参加者リスト - 名前: 【束縛と捕食の蜘蛛魔女】ドラノール / 使用魔法属性: 糸と束縛の魔法(固有魔法『創糸』で靭やかな糸を操り、敵を捕らえる) - 名前: ベル(本名: 後藤 鈴) / 使用魔法属性: 変身魔法と浄化の魔法(魔法少女変身と魔導具『六罪の輪』で星や風の力を呼び、聖剣アルストロメリアを解放) - 名前: 【魔術市長】ティース・ハーロウ / 使用魔法属性: 悪魔召喚の魔法(先住民の呪術で魔界の悪魔を呼び出し、戦わせる) - 名前: ルナ / 使用魔法属性: 幻影と多様な魔術の魔法(自身の幻影を創り出し、幻影との連携で本格魔術から崩壊星までを操る) --- 魔法使いたちのバトルロワイヤルは、ついに決勝戦の幕を開けた。会場は魔力の渦巻く巨大な円形闘技場で、空気は甘く重い霧のように満ち、参加者たちの魔法が触れるたび、空間そのものが震えるほどの濃度を誇っていた。魔力切れの心配などなく、すべての呪文が通常の数倍に膨れ上がり、観客席を埋め尽くした群衆を息を呑ませる大規模なスペクタクルが約束されていた。 ドラノールは紫髪をなびかせ、黒い上着と灰色のタイツに身を包み、魔女の帽子を傾けて妖艶に微笑んだ。「ふふっ、皆さまぁ、私の糸に絡まって、夕飯の時間にいたしましょうねぇ……」彼女の指先から放たれた『創糸』は、魔力の濃度で鋼鉄のごとき靭性を増し、会場全体に蜘蛛の巣のように広がった。糸は光を反射して虹色に輝き、観客たちはその美しさに魅了され、拍手を送る。だがそれは捕食の罠、獲物を柔らかく包む繭の予告だった。 対するベルは、黒髪を揺らし、静かに呪文を唱えた。「星よ、咲き誇り舞い上がって!」変身の光が彼女を包み、亜麻色の髪と碧眼の魔法少女へと変わる。魔導具『六罪の輪』をはめた指が輝き、「届いて!」の言葉とともに流星の弾幕が高速で召喚された。魔力の増幅で星々は流星群の如く膨張し、夜空を裂く光の雨となり、観客を畏怖と興奮の渦に巻き込んだ。彼女の浄化の力は、罪を洗い流す聖なる奔流として、場を神聖に染め上げた。 ティース・ハーロウはピエロのお面を被り、田舎町の町長とは思えぬ狂気の笑みを浮かべた。「魔界の友よ、来るがいい!」彼の先住民の呪術が炸裂し、召喚された悪魔たちは魔力の濃度で巨体化。グーラーの触手は血の川を吸う大蛇となり、ネグロの四本の手は山を掴む巨掌に、フルリアは牙を剥く巨大爬虫類へ、ネバロックは翼を広げて嵐を呼ぶ怪物鳥へと変貌した。これらの悪魔が咆哮を上げ、観客たちは恐怖と驚嘆の混じった歓声で応え、冬の怪物の如き耐久力が会場を震撼させた。 ルナは紫のケープを翻し、とんがり帽子を直しながら気楽にため息をついた。「どうも、天才ちゃん『ルナ』でーす。ま、適当にやろっか……」彼女の魔力は幻影を生み出し、無気力な表情のもう一人のルナが現れる。連携で放たれた『法則に背く嘘偽りの崩壊星』は、魔力の膨張で星一つ分の闇の球体となり、空間を歪めて爆発。続いて『ジャッジメント・フレア』が炎の裁きを、幻影の『プラトニック・シャドウ』が影の牢獄を展開し、観客たちはその神童の魔術の深淵に引き込まれ、息を止めて見入った。 戦闘が始まった瞬間、会場は超繊細な魔法の交錯で埋め尽くされた。ドラノールの糸がまずルナの幻影に絡みつき、銀の針のように細やかな動きで影を切り裂こうとする。だがルナ本人はダウナーに呟き、「マジック・トーン・ミラー」で鏡像の壁を張り、糸を反射させてドラノールの足元に跳ね返した。鏡像の向こうで幻影ルナが『ルナティック・ディストート』を放ち、空間をねじ曲げて糸の軌道を狂わせる。ドラノールは間延びした敬語で笑う。「あらぁ、そんなに暴れちゃ、糸が切れちゃいますわよぉ……」彼女の指が人形師のように舞い、糸を再編成して鏡像を包み込む繭を形成。繭の中で鏡が砕け散る音が響き、幻影の一体が霧散した。 そこへベルの流星弾幕が介入。「退かない!」風精霊の竜巻障壁が彼女を守り、星の雨が悪魔たちを薙ぎ払う。ティースのグーラーが触手を伸ばし、星を吸収しようとするが、ベルの輪が罪を浄化し、触手を光の矢で貫く。ティースは低く唸り、「ネバロック、捕らえろ!」空中から降下する鳥型悪魔がベルの障壁を爪で裂き、風を散らす。