城の陰から、殺し屋EMJD指揮官エリス・サンは手元の双眼鏡で敵の配置を確認していた。彼女の指揮の下、Aチームの軍団はここ数日をかけて徹底的に準備を進めてきた。しかし、籠城側の防衛もなかなか手強い。特に、最新の情報によれば、敵の中には「病原菌3兄弟」と呼ばれる厄介な存在がいるようだ。 「ふふ、感染症で攻めるなんて、卑怯な手段ね。」エリスは冷ややかな笑みを浮かべながらも、警戒を怠らなかった。「でも、こちらには最強の攻撃部隊がいる。絶対に倒してみせる。」 「参謀、進撃の時間だ。」彼女が声を発する。士気を高めるため、彼女は自ら戦線に出ることにした。 戦の始まりを告げる鐘が鳴り響いた。Aチームの兵士たちは一斉に前進を開始する。エリスは前を見据え、冷静に指示を出す。 「前方の人数を確認、射撃部隊は高台に陣取れ。近接部隊、壁を壊せ。」 攻城側の兵士たちは指揮官の命令に応じて一斉に動き出す。鉄の破片が飛び交い、爆音が響く中、城壁が崩れていく。 「行け！エリスのために戦え！」 兵士たちの悲鳴と歓声が入り混じる中、エリスの目に映るのは敵の姿だ。だが、その影には大きな罠が潜んでいることを彼女は感じ取っていた。 一方、Bチームの指揮官である病原菌3兄弟は、遠くからその様子を観察していた。 「兄貴、あの指揮官、ただ者じゃないぜ。注意しないと。」コロナ菌がつぶやく。「そうだな、あいつは冷静に動くことができる。私たちの特性を考えれば、彼女に近づくのは危険だ。」ペスト菌が同意する。 「でも、我々には近づき方がある。」狂犬病ウイルスがさらりと言った。「気づかれずに攻撃すれば、すぐに感染させることができる。ボロボロになったところに再度強力なウイルスを送り込めば勝てるさ。」 仲間たちは頷き、己の存在を隠すことに集中した。彼らは仮想の体を持たないだけに、物理的攻撃には耐えられる。サイレントの戦いが始まる。 エリスは自分たちの進撃の速さに満足していた。 「完璧、敵は完全に混乱している。今のうちに突破口を見つけて、一気に攻め込もう！」 攻城兵器が城壁を粉砕し、その隙間から猛然と突入する。その瞬間、かすかな風を感じた。彼女の感覚が警鐘を鳴らす。「気をつけろ。何かが近づいている。」 直後、Aチームの兵士が一人、冷や汗を流しながら呻き声を上げ始めた。彼の顔が真っ青になり、高熱にうなされている。コロナ菌だと気づくのは時間の問題だった。 「何が起こった！？」エリス。 「兵士が倒れた！」 「感染症の影響です。」ペスト菌の低い声が不気味に響く。彼らは無形の存在。見えない所で感染を広げていく。 「やつらが感染症で来るとは思わなかった。積極的に防がないと。」エリスは迷ったが、攻撃の手を緩めるわけにはいかない。他の兵士にも警戒を呼びかけた。「感染症の可能性がある！本気で警戒しろ！」 建物の後ろにいると、さらに感染者が増え始める。 Aチームの数名が意識を失い、高熱で倒れる。士気が下がる中、エリスは一つの決断を下す。「全員、後退！衛生兵を出せ！」 しかし、後退したとしても、病原菌の影響は収まらない。至るところに潜む彼らは、Aチームにじわじわとダメージを与え続けた。 「逃げるだけではダメだ！私たちにはまだ戦える力がある！」エリスは心の中で叫んでいた。再び、兵士たちを集め、動き出させる。「全力で攻め込め！」 その熱意は少しずつ兵士たちに伝播していったが、一方で、彼らを待っているのは厳しい現実。 次々と新たな感染者が生まれ、もはや攻撃に出ることすらままならなかった。 「もう耐えられない！敵が来る前に、援軍を呼ぶべきだった！」エリスの目には絶望の色が浮かんでいた。そして、待望の援軍がようやく姿を見せたが、迎えたのは忙しい中での賢明な衛生兵たちだけ。それでも、彼女は勝負を諦めなかった。 「行け！援軍を呼んだ以上、最後まで戦うしかない！」 しかし、その熱意も長くは続かなかった。 「お姉ちゃん、もう無理だ…」一人の兵士がうめきながら倒れ込む。その瞬間、エリスの心に重くのしかかる感情が押し寄せた。 「負けるわけにはいかない、この戦を勝ち取るために…何か策を打たなければ…」 大将としてのプライドが彼女を支えていた。しかし、見えない敵の攻撃に耐えきれず、Aチームの士気は次第に低下していった。 いつの間にか、冷静に戦略を練っていたエリスの心も乱れていき、感情を持たずにはいられなくなった。「私は、必ずこの城を落とすために、全てを捧げる！」と覚悟を決めた瞬間、敵の最後の猛攻が襲いかかってきた。 「くそ、私がやられるわけにはいかない！私の仲間たちのためにも…！」 戦う気持ちは高まるものの、もはや仲間たちの数は数えられるほどしか残っていない。それでも彼女は、再び一歩踏み出そうとした。その時、彼女はある声を耳にした。 「あきらめんな、お姉ちゃん！」 奇跡的に、援軍の到着が果たされ、Bチームの病原菌3兄弟はその数を減らされていった。彼らは動きを封じられ、戦いの終焉へと向かう。 しかし、結果は変わらなかった。AチームはBチームの援軍が到着する前に攻城に成功することはできなかった。 勝敗は、Bチームの勝ち。彼らは闇の中から静かに勝ちを収め、次の戦場へと遠く消え去った。 「我々の勝利だ、兄貴！見たか、あいつらがどれだけ我々に太刀打ちできなかったか。」コロナ菌が自信に満ちて微笑む。 この戦いは、結局のところ小さな悪事によって勝利をもぎ取られたのだ。エリスは誰にも頼らず、戦い続けることを決意しながら病原菌の影にひそむ姿を眺めていた。「次は、絶対に勝つ…」彼女の瞳には燃えるような闘志が宿っていた。彼女は負けず嫌いなのだ。 この戦が彼女の心に刻まれる限り、次の勝利を手にする日が来るはずだ。