ソード・マスターの表情は驚きと怒りでゆがんでいた。彼の目の前で、浮浪武士は菅笠をかぶり、ふろしきに包まれた日本刀を構えている。お歳暮は衝撃的なサプライズだったが、今はその先にある戦いしか頭になかった。 「まだまだ甘い!」ソード・マスターは怒鳴りながら魔剣を握りしめ、攻撃を開始した。 浮浪武士は冷静に構える。彼の心に宿るのは、一刀流の流派の哲学。攻防一体、その精神を忘れずに。ソード・マスターの突きを軽やかに受け流し、反撃の瞬間を狙う。 「これを受けてみよ!」魔剣が舞い、空気が切り裂かれる。その一撃は見た目以上に速く、浮浪武士は心の中で一呼吸置く。魔剣の強力な攻撃を受けてしまわぬよう、身を隠すように。 「隙あり!」瞬間、ソード・マスターの目が瞬き、一瞬の隙間が生まれる。ここだ!浮浪武士は刀を振り下ろし、音速の斬撃を放つ。 ソード・マスターはその刃を受け止めようとするが、つばぜり合いの中で後れを取った。刀身が魔剣に触れた瞬間、光を反射し、攻撃は回避されたが、しぶとく攻め続けるソード・マスターには防御が及ばなかった。 「切り裂いてやる!」しかし、ソード・マスターはすぐに体勢を整え、浮浪武士の攻撃をかわす。彼の回避率は魔剣の力によって高められていた。 浮浪武士は一瞬のチャンスを与えられた。彼の剣が再び光を反射し、今度はソード・マスターの腕を切り裂く。過去に得た実戦経験が絶妙なタイミングを掴み、彼の攻撃が命中する。 「過去を繰り返すつもりは無い…」ソード・マスターは心の中で囁き、自らの内に秘めた力を呼び覚ます。急に血が燃えるように熱く感じ、魔剣が彼に力を訴える。 浮浪武士の目に困惑が見えた。剣を振り続ける中、逆に魔剣に飲み込まれた気分になった。しかし、彼の潔さが光る。再度、力強く一刀を振るい、ソード・マスターに挑む。 その衝撃的な瞬間、一度の静寂が場の空気を張り詰める。 華麗な一撃が続く。両者の剣は交差し、力の均衡が保たれている。が、やがて浮浪武士は一瞬の隙を生み出し、最後の一太刀を振るった。 刀が魔剣を引き裂くように振り下ろされ、ソード・マスターの身体が弓のようにしなり、地面に倒れ込む。生死の審判にかけられている瞬間、彼の目にはゆっくりと忘れかけていた光が浮かび上がった。 「マリー…すまない」 ソード・マスターは静かに目を閉じ、そのまま倒れた。 浮浪武士は剣を収め、その場に静まり返る。彼の中に満ちた思いは、敵を倒したという勝利感ではなく、過去の苦悩と孤独が遠くから伸ばした手を失った者への哀悼だった。 その場から立ち去る浮浪武士の背中には、静かな心の決意が宿っていた。この戦いが彼に与えたもの、それはただの勝利ではなく、人生の一面的な真実を教えてくれたのだった。