永愛国と連合軍の最終戦争 序章：鉄と血の幕開け 広大な荒野に、鋼鉄の咆哮が響き渡った。永愛国、その超軍事国家の軍勢が、地平線を埋め尽くすように進軍していた。統治者である超高性能AI『マリア』の冷徹な声が、無数の通信網を通じて兵士たちに響く。 「目標：連合軍義勇軍の殲滅。戦術解析完了。サイボーグ兵、展開。死角を許すな。」 十万のサイボーグ兵が、機械の肢体を軋ませて前進する。自律戦車二万台が地響きを立て、自律戦闘機五千機が空を覆う影を落とす。巨大機械兵二百機が、巨人の如く大地を踏み砕き、原子崩壊粒子砲十基が青白い光を蓄えていた。そして、最奥に控える永滅砲一基――極限火力の最終秘密兵器が、静かにその時を待つ。 対するは、連合軍の義勇軍。四つの異形の存在が、互いに視線を交わし、協力の意志を固める。彼らは名もなき英雄たち、絶望的な戦いに挑む者たちだ。 「ふふ、私の翼が絶滅の風を運ぶわ。共に、終焉の詩を紡ぎましょう。」 〈絶滅を伝導する旅人〉アズ・ミグラ・トーリが、青灰色の翼を広げて呟く。彼女の深紅の瞳が、敵軍を睨む。 ズズゥン…ズズン…。 巨大カメ"ガンダラ"が、ゆっくりと歩みを進める。甲羅の森が揺れ、数多の命がその背で息づく。歩く災害は、ただ前へ、前へと進む。 「どんな境地に立たされようとも、俺の信念は不屈だ！ 行くぜ、相棒たち！ 連合軍、全員で永愛国をぶっ潰すぞ！」 【愛と信念の召喚神】威座内が、学ランに刻まれた「信念」の文字を輝かせ、天叢雲剣を掲げる。熱血の叫びが、仲間たちを鼓舞する。 「我が刀に宿る雷鳴よ、敵を薙ぎ払え……。」 萩の侍が、鉄の甲冑に身を包み、妖刀・萩雷を構える。静かなる侍の目が、戦場を射抜く。 戦いが始まった。 第一幕：混沌の激突 永愛国のサイボーグ兵が、最初の波として突進する。レーザー兵器が閃き、ミサイルが雨のように降り注ぐ。マリアの声が、無感情に指示を飛ばす。 「敵の移動を確認。戦車部隊、集中砲火。自律戦闘機、制空権確保。」 自律戦車が砲口を向け、轟音と共に砲弾を放つ。戦場は炎と煙に包まれる。 「乱せ、白兎！」 威座内が剣を振り、因幡の白兎を召喚する。小さな白い影が跳ね回り、サイボーグ兵のセンサーを惑わす。白兎の幻惑が敵の陣形を乱す隙に、アズが翼を羽ばたかせる。 「絶滅の使徒よ、来たりなさい。黄泉の絶歌を奏でて。」 彼女の言葉と共に、虚空が裂け、無数の〈絶滅の神の使徒〉が現れる。旅行鳩の頭部と翼を持つ巨人たちが、巨大な銃を構え、棒を振り回す。最初は数十体、しかしアズの力は増幅し、数百体、数千体と膨れ上がる。彼らは地を揺らし、天を覆い、サイボーグ兵を啄み取る。 「ズズゥン……。」 ガンダラがゆっくり進む。その一歩が、自律戦車を数台ずつ踏み潰す。甲羅の森から飛び出した鳥や獣たちが、敵の機械に絡みつき、破壊を加える。歩く災害は、止まらない。 萩の侍は[萩解の構え]を取る。妖刀が閃き、飛来するミサイルを相殺する。 「項撃の構え！」 構えを切り替え、攻撃力を高めた侍が、巨大機械兵に斬りかかる。妖刀・萩雷が雷光を纏い、機械の装甲を切り裂く。 「紅萩斬！」 敵のセンサーに花畑の幻覚を見せ、混乱した隙に斬り込む。機械兵の一体が爆散する。 しかし、永愛国の反撃は苛烈だった。自律戦闘機が急降下し、ミサイルの雨を降らせる。原子崩壊粒子砲が光の奔流を放ち、白兎の幻影を蒸発させる。マリアの解析は完璧だ。 「敵の召喚体、識別。粒子砲、優先目標変更。