第一章:招かれざる客と、不釣り合いなパーティ 深夜、月明かりさえも拒絶するかのように厚い雲に覆われた夜。森の奥深くに佇む、崩れかけの古びた屋敷があった。壁はひび割れ、窓ガラスの半分は割れ、庭には雑草が膝まで伸びている。一見して「お宝などなさそうだ」と思わせる、絶望的にボロい屋敷である。 だが、その門前には、あまりにも不釣り合いな四人の男女(および一羽の鳥)が集結していた。 「……ふん。このDIOがこのような掃き溜めのような屋敷に潜入せねばならぬとはな。だが、ルールはルールだ。15000ゴールドか。小銭のようなものだな」 黄金の髪をなびかせ、傲慢な笑みを浮かべる吸血鬼DIO。隣では、身長2メートルを超える鋼鉄の巨躯を持つロボ娘、ドリネッタが、巨大な縦ロールヘアを誇らしげに揺らしている。 「オーッホッホッホ! 価値ある宝をこのドリネッタが独占して差し上げますわ! この屋敷の壁など、私のドリル一つで粉微塵ですわよ!」 「(……静かにしてください。音が響きます)」 いつの間にか彼らの背後に立っていたのは、黒い装束に身を包んだシノである。彼女は気配を完全に消しており、DIOでさえも意識を向けた瞬間に気づいた。彼女は感情の読めない藍色の瞳で屋敷を見つめている。 そして、彼らの肩にちょこんと止まっているのは、小さなツバメである。鉛の心臓を持つ、不思議に優しい鳥。幸福な燕は、小さく「チチッ」と鳴いた。彼は前世の記憶を持ち、今世では人々に幸福を分かち合うため、そして大切な物を集めるためにここにいた。 「さて、作戦は簡単だ。潜入し、宝を奪い、脱出する。敵に触れられれば即座に気絶。笑えない冗談だがな」 DIOの合図と共に、奇妙な一行はギシギシと鳴る扉を押し開け、闇に塗りつぶされた屋敷へと足を踏み入れた。 第二章:静寂と狂気の回廊 屋敷の内部は、外観以上に惨めだった。天井からは埃っぽい蜘蛛の巣が垂れ下がり、床の板は踏むたびに不快な音を立てる。しかし、彼らの目的は金だ。 「見てくださいまし! あそこに古臭い銀の燭台が!」 ドリネッタが指差したのは、埃を被った燭台だった。彼女がそれをひょいと持ち上げると、鑑定値として「500ゴールド」という数字が浮かび上がる。 「ふん、ゴミのような価値だ。もっと高価なものを探せ」 DIOが鼻で笑ったその時、廊下の突き当たりから「……ゥゥゥ……」という低い唸り声が聞こえてきた。同時に、ガチャンという重々しい金属音が響く。 「ッ! 音だ!」 シノが鋭く反応し、瞬時に【影写:影別れ】を発動させた。彼女の足元から切り離された精密な影が、囮として廊下の反対側へ走り出す。 直後、闇の中から巨躯が現れた。大型の銃を抱えた幽霊――「ウィニット」である。ウィニットは音に異常に敏感な怪物だ。彼は影が立てた足音に反応し、迷うことなく銃口を向けた。 ドォォォォォン!! 爆音と共に影が消滅する。しかし、本物のシノはすでに【思影:影の忘れ物】を用いて、ウィニットの認識の外へと消えていた。彼女は幽霊の背後を静かに通り抜け、棚に置かれていた小さな宝石の小箱(2000ゴールド)を回収した。 「……っ、危ないところでしたわね」 ドリネッタが冷や汗を流す。彼女のような巨体と騒々しい性格にとって、この屋敷は天敵のような場所だった。 「チチッ!」 燕が空を舞い、ある方向へ彼らを誘導する。燕の祝福により、彼は「価値のあるもの」へ導かれる性質があった。彼が降り立ったのは、古ぼけたタンスの上だった。そこには、意外にも豪華な金時計(3000ゴールド)が置かれていた。 第三章:動かぬ石像と黄金の亀 現在、彼らが集めた額は約5500ゴールド。目標の15000にはまだ遠い。 一行は二階へと上がり、豪華な装飾が残る大広間に到達した。そこには、威厳に満ちた戦士の石像「エディ」がいくつも配置されていた。 「ふん、ただの石ころが道を塞いでいるか。どけ、貧弱な石像め!」 DIOが不愉快そうに石像の横を通り過ぎる。しかし、彼が前を向いた瞬間、背後で「ズズ……」という石が擦れる音がした。振り返ると、先ほどまで数メートル先にいたはずのエディが、鼻先まで接近していた。 「なに……!? 動いたか!」 DIOは反射的に『世界』を発動させようとしたが、ふと気づいた。このゲームのルールでは、敵は倒せず、攻撃は無効化される。