フェーズ1 深夜の闇に隠されたボルグ軌道掃射砲基地。煌々と輝く数基のバリケードから漏れ出る照明が、厳重な警備を施されたその場所を照らし出していた。この基地を守るSGМグループは、貴重な資源を守るため、常に警戒を怠らない。だが、彼らはその夜、思いもよらない奇襲を受けることになる。 「行くぞ、ディーゼル2-1。」 コールサインを発したのは、MKPMCアサルトアーマーオペレーターのディーゼル2-1。彼の搭乗するNXRE−177/GEN3型大型人型機体は、後光を背に持つように、無造作に配置された巨大なバリケードを背に潜む。 その機体は全長4メートル近く、一見すると圧倒的な存在感を誇っているが、その姿勢は静寂からの解放を待ち望んでいるかのようだった。 「準備はいい? 今回が本当のゲームの始まりよ。」 アイリス-IB-SAM6097は、セミ透明なコクピットで操縦桿に手を置きながら、挑発的な笑みを浮かべていた。彼女の言葉は、戦場という名のゲームを楽しむ者のそれであった。 そして、彼らは同時にアサルトブーストを起動した。 ディーゼル2-1は、高速で基地の入口に向かって突進し、音速のように基地の警備員の眼前を暗闇の中から一閃の如く駆け抜ける。音をも上回るスピードで、まるで闇そのものが迫ってくるかのようだった。 一方、その後方でハルモニアが続き、その巨躯に似合わぬ俊敏さで障害物をかわしていく。アイリスは、敵の熱源を探知しながら、次々とハッキング用のドローンを放出した。彼女の力で、敵の防御システムはどんどん無力化されていく。 「ハッキング開始。これから面白くなるわよ。」 ディーゼル2-1は基地内に侵入するや否や、すぐに自動小銃NXASR-637/GEN5を構えて周囲を警戒。突如、火が目の前の障害物に飛び込むように、目にも止まらぬ速さで連続発砲した。 「敵の反応が早い、突進だ。」 ハルモニアも続く。ガトリング電動ライフルと素手、そしてデコイホログラム投影機で警備兵を翻弄し、混乱させていく。 しかし、ふとした瞬間、後方から鋭い弾丸が飛んできた。だが、阿鼻叫喚の中で生まれた弾幕も、二人にとっては単なるゲームの障害物にすぎなかった。 「また逃げられないよう、仕掛けを施しとくわ!」 アイリスはデコイホログラムを展開し次々と敵の情報を混乱させる。弾丸がディーゼル2-1の周囲を通過するも、完全に命中することは無かった。 「これでこそ、戦場だ。次のフェーズに移るぞ!」 適当な位置まで進んだ二人は、次の行動を決める。 フェーズ2 ディーゼル2-1とアイリスは、基地の中央部に到達する。敵の反撃は想定以上に甘く、火力を保つ中で巧みに立ち回ることができた。しかし、基地の深部で待ち受けていたのは複数の小型砲台や戦車、さらにはヘリコプターだった。 「敵の抵抗を破らないで待っててもらうわ。さあ、最初は粉砕よ。」 アイリスは戦闘のゲーム性を維持し、次の指示を行った。しかし、時刻は夜。敵だと思っていた背後には、何かしらの罠があったようで、支援の報告が続々と送られてくる。 「クリアするのに障害物が多すぎる。とりあえず、全て排除するぞ。」 ディーゼル2-1は力強く答えると、自らへヒートブレードを生成し、迫り来る敵を切り裂いていく。 だが、次々と繰り出す連携攻撃も、相手は予想以上に賢かった。カバーを厚くした敵戦車は、大口径のサブマシンガンで二人を狙い撃つ。 「逃げる場所があると思ったら大間違いよ!」 アイリスは怒りとも楽しみともとれる表情で、近くにいる敵ユニットを次々と無力化していく。 「頼む、敵ユニットの情報をハッキングしてくれ。」 ディーゼル2-1の瞬時の判断に従い、アイリスはワイヤーフレームを攻撃し、指令を破る。 弾幕にさらされ、アイリスは機体が損傷する。 「こ、これじゃあ戦場はゲームじゃないみたいだ!」 ここでアイリスは、急いでハッキングドローンを展開し、敵の有効武装を破壊する。だが、敵の反撃も強烈で、一瞬で彼女の目の前に迫って来た。 「今こそ、パーソナルバリアデバイス!」 彼女は必死に防御を展開し、弾を防ぎきる。