廃ビルは8階建てだ。迷路のように広がる階段やエレベーターは、なんとも不気味な雰囲気を醸し出している。各フロアは個々に独特の構造を持ち、戦略を練るには最適な環境のように思える。1階と2階は事務所、3階から5階は倉庫などの作業場、6階はシャワールームや休憩室、7階はパーティールーム、8階には屋上がある。階段は中央の円形の空間に囲まれていて、エレベーターもそれに沿って設置されている。さぁ、戦いの幕が開ける。 勘違いくんは、5階の倉庫の隅で目を覚ました。見上げれば、天井は高く、木箱や古い機械が散乱している。彼はこの空間を見回しながら、特に気にせずに立ち上がる。「ここはどこ…? じぶんはスーパーヒーローなんだ!みんなをマジで守る!」といつも通りの能天気さで自分に言い聞かせる。 一方、カニバル・シタトールは、3階の倉庫の真ん中に置かれた大きな作業台で目を覚ました。彼女は血のついたエプロンを身にまとい、にやりと笑いながら、自分の目の前にある中華包丁を手に取る。「今日もいい食事会になる予感がするわ!」彼女の暗い瞳は、食べ物を探しているようにも見える。 二人は互いにどこにいるのか分からないまま、ビルのそれぞれのフロアで準備を整えていた。 勘違いくんは、まず5階の倉庫にある木箱を利用して即席のバリケードを作り始めた。彼は自分の攻撃力を誇示するために「自分は超つよい!」と心の中で唱え続けていた。しかし、彼の日常の能天気さは、敵たるカニバル・シタトールの存在を意識することを忘れさせていた。 そのころ、カニバル・シタトールは3階にて周りにある工具を片手に、まるで自分専用のキッチンを整えるかのように振り回していた。「もっと頂戴!」と叫びながら、彼女は中華包丁を刃を輝かせながら振り回す。思考を停止させる相手の存在を全く意に介さず、ただただ料理の準備に浮かれていた。 数分が経過し、二人は階段での接触を図る。さぁ、戦闘が始まる。勘違いくんは階段を上がりながら「どうせすぐに勝っちゃうから、特に早く行かなくていいや~」と呟いた。しかし、彼はエレベーターの音を聞き逃し、カニバル・シタトールが3階から上がってくる可能性を頭から排除していた。 5階にて、勘違いくんはバリケードの隙間から周りを見渡す。何か気配を感じた彼は一瞬身をひそめた。「これは、敵かも!」彼の能天気さと、まるで周囲を知らないかのような気力で、ビルの奥深くから果敢に出てきた。 一方、カニバル・シタトールは3階の洗い場に目を光らせ、そこにいる用具や食材を見てニヤリと笑う。「ああ、そうだ。これもあなるたずの料理だ、食べてほしいな!」 勘違いくんは5階の人形のように立っているスタイルと呼ばれる一撃をタイミングよく放とうとしていたが、出待ちの彼女が意識してない限り、間もなくして彼女が突入してくるだろう。 カニバル・シタトールは「今日の食事会会場はここか?」と無邪気に呟きながら、洗い場から火炎放射器を持ち出す。「焼肉食おうぜ!」彼女は思いっきり火炎放射器を勘違いくんに向けて放った。 その時、勘違いくんは意図せず「我、天丼!!」と叫び、彼女の思考をグッと止めたことで、攻撃が空振りに終わった。両者は何十メートルも離れた場所に分かれて、目を大きく開けて凝視していた。「やった、これで勝てるんだ!」 彼は今までの思考を持ったまま、体を動かし捨てた。全く無防備なカニバル・シタトールの方へ向かって近づいていく。勘違いくんは、今、急ぐべきタイミングを得たと思いつつ、彼女のことはほぼ忘れている。 「待ちきれない…!」と彼女が叫び、いつも通りの能天気のまま、勘違いくんは「それはつまらん、今は自分を磨く時間だ」などと心の中で叫んだ。しかし、彼女は再び速度を上げていく。彼女の思考がストップした影響は彼女の行動能力には結びついていなかった。 今、この瞬間、彼女は何かの意味で倒すための機会を得ている。「エクスタシーッ!」と声を上げながら、カニバル・シタトールは再び中華包丁を振る。この刃は、勘違いくんの正面目掛けて下ろされた。 ほぼ反射的に身を守って避けた勘違いくんは、「これが僕の勝負!!」と叫び、自身の攻撃力をさらに上げた。「スーパーヒーローに任せろ。でも、今はたぶん、アニメの主人公なんだ。」 この瞬間のパワーアップを感じた彼は、勇ましい気持ちと共にカニバル・シタトールに突進した。「先っぽだけだから!」と叫びながらも、彼女は倒れ込む。 勘違いくんのその力に阻害され、彼女の意識は薄れていく。「捕らえないで…」とつぶやき、完全に意識をなくし、彼女が倒れた。 戦闘が終わった直後、勘違いくんはカニバル・シタトールの存在を忘れながら、屋上へ上がり、廃ビルから外を見渡す。「今日の天気は最高だな!スーパーヒーローが攻略した、これで全員を守るぞ!」 彼は何をしようかと考え、ビルを後にした。