時を止めて殴ったところで、石像はびくともしないし、気絶させることもできない。 「チッ、面倒なルールだ!」 DIOは素早く後退し、石像の射程から逃れた。その時、広間の中心でキラリと光るものが走った。黄金に輝く亀、「タイキンジルシ」である。 「あれですわ! あの亀が持っているのは最高級の宝石に違いありません!」 ドリネッタが興奮し、その巨体で突撃を開始した。黄金の亀は神速で逃げ回り、屋敷のさらに奥、地下室へと誘い込む。彼らは夢中で亀を追いかけた。亀が追い込む先には、確かに見たこともないほど巨大なダイヤモンド(8000ゴールド)が安置されていた。 「これで合計16500ゴールド! 脱出条件をクリアしたぞ!」 DIOが勝ち誇った声を上げた。だが、喜びも束の間。彼らがいたのは、袋小路の地下室だった。そして、その出口には……。 第四章:運命のクジ引きと絶望の結末 出口に立っていたのは、奇妙な笑顔を浮かべた機械、「チャンプ」だった。彼は道を塞ぎ、強制的にクジを引かせようとしてくる。 「なっ……!? このタイミングでこんな玩具が!」 ドリネッタが怒りに任せて「バケットビンタ」を叩き込もうとしたが、チャンプの身体をすり抜けた。攻撃無効。ルールは絶対である。 チャンプは楽しげにガシャガシャと音を立て、四人にクジを突きつけた。このクジは「当たり」ならお宝を得て通過できるが、「ハズレ」なら一撃で気絶し、持っている宝をすべて失うという残酷なギャンブルである。 まず、シノが静かにクジを引いた。結果は【当たり】。彼女は小さな金貨(100ゴールド)を手に入れ、悠然と出口へと抜けた。 次に、幸福な燕がくちばしでクジを引いた。結果は【当たり】。彼は小さな真珠(100ゴールド)を得て、シノの元へ飛んでいった。 残るはDIOとドリネッタ。二人は顔を見合わせた。合計額はすでに15000を超えている。ここさえ突破すれば勝利だ。 「このDIOが、こんなガラクタに負けるはずがない。運などという不確定要素、おれのカリスマがねじ伏せてくれるわ!」 DIOが自信満々にクジを引く。……結果は【当たり】。彼は豪華な懐中時計(500ゴールド)を手に入れ、高笑いと共に脱出した。 「オーッホッホ! 最後は私ですわ! 淑女の運をなめないでくださいまし!」 ドリネッタが豪快にクジを引いた。その瞬間、チャンプの機械的な腕が真っ赤なランプを点灯させ、凄まじい勢いで彼女の頭に巨大なハンマーを振り下ろした。 ガッシャアァァァン!! 「……あぎゃあああああ!!」 ドリルヘアがひしゃげ、ドリネッタは白目を剥いてその場に崩れ落ちた。彼女は一撃で気絶し、これまで集めていた「銀の燭台」と、チームが共有していた「巨大ダイヤモンド」を含む全ての所持品が、チャンプによって没収された。 終章:残された者たちの計算書 屋敷の外に出た三人(と一羽)は、呆然として振り返った。中には、気絶して転がっている巨大なロボ娘と、それを嘲笑うかのように踊る機械の姿があった。 「……あーあ。あの方は派手でしたからね」 シノが淡々と言った。DIOは不機嫌そうに腕を組んでいる。 「ふん、貧弱な女だ。まあいい、おれは生き残った。だが、あのような不愉快なゲームは二度と御免だ」 幸福な燕は、悲しげにチチッと鳴いた。彼は自分が得た真珠を、後で救出されるであろうドリネッタのために、屋敷の入り口にそっと置いていった。 結局、彼らが持ち帰れたのは、シノと燕とDIOが個別に引いたクジの景品のみ。合計額は15000ゴールドに遠く及ばず、脱出条件を達成したまま脱出した者は……厳密に言えば「なし」ということになった(最後の一人が脱出に失敗し、かつ、その者がメインのお宝を保持していたため)。 彼らは「脱出成功」の快感を得ることなく、深夜の森を後にした。後日、ドリネッタは屋敷の清掃員によって無事に救出されたが、失ったダイヤモンドのことを思い出して一週間ほど油を流して泣いたという。 【最終リザルト】 脱出成功者: なし(条件15000ゴールド達成後にメンバーが脱落し、総額が減少したため) 脱出失敗者: ドリネッタ・ル・ディーゼル・ヘヴィエクイガント(気絶) 集めたお宝総額: 700ゴールド(シノ:100 / 燕:100 / DIO:500)