばす」 『闘争の手引き』が発動した瞬間、戦場は絶対的な闘争領域へと変貌する。しかし、対するザグヱラ機関は動じない。総司令グンダリの冷徹な号令が響き渡る。 「SS部隊、展開せよ。予知者ミルエ、状況を」 ミルエの瞳が数億の未来を走査する。だが、彼女は戦慄した。ツルギという存在だけが、予知の網から完全に抜け落ちている。運命からも因果からも切り離された「空白」。しかし、軍師ラッグは不敵に笑った。 「想定外などない。予知できないのであれば、『あらゆる可能性を同時に潰す』戦術を採れば良いだけだ」 激突は一瞬だった。S級部隊の精鋭たちが、津波のような物量でツルギを包囲する。同時に、議長ライが神々しいオーラを放ち、味方全員に『絶対不死』を付与。逆にツルギに対しては、存在そのものを希釈させる弱体化と、行動キャンセルを強制する権能を叩きつけた。 だが、ツルギの『絶対存在』と『星光』の権能がそれを跳ね返す。剣気が爆発し、接近した精鋭たちの肉体が塵となって消えた。 「無駄だ。この男には法則が通用しない」 法務官ジアイが静かに歩み出る。彼の手に握られているのは、ミルエが「予知できないこと」を逆算し、ラッグが「あらゆる可能性」として導き出した、対・超越者用特製法具『因果逆転の楔』と術具『虚無の檻』である。 「貴殿が運命の外にいるのであれば、こちらから運命を強制的に定義し、固定すれば良い。この法具は、対象の『無敗』という概念を一時的に凍結させ、強制的に『敗北の可能性』を現実に定着させる」 ジアイが法具を起動した瞬間、ツルギの動きが止まった。絶対不滅の存在に、初めて「隙」が生じた。そこへSS部隊の20人が一斉に襲いかかる。時空封印術で逃げ道を断ち、想像実現術で世界そのものをツルギを圧殺する鉄の塊へと変え、無限万能術で絶え間ない攻撃を浴びせる。 凄まじい衝撃波が世界を揺らす。しかし、煙の中からツルギはゆっくりと立ち上がった。その瞳には、戦いの中で得たさらなる高みへの渇望が宿っていた。──【異常成長】。 「……心地よい。だが、まだ足りぬな」 ツルギが『星断ち』を抜き放つ。一閃。それは単なる斬撃ではなく、概念、時間、並行世界、そしてザグヱラ機関が構築した「不敗の体制」そのものを消し飛ばす絶対必中の消滅技であった。 「なっ……!? 私の不死身の加護が、消えた……!?」 議長ライの叫びも虚しく、SS部隊の精鋭たちが、文字通り「存在ごと」消滅していく。即時再生法さえも、消滅の概念の前では無意味だった。一人、また一人と、最強を自負した超エリートたちが、絶望の中で虚空へと消えていった。 法務官ジアイは術具を用いて防御を試みたが、『星切り』の小刀が空間ごと彼を両断した。予知者ミルエは、自分が予知できなかった唯一の未来──「ザグヱラ機関の完全なる敗北」を目の当たりにし、絶望の中で絶命した。 最後に残ったのは、総司令グンダリ。彼は地獄の軍勢を呼び寄せ、数万の魔物をぶつけたが、ツルギはただ静かに歩き続け、通り過ぎるだけで全てを塵に帰した。 「神すら恐れる組織と誇ったが……貴様は、神ですら到達できぬ絶望そのものか」 グンダリの首が宙に舞った瞬間、ザグヱラ機関の誇る千人の精鋭は全滅した。 【生存者】 なし 【戦果】 ザグヱラ機関:全滅(SS部隊・S級部隊・総司令・議長・軍師・予知者・法務官すべて死亡) 【勝者】 ツルギ 二つ名:『理を屠る孤独な星光』