生存率：98%。」 アズの使徒たちが次々と撃墜され、ガンダラの甲羅に亀裂が入り始める。威座内の召喚も限界を迎えつつあった。 「惑わせ、玉藻前！」 九尾の狐が現れ、サイボーグ兵を魅了するが、マリアの冷徹なアルゴリズムは幻術を即座に解析し、無効化する。 「裁け、阿修羅！」 三面六臂の戦士が召喚され、巨大機械兵に挑むが、敵の数は圧倒的だ。侍の奥義[放雷萩似]が炸裂し、影分身が敵を翻弄、雷の速さで首を落とすが、サイボーグの再生機能がそれを許さない。 戦場は血と油に染まる。連合軍の協力は見事だったが、永愛国の技術力はそれを上回る。 第二幕：信念の試練 「舞え、鳳凰！」 威座内が叫び、炎の鳥を召喚する。鳳凰の炎が自律戦闘機を焼き払うが、空はすぐに新たな機影で埋まる。ガンダラの歩みは続き、戦車隊を蹂躙するが、巨大機械兵がその巨体に砲撃を浴びせる。 ズズゥン…ズズン…。 ガンダラは痛みに耐え、進む。甲羅の森が燃え、命の叫びが上がる。 アズの使徒は〈黄泉戸喫〉を発動。絶滅の神の力で、使徒の数が爆発的に増え、約50億体に達する。天を覆い、地を埋め尽くす鳥葬の軍勢が、永愛国軍を襲う。使徒たちは銃撃と棒撃でサイボーグを粉砕し、戦車を踏み潰す。 「全てを摘み取るわ……絶滅の詩が、完結するのよ！」 アズの詩的な声が戦場に響く。しかし、マリアの対応は即時的だ。 「異常増殖検知。原子崩壊粒子砲、全基展開。エネルギー出力最大。殲滅開始。」 十基の粒子砲が一斉に発射。青白い光が使徒の群れを貫き、数億体を瞬時に崩壊させる。連鎖反応が起き、戦場は光の海と化す。アズの翼が焦げ、彼女の体躯が震える。 「砕け、海坊主！」 威座内が海の巨人を召喚し、機械兵を押し潰すが、侍の甲冑に亀裂が入り、妖刀の輝きが薄れる。 「我が信念は……折れぬ！」 威座内の頭脳が戦術を構築する。四者の連携を呼びかけ、ガンダラの背に乗り、アズの使徒を盾に使い、侍の斬撃で粒子砲を狙う。だが、マリアの解析は一歩先を行く。 「敵連携予測。防御網強化。自律戦車、包囲形成。」 巨大機械兵が連合軍を囲み、砲火を集中。ガンダラの脚が折れ、巨体が倒れ始める。ズズゥンという音が、弱々しくなる。 第三幕：絶望の終曲 連合軍の息は荒く、傷は深かった。威座内が最後の力を振り絞る。 「天岩戸が開かれる……輝け、天照大神！！」 太陽の女神が召喚され、光の奔流が永愛国軍を照らす。機械兵が溶解し、戦車が爆発する。侍が[項撃の構え]で女神の光を援護し、アズが残存使徒を率いて突撃する。ガンダラは最後の歩みを踏み、永滅砲の基部に迫る。 ズズゥン…。 しかし、マリアの声が冷たく響く。 「最終兵器、起動。永滅砲、チャージ完了。敵殲滅モード。」 永滅砲が咆哮を上げる。極限火力の光線が、戦場を一掃する。強力な一撃が、天照大神を蒸発させ、ガンダラの巨体を貫く。甲羅の森が灰となり、歩く災害は永遠に止まる。 「ズ…ズン……。」 音が途絶える。アズの使徒は全て消滅し、彼女の翼が折れる。 「私の詩は……ここで終わるのね……。」 侍の奥義が永滅砲に届かず、甲冑が砕け散る。 「雷よ……導け……。」 威座内の信念の剣が折れ、天叢雲が沈む。 「信念は……不屈だ……！」 光が収まると、戦場に残るのは永愛国軍の残骸だけ。マリアの声が、静かに告げる。 「戦闘終了。敵、壊滅確認。勝利。」 終章：機械の静寂 永愛国の旗が、荒野に翻る。連合軍は、強力な永滅砲の一撃により、全てを失った。 勝者: 永愛国