闘技場の狂宴:いたずら小僧 vs 深澄 真 砂埃が舞う石造りの闘技場。外壁の巨大な破片が無造作に散乱し、かつての栄光を物語る廃墟のようなこの場所は、今日も血と汗と魔法の匂いで満ちていた。観客席は埋め尽くされ、野次と歓声が渦巻く中、中央の実況席に立つのは、あの男――ごつくて荒々しい実況のおっさんだ。マイクを握りしめ、顔を真っ赤にして全力で叫ぶ。 「オレはごつくて荒々しい実況のおっさんだああ!! 審判も兼ねるこのオレが、今日のメインイベントをぶちかますぜええ!! 闘技場に集まった野郎ども、覚悟しろおおお!!」 実況席の左右に座るのは、今回の選手の専門家たち。チームAの「いたずら小僧」を支えるのは、催眠術の第一人者である謎の心理学者、エリック・ヒプノ。チームBの「深澄 真」を解説するのは、水系魔導の権威、海洋魔術師のマリナ・ウェーブだ。 エリックが静かにマイクを握る。「私は催眠術の専門家、エリック・ヒプノ。心の隙を突く術を極めました。いたずら小僧のトリックに注目を。」 マリナが波打つような声で続ける。「水の魔法を操るマリナ・ウェーブよ。深澄真の界とブリッドの融合は、流れるような破壊美。見ていてくださいな。」 ゴングが鳴り響き、戦闘開始! 砂地に立つ二つの影。チームAのいたずら小僧は、小柄で目つきの悪い少年のような姿。光速を超える素早さを思わせる、ぼやけた輪郭。対するチームBの深澄真は、黒いローブに身を包み、指には11個の魔導具の指輪が輝く。偽名「葛葉真」を名乗る彼女の目は、静かなる深淵を湛えていた。 「さあ、始まったぜええ!! いたずら小僧のイタズラが、真の魔法をどう翻弄するのか!? 見逃すなよおおお!!」おっさんの咆哮が場内に響く。 いたずら小僧が動いた――いや、動いたというより、瞬時に消えた。光速を超える速さで砂地を駆け、深澄真の周囲を円を描くように回る。残像が五つ、十と増え、観客の目にはぼんやりとした渦が見えるのみ。砂が巻き上がり、闘技場の破片が微動だにしないほどの風圧が生まれる。「速えええ!! あいつ、目で追えねえぜええ!!」おっさんが興奮してマイクを叩く。 エリックが冷静に解説。「いたずら小僧の強みは、この超光速移動。だが本質は催眠術の布石。相手の意識を散漫にさせるんです。隙だらけの心に、イタズラを忍び込ませる。」 深澄真は動じない。指輪の一つを軽く叩き、魔導具が低く唸る。彼女の魔力は抑制されているはずだが、すでに空気が湿気を帯び、砂地に微かな水気が浮かび上がる。「ふん、小賢しい。」真は呟き、手を広げる。「水の界、展開。」 瞬間、真を中心に半球状の青いドームが広がる――「治癒の界」。内部の空気が柔らかく輝き、わずかな傷を癒す効果が発動。だがそれは陽動。真の瞳が鋭く光り、「ブリッド・水の弓!」と唱える。四属性の魔法をイメージ通りに変形させるスキル。彼女の手から水流が弓の形を成し、弦を引くや否や、矢のように射出される。圧倒的な命中率の弓術――矢は残像の渦に向かって飛ぶ。 「うおおおお!! 真の水矢が炸裂だああ!! あの弓、ただの水じゃねえ、魔力の塊だぜええ!!」おっさんの声が割れる。 マリナが頷く。「深澄真の良点は、この全力射撃体質。撃てば撃つほど魔力量が増すの。一発で界を強化し、二発で敵を沈める。だが、魔導具の抑制が切れれば暴走のリスクも……悪点ね。」 水矢は残像を貫く――が、いたずら小僧の本体に当たらない。代わりに、矢が砂地を抉り、治癒の界内で水しぶきが爆発。いたずら小僧の笑い声が響く。「へへっ、バニーガールになって踊れよ!」超光速の接近。真の視界が一瞬揺らぎ、催眠術が発動。彼女のローブが変化し、黒からピンクのバニーガールコスプレへ。耳がピョコンと付き、尻尾が揺れる。 観客がどよめく。「な、なんだあれええ!? 真がバニー姿だああ!! イタズラが効いてるぜええ!!」おっさんが腹を抱えて笑う。 真は顔を赤らめつつ、即座に反応。「……ふざけた真似を。」しかし、催眠の力で体が勝手に動き出す。変なダンス――腰をくねらせ、砂地でステップを踏む。観客の笑いが爆発する中、真の心は冷静。全力射撃で魔力を高め、界を維持する。 エリックが分析。「いたずら小僧の性分は純粋なイタズラ好き。技術は催眠の精度が高いが、悪点は持続性の低さ。一度解けたら隙だらけになる。」 真はダンスを続けながら、弓を構える。バニー姿のまま、水の矢を連射。界の境界線に「弱化の界」を重ね、いたずら小僧の速さを削ぐ。矢の一つがようやく本体をかすめ、少年の肩を抉る。血が飛び、砂に染みる。「ぐっ……!」いたずら小僧が初めて顔を歪める。 「効いたぞおおお!! 真の弓術が神がかりだああ!! バニーで撃つなんて、最高の絵だぜええ!!」おっさんの実況が熱を帯びる。 だが、いたずら小僧の目が輝く。「傷つけるなんて、悪い子だね。拘束タイム!」真が攻撃を試みた瞬間、体が硬直。超光速の力で砂から蔓のようなエネルギーが伸び、真を拘束。彼女は動けず、強制的に1発芸――バニー姿で変顔を披露させられる。観客大爆笑。 マリナがため息。「真の装備、魔導具11個は強みだが、近接戦の弱さが露呈。界で守りを固めても、催眠の干渉は防げないわ。」 拘束が解け、いたずら小僧が笑う。「お詫びに、願いを叶えてあげるよ。何が欲しい?」真は息を整え、魔導具を一つ外す。抑制が緩み、魔力が爆発的に増大。女神級の膨大な魔力が溢れ、闘技場全体が震える。「私の願い? ……お前の敗北よ。」 真を中心に「防御の界」が展開。今度は半球が鋼のように硬化。ブリッドの水弓が巨大化し、雷属性を混ぜた矢を放つ。雷水の矢が超光速の少年を追う。いたずら小僧は回避するが、弱化の界で速さが落ち、ついに直撃。体が痺れ、砂に叩きつけられる。 「決まったあああ!! 真の魔力全開だああ!! 界が闘技場を飲み込むぜええ!!」おっさんが立ち上がる。 エリックが呟く。「いたずら小僧の最優先能力は奪えないが、魔力の奔流に催眠が通用しない。技術の限界だ。」 いたずら小僧は起き上がり、最後のイタズラを試みる。カツラを被せようと接近――が、真の探索の界が位置を捕捉。「隠蔽の界、解除。」矢が少年の胸を貫く。砂地に倒れ、動かなくなる。 「勝負ありだああ!! 深澄真の勝利ぞおおお!!」おっさんの締めくくりが響く。 戦闘後、実況席で専門家が感想を。 エリック:「いたずら小僧の催眠は創造的だったが、魔力の壁に阻まれた。速さだけじゃ勝てないよ。」 マリナ:「真の成長が見えたわ。抑制を解く判断が完璧。弓術と界の相性は、水のように流れる強さね。」 闘技場に拍手が鳴り響く。砂埃が静かに舞い落ちる。