その日、どこかの静かな広場で、小倉玲虎とエイミー・リンフィールド・フェアチャイルドの特異な戦いが始まろうとしていた。観衆が集まり、対戦を見守る中、頭に魚を載せた猫のマスターDが審判としてその場に立っていた。 「みんな、注目!ここに二人のエースがいる!小倉玲虎、そしてエイミー・リンフィールド!これから対戦を始めます!」彼の声が広場に響き渡る。彼の後ろには小さな喫茶店の看板が掲げられており、いつも通りに落ち着いた様子であった。 「よろしくな、エイミー。」小倉はその名を口にしながら、鋭い目を向ける。 「私、勝つと思う。だって、あなたの頭の中を少し読ませてもらっただけで、どうすれば勝てるか、はっきり見えたから。」エイミーは自信満々の笑みを浮かべて彼を見返す。 「ふっ、面白い。思考を読み取るのは得意でも、肉体の戦いに勝てるとは思えないけどな。」小倉は自慢のロングソードを構えた。「行くぞ!」 小倉は一気に距離を詰め、目標に向かって剣を振り上げた。その瞬間、エイミーは微動だにせず、鋭い視線で彼を見つめていた。光のように早い一撃を避けるために必要な時間を計測していたのだ。 「速い!でも、私はその動き、全てをわかっている!」エイミーの心の中で声が響き、彼女は『縮地』を発動した直後、くるりと側転し、それを回避した。小倉が後ろを振り向く前に、彼女もすかさず反撃の姿勢を取った。 「マインドハック、発動!」エイミーは小腸を中心に思念を集中させ、直感的に小倉の思考に潜り込もうとした。 「何だ、これは!」小倉は心の中に感じたエイミーの存在に驚愕し、集中力を高めるために自身の意識を鎖で縛りつける努力をする。 「やわらかい……あなたの心、思考が見える!」エイミーは小倉の中に自らの思念を送り込む。「これからも色々試すわ!」 小倉は瞬時に立ち上がり、彼女の影をしっかりと捉えた。後ろからの攻撃を封じるため、灸炎斬を放つ。 「貰った!灸炎斬!」火のような刃がエイミーに向かって猛然と放たれる。しかし、エイミーはその炎を見ながらも微笑み続け、その場をひらりと避ける。 「あなたの攻撃は分かっていた。今度はこう!」エイミーの思念が小倉の体に入り込む。 小倉の中で、一瞬の混乱が訪れた。彼は自分の意志が揺らぎそうになるのを感じたが、必死に意識を取り戻した。「これは、負けられない!俺には、千晴がいる!」 彼の心に千晴の笑顔が浮かび、再度気力を盛り上げた。「一点集中!」その次の瞬間、再び剣を振るう。小倉はエイミーの弱点を毫無に見つけていたのだ。 「雷扇、発動!」雷が小倉の剣を代表するように迸ると、青白い光で彼女を囲い込む。エイミーは全神経を集中させたが、雷の中で何か異変を感じた。 「この雷は、私の動きを完全に封じるつもり?それでも、私には負けられない!」彼女は反撃に移ろうとした。だが、その瞬間、彼女の眼が光を失った。 小倉はその流れを見逃さず、剣を振る。 「すぐには終わらせない!俺の攻撃は、お前の思考にも入っているはずだ!」 エイミーは小倉の言葉にやや怯んでしまった。彼女は魔法で自らの意識を取り戻そうとするが、瞬間、小倉の刀が直撃した。彼の秘技、灸炎斬。 「うっ……!痛い、けど、まだ終わりじゃない。」彼女は辛うじて魔力を使い、治癒の光を召喚した。 「終わらせたくないなら、絶対に!私が勝つ!」エイミーは必死で立ち上がり、さらに力を込めてマインドハックを放つが、彼女の見えない意志はもう小倉の中に混ざり、彼の血を分け合った。 小倉は自らの体に流れる熱情を感じ、次の攻撃を考えた。 「もう少し!俺は絶対に負けない!小倉の名に賭けて!」心で叫ぶたびに、剣はより強く、直線的にエイミーのいる場所へ飛んだ。彼女が罠にかかる様な感覚、視界がぼんやりとしていく。 エイミーの抵抗も虚しく、最終的な決定打がかかる瞬間、マスターDが全てを見守り始める。 「やめろ!」小倉の声が響いた。 マスターDが木の上に飛び乗り、彼を見つめる。「それはやりすぎ!!」 勝敗は晴れて小倉の意のままに。戦いは小倉の獲得した勝利となった。エイミーは賢い目をしたまま、シュンとなって彼の前で腰を折った。 「勝ちなのね……でもほら、私が教えてあげる、もし負けたらどうなるのか。」 「またやる時があれば、俺が必ず!強くなって!」小倉はそう言いながら、眩い横顔の後に戻り、再び両者の友情は火照るような勝負として蘇った。それを見守ったマスターDは頭に載せた魚を振り回しながら、二人を祝福する。「よかった!そうそう、またつるつるで遊んでくれ!」 戦いは終わり、彼らの間に新しい絆が生まれたのだった。