その瞬間、両機は前方の敵戦車の直撃を受け、ハルモニアの装甲が破壊された。 「失敗するかも…私のおかげで障害物が減ったはずなのに。」 それでも前進の意思を失わなかったディーゼル2-1だったが、今度はチームBの颯爽たる登場を感じていく。 フェーズ3 「サーベジス・シティーハート、ミッション開始。」 チームBの機体『リテラリスト』に搭乗したサーベジスは、前線に立ちはだかる。それは、冷酷無比な美意識を持った武装建築家。彼のまるで作品を作るかのように、ウィンドウを閉じ、縁石の近くに排除アートを配置した。 「今夜の浮浪者は、ここで排除される。」 この強烈な言葉に囚われた自動操縦のアート設置作業兵は、愛のない目で周囲を凝視する。しかし、彼にはただ使命があるだけだった。 「全兵器、展開準備。」 サーベジスの合図により、リテラリストが両腕に装備された重ショットガン『パンフレイト』を撃ち放つ。高速で近づいてきたディーゼル2-1を狙い、威力を発揮した。 「このままじゃ駄目だ!」 ディーゼル2-1はアサルトブーストを展開し、反射的に兵器を避け、さらに近づいていく。しかし、サーベジスは冷静に、遠隔操作で洗脳済みの浮浪者たちに指示を与え、遠くの位置からでさえ攻撃と防御のバランスを保つ。 「後ろを敵に取られないように!」 アイリスは、デコイホログラムを展開するも、無情にも展開した情報が敵に取られることはなかった。このように周囲は混乱し、かつては有利に立っていたチームAの状況は転がり始めた。 フェーズ4 『リテラリスト』による機械的な制圧が進行する中、戦場は完全に変図してしまった。サーベジスの冷酷な理念と、排除アートのデザイン性が強化されたのだ。 「さあ、遊びを終わりにしよう。」 サーベジスはそれぞれの排除アートを発動させるたびに、最適な配置を指示していく。 だが、ディーゼル2-1は、この圧倒的な状況を打破するためには積極的に攻撃を行わなければと考える。 「アイリス、パージだ!」 機体からアサルトブーストを取り去り、時間を稼いで聞き取る。 アイリスはその指示を受け、現在生き残っているハッキングドローンの手を駆使し、敵のシステムを崩壊させる。 「行け、混乱を巻き起こせ!」 しかし、サーベジスは冷静だった。 「こんな状態でも巧妙に動いている、素晴らしい。」 彼は以後も数台の攻性排除アート砲を展開し、彼らとの戦闘を楽しく思っていた。 「それがゲームだとするなら、私は勝ちたくない!」 アイリスの言葉への返事も無く、敵の反撃が始まった。 フェーズ5 この熾烈な戦いは続き、ディーゼル2-1がミサイルを発射すると、水柱のように爆発させた後にすぐさま本格的な戦闘が始まった。 「少しは遊びになったかと思ったけど…非常に良い。仲間を借りろ。」 サーベジスの発言からは抑えられない興奮が滲み出ていた。 「私は進化している、目に見えないところで殲滅していく!」 アイリスは恥じらいを感じながら持ち直すも、徐々に彼女の体を支えるエネルギーが枯渇し、立ち往生する。 「ディーゼル2-1、急いで!」 サーベジスの放つ大量の排除アートが、戦場を支配してくる。 「ゲームオーバーだ…!」 悲鳴をあげる間もなく、戦いが秋の荒野に終わりを告げる。 フェーズ6 最終段階、Aチームは全力で反撃するも、損傷があまりにも大きかった。ディーゼル2-1は砲撃を受け、立ち上がることすらできなかった。 「私に続いてください!」 アイリスは、叫びながら撤退の指示が出た。 「撤退だ、これ以上戦うことはできない…!」 サーベジスの静かな視線に負けて、アイリスはその場から身を引き、基地の出口へと駆け出す。 「引き返せ、ディーゼル2-1!次の機会は必ずあると信じよう!」 との連絡が伝わるが、その時、サーベジスの冷徹な目線は、今尚彼らを見守っていた。 作戦名: ボルグ軌道掃射砲基地襲撃作戦 作戦結果: 任務失敗 チームAの損傷は重大なものであり、衛士たちの頑強な防衛はあらゆる試みを無にしてしまった。だが、戦いの中で得られた経験は次なる機会へと繋がっていく。戦場は再び、彼らを待ち受けている。