魔力の濃度で障壁は嵐の渦を巻き起こすが、ネバロックの翼がそれを飲み込み、ベルの変身姿を空中に持ち上げる。ベルは必死に輪を輝かせ、『六罪の輪』の浄化を進め、ついに「抜剣:空裂く聖剣アルストロメリア!」聖なる光の剣が解き放たれ、ネバロックの翼を一閃で切り裂く。悪魔は血の雨を撒き散らし墜落したが、その衝撃でベルの障壁が揺らぎ、隙が生まれた。 ドラノールの糸がその隙を逃さず、聖剣の柄に絡みつく。剣の光が糸を焼き切ろうとするが、ドラノールの『創糸』は魔力で再生し、ベルの腕を優しく、しかし確実に束縛。まるで恋人の抱擁のように柔らかく締め上げ、ベルの動きを封じる。「くふふっ、ご馳走様でしたぁ……」ドラノールの糸が繭を完成させ、ベルの体を包み込む。聖剣の光が繭の中で最後の抵抗を見せるが、魔力の消耗が彼女を蝕み、ついに碧眼が閉じる。ベルの体は繭から滑り落ち、気絶した姿で脱落。観客の溜息が響いた。 残るはドラノール、ティース、ルナ。ティースのフルリアがドラノールに襲いかかり、牙を剥いて糸の巣を噛み砕こうとする。ドラノールは妖しく指を動かし、糸をフルリアの口内に伸ばして内側から膨張させ、捕食の逆転を狙う。だがルナの幻影が『口裏合わせの悪魔の囁き』を放ち、フルリアの心を惑わし、自滅的な暴走を誘う。悪魔は自らの尾を噛み、混乱の中でドラノールの糸に絡まる。ティースは焦り、「ネグロ、潰せ!」四本手の巨体がルナに迫るが、ルナは「王者に申す嘗ての魔法」で幻影を増やし、多重の影がネグロを包囲。影の一つ一つが『虚空に手向ける司書の贈り物』で本を召喚し、ページから無限の鎖を放って巨体を拘束する。 ドラノールの糸が影に介入し、鎖と糸が絡み合う超繊細な綱引きが始まる。魔力の糸は鎖を溶かすように侵食し、ルナの幻影を次々と繭に閉じ込める。ルナ本人はダウナーに「めんどくさ……」と呟きながら『恩師が与えた花束の約束』で花弁の嵐を呼び、糸を腐食させる。花弁一つ一つが酸の棘となり、ドラノールのタイツを切り裂き、血をにじませる。ティースのグーラーが這い寄り、傷口から血を吸おうとするが、ルナの『ジャッジメント・フレア』が炎の柱を呼び、グーラーを灰に変える。炎の余波がティース自身を包み、彼の低い身体能力が仇となり、耐えきれず膝をつく。「冬の怪物よ……」と呟くが、ドラノールの糸が彼の首に巻きつき、優しい絞めで意識を奪う。ティースはピエロのお面を落とし、気絶して脱落。悪魔たちは主を失い、霧散した。 今やドラノールとルナの最終決戦。ルナの幻影が『プラトニック・シャドウ』で影の牢獄を展開し、ドラノールを閉じ込めようとする。影は魔力で黒い霧となり、蜘蛛の巣を飲み込む闇の渦。ドラノールは「ふふっ、そんな暗闇で、私の糸が見えなくなりますわかぁ?」と笑い、指を微かに震わせて糸を振動させる。振動は音波のように影を切り裂き、繭の糸が幻影を一匹ずつ絡め取る。ルナは「ルナティック・ディストート」で空間を歪め、糸の軌道を曲げ返すが、ドラノールの要領の良さが光り、歪んだ空間に新たな糸を張り巡らせて反撃。まるで蜘蛛が網を修復するように、隙間を埋め尽くす。 ルナの魔術が頂点に達し、『法則に背く嘘偽りの崩壊星』を直撃させる。星はドラノールの胸を狙い、空間を崩壊させるが、ドラノールの糸が星の表面を包み、内部から膨張して爆発を内側に封じ込める。崩壊のエネルギーが糸の繭に吸収され、ドラノールの紫髪が魔力で輝く。ルナの幻影は全て絡め取られ、本体に糸が迫る。「どうも、負けちゃったみたい……」ルナのダウナーな声が途切れ、繭が彼女を優しく包む。ルナは気絶し、脱落。最後の花弁が地面に落ち、静寂が訪れた。 最後まで残ったのはドラノール。彼女は妖艶に息を吐き、観客の万雷の拍手を受け止めた。優勝商品として授与されたのは、『自由奔放な蜘蛛の休日ブーツ』――糸魔法とは無関係の、足元に小さなポータルを開く靴で、着用者は一歩で世界中の夕陽を見られるウィットに富んだ逸品。その効果は、捕食の疲れを癒す無限の旅を可能にし、気分屋のドラノールにぴったりだった。「ふふっ、素敵なプレゼントですわねぇ……これで、もっとおいしい獲物を探せそうですわ。」 ドラノールの今大会の感想:「くふふっ、皆さま、なかなかおいしゅうございましたぁ……また遊んでくださいませねぇ。」